大のホラー嫌いが『ミッドサマー』を観て数ヶ月経過した
ホラーが苦手
わたしは小さい頃からおばけが苦手で、夏になると怖いTV番組を父が面白がってみているのを付き合わされては本気にしてしまい、お風呂に入っていてもお布団に入っていても後ろから来るんじゃないか、と引きずってしまうような子だった。
大人になった今でもやっぱりホラーは嫌いで、いまだにディズニーランドのホーンテッドマンションに入れたことがない。(友人曰く、あれはホラー要素がないと言われているが、こわいものはこわい)
幼少期から洋画をたくさん観て育ったのですが、ホラーはできるだけ観ないようにしていたものの「シックスセンス」と「エクソシスト」はなぜか観た。
案の定、いまだに怖かったシーンが頭をよぎる。
とにかく、生粋のホラーが苦手な人なのだ。
美しい映像と狂気の映画
そんなわたしが、とある映画に興味を持った。
タイトルで挙げた「ミッドサマー」である。昨年公開された作品で、白い衣装と美しい花の冠を身につけた北欧人が楽しそうにしている映像を一度は目にしたことだろう。
初めて作品のことを知ったのは、映画公開前にプロモーション用のTwitterアカウントが偶然TLに流れてきたときだった。映像の美しさに一瞬で引き込まれた。と、同時に作品の不穏さに一抹の不安を感じた。
怖い映画なのか。
いつもなら「ホラーはスルー」となるはずが、なぜかこの作品だけはそうはならなかった。怖いもの見たさが働いたのは久々だった。
それからの数日間は、毎日のように海外レビューを漁った。
ネタバレ系のレビューも読んで、どういう怖さがある作品なのか調べた。普段は作品を見る前にネタバレは見ないようにしているが、『ミッドサマー』を観るためにはなにが起こる作品なのか事前に知る必要があったのだ。
いくつかのレビューを見て、わかったのは「おばけが出る系の脅かしてくるタイプのホラーではない」ということだった。
どちらかというと「人がこわい」作品。あと、グロいシーンが出てくるらしい。
大学生の頃、1年間に100本映画を見るという目標を立ててDVDを借りたりCATVで延々映画を観ていた時期があった。その頃に『ミザリー』を夜中に観たことがある。あれも簡単に言ってしまうと「人がこわい」作品だ。(あとグロい)
『ミザリー』を観た時、ホラーが嫌いだったはずの私はかなり冷静だった。むしろ、人間の狂気について深く考えるきっかけになった。直後に『キリング・ミー・ソフトリー』と『パフューム』を観たことも思い出した。
あの手の作品は割と好きなのだ。
ホラーは全般嫌いだと思っていたけれど、もしかしたらおばけが出たりびっくりさせる映画が苦手なだけで、人がこわい作品は大丈夫かもしれない。(グロは苦手なので、そこはちょっと目を覆うしかないが)
もしかしたら、『ミッドサマー』はわたしが観れるタイプの映画かもしれない。
だって、監督のアリ・アスターだってこう言っている。
そもそも『ミッドサマー』のジャンルは何かと聞かれても、僕もわからないですから。ホラー映画とも言えるし、失恋映画とも言えるし、おとぎ話とも言えるし、ブラック・コメディとも言えるし、居心地の悪い映画とも言えるし、成長物語とも言える。 GINZA -『ミッドサマー』アリ・アスター監督インタビュー
結局みた
もうここまできたら観るしかない。
散々石橋を叩いておいて、いまさら渡らないわけにはいかなかった。
幸いなことに、比較的早い段階で配信サイトでの有料配信が決定し、自宅なら精神的にだめになったら一時停止もできるし、最悪音だって消せるし!と自宅で観ることを決意した。(どんなに下調べをしていても怖さはどうしてもあった)
内容に触れるとネタバレをこぼしそうなので控えるが、結果的に言うと最後までちゃんと観た。途中あたりから結構楽しんでいた部分もある。
しっかり嫌なシーンはいっぱいあった。
ただ、事前にネタバレレビューを漁っていたおかげで、ある程度ここでグロいシーンがくる、みたいな予想がついていたのでそのシーンだけ薄目で観た。(レビューを投稿してくれていた方々のおかげで生き延びました)
観終わってからはなんだか清々しかったし、夜もぐっすり眠った。
それから数ヶ月
結局その後、もう一度観た。2回目は映画館に行った。相変わらず、観終わったあとは清々しい気持ちになった。
怖いと思っていたものを乗り越えた嬉しさからか、円盤も買おうかなと迷ったが、そもそもfire TV stickを購入してからはDVDを観ること自体をしなくなってしまったので、それは踏みとどまっている。
なので、漠然と怖い映画が嫌いと思っている方も、もしかしたら「怖い」の種類によっては楽しめることがあるかもしれない。わたしの場合だと、少なくともジャパニーズホラーは何年も引きずることになるので、なにがあっても観ないと思う。
『ミッドサマー』は後ろから急に何かが現れるとかの驚かす要素はない。
アリ・アスター監督が言ったことも理解できる。ジャンルに対する質問へのどの表現に対しても「確かにそういう部分もあったな」と思う。
ただ、ひとつだけ。
数ヶ月経った今も、映画のティザーを見返すと、村の住人達のするどい視線にはどきっとしてしまう。
そのぐらいのトラウマで済んだと思うことにしよう。同じトラウマになった映画でいえば、個人的には『ダンサー・イン・ザ・ダーク』の方がよっぽどトラウマに感じている。(作品自体は好きだが)
・・・というのを、あつ森のショップに夏至祭のひまわりの冠を見つけたので、なんとなく書き連ねてみた。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?