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エロとは、恥じらいである。

昨今、写真を撮る為だけの行動が多い。
それじゃあ、全部写真に収めて終わりではないか。
実際それ以降が大切なのに。
だからこそ、撮影禁止の場所に行ってみたいと私は思う。
カウンター・カルチャー。
そして、写真に残せないからこそ、それを五感に焼き付けて、自分の考えを巡らそうと思う。


初。ストリップ。


ストリップとは…

楽曲に合わせて服を脱ぐ様(strip)、またはその様態を鑑賞すること。ときに鑑賞する場(striptease)を指す。
引用:Wikipedia


ずっと行きたいと思っていて、やっと行くことができた。


浅草、雷門を横切って、東洋館の近く。

質素であまりギラギラした雰囲気はない。
慎ましい。
誰も入る姿がなく、不安であった。
少し待っていると、男の人が一人登っていく。
これを逃すまいと付いていく。
階段を登って2階。
入り口近くにチケット売り場がある。

料金は女性4000円。男性は5000円。
まあ、人の裸見せてもらうんだから、こんなもんだろう。
その他割引も多々ある。
一度払えば、朝から晩まで居られる。


おじさんが
「スタンプカードいるかい?」
と聞いてきた。
もらっておいて損はない。
「お願いします。」と伝える。



入り口を抜けると、お姉さんがモギリをしてくれた。
ロビーのような開けた空間があり、奥にはバーがある。


階段を登っていた時から、呼吸をするごとに甘い匂いがしていた。
おそらくDiorの香水の匂い。
甘くてとろけそうな大人の女の人の匂い。

意外だった。
男の人の園だから、もっとイカ臭い匂いがすると思っていた。
でも、心地良い甘ったるい匂い。


途中からでも公演に入れるが、最初から公演を観たかった為、ロビーで待機。
音漏れが聞こえる。
ロビーには写真が飾られていた。
もう、それはもう、大々的にお脱ぎになっている写真である。
心の中でひゃ〜と思った。
でも、本物を観たらもっとビックリ仰天しちゃうだろうから、それをマジマジと見て免疫をつけた。

一通り見やったら、暇になったので、またロビーをうろうろする。
バーのほうに次の公演待ちの男の人たちがいる。
彼らはどんな心持ちなのか気になる。
しかし、話しかけることはさすがにできない。
気になるなぁ。


ふと会場内の座席表に目がいった。

そうか、中はこんな風になっているのか、とふむふむと眺める。

自分はどこに座ろうか。

いや、どこに座ればいいんだ?

ちょっと予習していたから、それなりにはわかるけど、実際座って全然違ったら嫌だと思った。

また、入っておちおちしてたら、もう座るところがないとか、変なおじさんの横とかだったら、嫌だなと思った。

だから、モギリのお姉さんに聞いてみた。

「すいません、初めてなんですけど、どこから観たらちょうど良いですかね?」

お姉さんは凄くフランクに
「全体を見たいなら後ろの方で、両脇であれば近くで見られますよ。」
と言った。

そうかそうか。予習した通りだ。
でも、床がフラットだと後ろの方だと見にくにいのではないかと思った。
また聞いてみた。
「ここって床はすり鉢状になってますか?それとも平のままですか?」

「ちゃんと少し段差がついてるので大丈夫ですよ。」

ああ、良かった。まあ、後ろの方に座っとけば、安牌であろう。


暇なので、本を読みながら待つ。
座るところがないので、立ったまま待つ。


他の男の人が何人か入ってくる。
非常に気まずい。
早く前の公演が終わらないかと待っていた。


扉が開いた。
お客さんが雪崩出てくる。
女の人もちらほら伺える。

お姉さんに教えてもらった通り、後ろ側の席に座る。
意外と舞台が高く大きい。
隣には誰も座らなかった。


音とともに幕が上がる。
ストリップは一公演でいくつもの物語が披露される。
それを1景、2景、3景、…と数えていく。
演目は『STEPS ON BROADWAY』
7景まであったが、4景と5景の間に今回の公演の詳細な内容が踊り子さんから案内される。
本当に個性的である。


全体を総称するなら、芸術性の高いミュージカルである。


構成は全て同じで、
センターとサブメンバーが各々の個性にあった音楽で踊り、転調してセンターの踊り子さんが真ん中の丸い回転台まできて、脱いでいく。
エロくない。
身体が美しい。
あそこも美しい。


エロさとは、恥じらいだと思った。


太宰は「恥の多い生涯を送ってきました」なんて言ってたけど、あれはもはやエロ。

あんなに躊躇いもなくバッサバッサ脱がれたら、なーんだくらいにしか思えない。
チラリズムで恥ずかしそうに脱ぐから妙にドキドキするのである。

銭湯で見るのと変わらないじゃんと思いきや、踊り子さんは全てが美しい。
全身が輝いているよう。


驚いたのは、ご開帳するごとにみんな拍手すること。
ダンスで手拍子するのはもちろんのこと、ご開帳ごとにもである。
ご開帳とは、説明するまでもないが、そこら辺にある本でも開いてご覧なさい。
その様がご開帳ですよ。


あと、もうひとつ。
凄く元気に脱ぐ踊り子さんがいて、橋下まこさんと言ったかなぁ。
その人が脱いでいくのは、なんか元気になるというか。
そういう変な意味じゃなくて。
明るくってパッとその場が華やぐ感じ。
それを観てる一人の男の観客が、その前まで眠そうにしてたのに、笑顔で手拍子なんかしちゃってるのである。
たまげた。
顔をキラキラさせて、まるで子どものように手拍子している。

それを見て、踊り子ではあるが、ある種裸まで見られるアイドルのようなもののように思える。
彼女たちはあの観客たちにとってのアイドルである。


そして、写真撮影禁止も厳重だった。どんな写真撮影もNG。見回りの人が厳しく管理していた。
また、推しの踊り子さんに紙テープが投げられるのだが、その巻き戻しがびっくりするほど早くて上手い。
あれはどういうことなんだろ。


一公演を観終え、満足して帰った。
なかなか興味深いものと光景、そこにいる人たちが見られたのではないかと思う。


これは写真には収められない。
是非自分の目で確かめてもらいたい。


#行ったことない場所 #撮影禁止 #ストリップ #浅草ロック座 #エッセイ

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