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【エッセイ】猟奇的な彼氏

 久々に韓国映画『猟奇的な彼女』を観た。2003年公開。当時二十歳で多感だった僕は『彼女』の背中を何度も見直した。
 暴力は振るわなかったけど、振り回した男は数知れず。

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 「いい空気が吸いたい。今から軽井沢でランチしない?」
 「六本木ヒルズの機械式駐車場がおもしろそう。停めに行こうよ?」
 「海が見たい。東海道でもドライブして、実家で降ろしてくんない?」
 車で駆けつけてくれた彼らには今でも感謝している。きっとみんな天国に行くと思う。

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 阪急メンズ館で待ち合わせ。「少し入ってみようよ」と目当てのお店に入る。そこで帽子を2つかぶって見せて、
 「ねえ、どっちが似合う?」
 彼が「うーん、こっち」と言った方をじっと見つめる。そして領収証を切ってくれた実業家は「贈答品代でお願いします」とレジに伝える。

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 酔った時はひどい。噴水に落ちたところを助けてくれたり、ゲロまみれになり「穴に入りたい」とマンホールに入ろうとする僕を止めに入ったり。とにかく面倒くさかった。

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 今はひとりで生きていくことに慣れてしまった。指輪も要らないけど、話し相手は欲しい。

 仮に僕が地獄に落ちたとしても、また会いたいと想ってくれたなら、天国から手を差し伸べて欲しい。


 「ありがとう。汗かいた。今から草津温泉でひとっぷろ浴びて、軽井沢にメシ食いに行かない?」

クスっと笑えたら100円!(笑)そんなおみくじみたいな言霊を発信していけたらと思っています。サポートいつでもお待ちしております。