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『くまのレストラン』ゲーム感想
わたしがはじめてプレイしたOdencat作品はアプリ版のくまのレストランだった。ちょうど勤めていた会社に契約を切られ腐っていた時期にトシ重さんに勧められて遊んでみたのだが、そんな荒んだ心を洗い流してくれる感動的で胸熱なストーリーにボロボロ泣いた。
ゲームの感想を書いてくならこれを最初に書こうと思った。先日新作ゲームを作るにあたってSwitch版をプレイしなおしたので、当時と今の感想を交えて綴ってみる。
くまのレストラン
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■ゲーム概要
あの世とこの世の狭間にあるレストランで死者に最後の晩餐をふるまうお話。謎解きや分岐はなく、物語に没頭できるアドベンチャー。
Switch版にはDLCの虚無編や書き下ろしの新規エピソードが追加されている。
■プレイスキル
必要なし。
基本的に読み進めていくだけで難しい操作はなく誰でも遊べる。
■プレイした理由
猫の願いが叶うならを作るにあたって振り返りたくて。
初見モバイル版はトシ重さんに勧められて。
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■プレイ記録
プラットフォーム:iOS/Switch
プレイ時期:2019年5月/2024年6月
プレイ時間:4時間くらい
■所感
ゲームをはじめ最初に感じたのは懐かしさだった。
くまがねこを起こしに来るシーンにはクロノ・トリガーのようなわくわくを感じ、パジャマ姿で操作可能になったプレイヤーキャラのねこを見てMOTHER2が浮かび部屋を出るよりさきに自然と着替える操作を行っていた。
SFCを遊んでいた人にはたまらない演出だと言える。
セリフが最低限の文字数で説明っぽさがなく、これは文章ではなくて言葉だなと感じられる。しゃべり言葉ってわりと倒置法だよね。
記憶のかけらを光らせていく演出は胸が熱くなった。ねこがくまに与える力が他のキャラより段違いに大きいのも良い。
敵キャラを完全悪として描かないところ、力でねじ伏せるのではなくあたたかみのある展開が自分の好みとドンピシャだった。
これだけしっかりストーリーがあってプレイヤーが置いてけぼりにならないのが本当に素晴らしい。
死者を送り出す側は邦画「おくりびと」、送り出される側のキャラクター側には終活のような「死」への向き合い方を感じた。
死者が求めている料理がわからないときに行う「ダイブ」、手に入れた「記憶のかけら」で死因を見る、シナリオ後のキャラに選択肢で「会話」など、出会ってすぐに別れた関わりの短いキャラクターに思い入れをもたせるための要素作りが非常にうまい。
それも大半が必須ではなくプレイヤーに委ねられている行動なので、見せられている感じゃなく望んで見ていると思わせてくるためなおさらだ。
プレイの難易度は低いため、物語に浸ることだけに集中できるつくりになっているのも良い。
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■おまけ
5年ぶりにプレイしたけどやっぱり良いゲームだなとあらためて思った。死という壮大なテーマをコンパクトにまとめていて無駄がない。お手本のような作品でマネしたいとこだらけ。
続編のフィッシング・パラダイスをプレイすると登場キャラの別の一面が見れて、幸せそうで良かったって気持ちになるのでセットで遊んでもらいたい。