【コラム】ゲシュタルト崩壊する沖縄。
何かものすごい「認識の変化」を感じた。
ここは何処で、何をしているのかが、一瞬わからなくなった。
まとまった沖縄のイメージがバラバラになっていく不思議な感覚。
那覇に来ているのに、曇り空の中、海にも行かず、人気の極少ない国際通りを歩き、美味しいパスタを食べ、夜は桜坂で飲んで、記憶を取り戻したら外資系ホテルで目覚め、ハーブティーみたいなのを淹れて飲む。
沖縄といえば、というパーツは沢山ある。
ぐるくんの天ぷら。アーサー汁。ちんすこう。青い海。青い空。ごったがえす観光客。
なんかそんなパーツが崩れ、「僕は今、どこで何をしているんだろう・・・?」という感覚に陥った。
結局、「沖縄」という形態を勝手に作っていたのは自分だった。
かろうじて、たまに吹く生ぬるい風と現在の日付けに目をやれば、その”矛盾”が、今ぼくが那覇にいるんだと気付かせる。
メニューにかろうじてアーサーとじゃこのピザと書いてある。
ドンキにかろうじてうみんちゅTシャツが売っている。
道の地名標識がかろうじて読めない。
かろうじて黒糖。
か
ろ
う
じ
て…
そんな那覇を離れ、読谷の残波岬に来たら、曇り空ではあったけど、海が現れて、閉鎖中の屋外プールが現れ、パーツパーツで形成された過去のゲシュタルトがやっと回復してきた。
でも、また思う。
それは本当に沖縄なのか?
沖縄でなくても、東京でも泡盛は飲めるし、うみんちゅTシャツは買えるし、アーサーも食べられる。海も、空も、読めない地名も、沖縄でなくても・・・
そう思ったら、崩壊の後の『再構築』が待っていた。
沖縄だって、青い海なんてその一部でしかないし、むしろそんなもの、沖縄でも珍しくなってきているのかもしれない。
ゲシュタルトを形成していたパーツのひとつひとつは、それ自体が「かろうじて」存在しているのかもしれない。
もはや過去のゲシュタルトに縛られていた自分の方が、ばかばかしくなった。
今年は様々なものが崩壊した。
来年、再構築すればいい。
2021年が少し見えた。
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