西へ沈んでく夏の終わりがやけにまぶしい
りんご音楽祭、初めて行った。この日は朝から微妙にうまくいかないことの連続で、やっと会場に着いたころにはすでに若干へろへろだった。そもそも前日にはPK shampooのツアー札幌公演があったのでまず北海道に向かい、ライブ後はバタバタと日付が変わる前に北海道から東京へ飛び、翌朝長野へ…という謎スケジュール。改めて文字に起こすとほんとばかみたいな行程だけど、それでも行ってみたいフェスだったし、実際行って良かった!と心から思えたのでオールオッケー。
開催地であるアルプス公園は山を少し登ったところにあって、緑が生い茂る森のなかで観るライブは他の野外フェスとはまた違った開放感がありきもちいい。空気が透き通っているような気がして息がしやすかった。
アルプス公園へ向かう道中シャトルバスの車窓からりんご畑が見えてわくわくしたし、会場内では丸かじりで食べられるりんごが売られていてそれを片手にライブを楽しむ人々が散見されたのもかなり良かった。手がべたべたになりそうだったからわたしは食べなかったけど、記念にひとつ買えばよかったな。信州といえばりんごだもんな。
到着が昼過ぎだったためAge Factoryがわたしにとっての一組目。ヤマトさんと同期のボーカルの人がいるBREIMENも初めて観た。どちらもライブかっこよくてたのしー!となり、へろへろ状態から一気に回復。単純すぎる。
ほんとは朝イチの曽我部さんから来たかったけど、さすがにちょっと厳しかった。
そばステージ周辺の出店テントを物色したり、ゴキゲンな音楽を流すDJを遠目に眺めるなどしていたらあっという間に日が傾き始める時間になった。
りんごステージに向かうと溢れんばかりの人、人、人。自分がBONNIE PINKのA Perfect Skyを生で聴く日が来るとは思わなかった。しかもバンドセット。
小山田壮平さんを観るのは今年2回目。そのあとにPKが待ち受けているこの流れ、6月に行われたキネマ倶楽部の2マンとまんま同じで、PKのおかげでまた小山田さんを観れるようなもんだからありがたいなーという気持ちでいた。
待ってました!と言わんばかりの歓声。あたりまえだけど、この場にいる人みーんな小山田さんが大好きなんだろうなと伝わってくるムードにつられわたしも口角が上がってしまった。こんな空間だからかSunrise&Sunsetの「悲しみは消えない」がやたら優しく聴こえて胸の奥がぎゅっとした。べつに悲しかったわけじゃないけどそういう気持ちもむりに消さなくていいんだな、とか思えて。2マンの時に印象深かったLife Is Partyもまた聴けて嬉しかった。
すっかり日も沈み、辺りには鈴虫の鳴き声が響いていた。こんな最高ロケーションでPKのライブ観れるの、ヤバ!わたしはロケーション重視のオタクなので、出番が夜なのもりんご音楽祭に行きたい理由の大きなひとつだった。このバンドはどう考えても昼の青空より星の見える夜が似合う。
ポケモンのSEが流れ出し、グリーンの照明がぐるぐると回転するのが怪しい雰囲気全開でサイコーーだった。アンドレ、カイくん、にしけんの3人とも広げたロゴタオルを掲げながら登場。ヤマトさんはいつも通りPKのバスタオルをマントみたいに肩にかけていた。
「にしおかくんお願いします」とお決まりの一言からイントロのベースへ。残暑も和らいだ9月最後の日曜日、木々に囲まれた夜の野外ステージ。ここで絶対に君の秘密になりたいが聴きたかった。一曲目で叶っちゃった。
この日は“夏の終わり”にフォーカスを当てて曲が組まれていたのかなと個人的には思っていて、ほんとうに美しいセトリだった。わたしが好きなPK shampooの姿ってこれだ。
ツアーセトリでこの曲たちが一緒に入っている日があればいいなと妄想していたのが、夏に思い出すことのすべて・君の秘密になりたい・市營葬儀・落空だったので、ツアーの番外編みたいだったなとも勝手ながら思っている。
MCで「初めて僕らを見る人も多いと思いますが…」と話していたのが印象的だった。なのに外向けの代表曲っぽいわかりやすいさじゃなく、曲の強さで黙らせるみたいなある種攻めたセトリ持ってきたの、信頼。
「まるで命がいらないように 生きていくしかなかったこと」
「君のすべてがまぶしいこと 夏に思い出すことのすべて」
泣き叫ぶような歌声に心が揺さぶられて、あまりの気迫にぼんやりと立ち尽くしすことしかできなかった。
終盤で星のイントロが始まったときは喜びがデカすぎて崩れ落ちるかと思った。この日は雲が多くて星が見えないのが残念だったけど、曲で聴けたから無問題!「おれ…天使になってまうかも〜!」のおふざけ入りが定着(?)してきた最新曲の天使になるかもしれないがラストなのも、綺麗な締めくくりでめちゃくちゃ良かった!!!感服です。
君の秘密になりたいの歌詞みたく秋の気配をまとった風がひんやり心地よかったこと、逆光になった照明の光にふちどられたヤマトさんの姿がきらきらとまばゆかったこと。何気ないことほど忘れたくないな。PKのライブで心が動いた瞬間はこれまでもたくさんあったけど、涙がこぼれたのは初めてだった。
前日の札幌もめちゃくちゃ良いライブで、りんご音楽祭はその延長線上のような、ふたつのライブがつながってるみたいな感覚があった。この流れで観られて本当によかった…
帰りぎわに何年ぶり?の元気いっぱいなせのしすたぁを久しぶりに見て感動の余韻はどこかへ飛んでいった。スギムさんもすこし覗いてから帰りたかったけど時間が危うくて断念。
大満足だったからまた行きたいな。来年は前日にありえない距離感の土地でライブが入らないことを祈ります。楽しかった〜!