ねぇ、先生。
図書券3千円分。
私は
自分の存在が情けなくて、申し訳なくて、両親に先生に叩かれ続けたことなんて言えなかった。
言ってなかったのに。
ある日、お友達と遊んで帰ってきた私は、唐突に両親から、担任に叩かれたあの鉛筆の日のことについて問い詰められた。両親の顔が恐くて見られなかった。
バレた。血の気が引いた。泣いて謝った。
ー あの日の私の謝罪は誰に対してだったのだろう。
翌日
担任は私を呼び出して両親宛に、と封筒を渡した。
怒りの手紙だったらどうしよう。隠れて中身を見てしまった。
ーこれは、手紙じゃない。
渡さないわけにもいかず、母親に封筒を渡した。
開けた途端に顔を真っ赤にしながら鬼の形相に変わった母は「返してきなさい!!」私に封筒を突き返した。恐くて私が返せるわけもないのに。
次の日誰にも見つからないように先生の手帳みたいなものに、そっと封筒を挟んだ。
先生がそれに気づいたかどうかは私が知る由もない。