2023-11-08 米国株連騰について
日経新聞の上記記事についての解説にもなる。
NASDAQ総合指数
NASDAQ総合指数とは、テクノロジー関連株をメインとしたNASDAQ市場に上場する株価指数。
2023-10-27(金) から、2023-11-08(水) にかけて、NASDAQ総合指数が9連日上昇した。
これが割と歴史的な連騰だったっぽい。
ただ、今後の動きには割と要注意だと思うんだよね。
今までの連騰記録と比較するとハイテク関連株に上昇の偏りがあって、エネルギー関連株などはむしろ下がっている。パソコンの普及機、スマホの普及機で記録した連騰はその後も上昇基調なことに納得がいくけど、今回の上げは理由が違う。
株価の上昇理由
理由は長期金利の低下。
まず長期金利の値と株価の関係性を以下のチャートに示す。
青がNASDAQ総合指数、黄色が米国債10年(期間10年米国債の金利を表す)価格。
"米国債10年"というチャートの表すものは、その債券の金利の値(単位は%)。
債券の金利が上がれば、債券価格は下落する。
イメージとしては、新しく発行される債券の方が魅力的(金利が高い)なので、現在発行されている債券の価格は下がる。(このイメージは俺由来なので正しいかはわからないけど結論は一般論なので絶対正しい)
とりあえず、長期金利(黄色)が下がれば株価(青色)が上がり、債券価格上がれば株価が下がるのがなんとなくわかると思う。(2023/04-09くらいはちょっと分からないけど…)
金利による株価の変動は、金利が低くなれば運転資金の調達が容易になり、今後企業が発展すると見込めるために、企業価値の向上に繋がると考えられて上昇するという理屈がある。
また他にも、経済学的には企業の現在価値と将来価値っていう話にもなる。
企業は将来これだけ稼ぐつもりですよっていう将来価値を提示している(中長期経営計画的な)し、投資家たちはそれを予測して投資を行っている。
この将来価値は、現在価値に金利分を上乗せしているものと考えることができる。
なぜなら、現在100億円稼げればその100億円はそれを元手に金利分だけ数年後には増えていることになる。
つまり、今すぐ100億円稼げる企業と、5年後に100億円稼げる企業は価値が違う。
時間軸を現在に合わせれば、この2つの企業の現在価値は変わることになる。(当然現在100億円稼げる企業の方が価値が高い。)
この考えを持っていると、金利が下がると、例えば分かりやすく0%と考えれば、上記2つの企業の価値は現在価値に換算しても同じになる。
だって今稼ぐ100億円はそのまま5年後10年後も金利的に価値が変わらないものになるから、5年後10年後に100億円稼ぐ企業と同じ扱いになる。
つまり、今回は金利が下がったことで、ある企業の将来価値は変わらなくても、現在価値は少し高まったことになる。
将来価値 = 現在価格 × (1+金利)
∴現在価格 = 将来価格 ÷ (1+金利)
⇒単純な数式的にも金利が下がれば現在価値は上がる。
ゆえに、価値が上がった企業の株が買われて連騰に繋がったという結論。
ちなみに、これは理論的にはあってるけど、自分的には納得はいかない。
金利によって現在価値の再計算が行われた結果、その企業の価値が高くなったって別に数字上の話でその企業の実力が変わったわけじゃないし…
いつかわかる時が来るのかな。
長期金利の低下理由
で、今度はなぜ長期金利が低下したのか。
これはそんなに難しくなくて、10月末に米連邦準備理事会(FRB)がFOMC会合を開いて経済動向についての見通を発表した。その結果、現在から更なる追加の利上げは行われなかったから。
むしろ、経済サイクルの転換点に入ったかもしれないなどと言った発言をしたため。
経済サイクルとは、「好景気→利上げによる金融引き締め→不景気→利下げによる金融緩和」のことで、今は利上げによる金融引き締めが度々行われてきたフェーズだったが、それがここ最近が転換点になるということ。
まとめ
10月末にアメリカのFRBが追加の利上げを行わないと決定した。
これを受けて長期金利が低下した。
長期金利が低下したことで株価が上昇した。
しかし、若干割安と見なされたハイテクグロース株が買われただけで、米国市場全体の株価が上昇したわけではない。
むしろ景気敏感株とされるエネルギー関連株は下がっており、ここが年末にかけての上昇基調の起点となるには判断が早いか…
記事の最後には、米長期金利が4.5%を下回ること(今は4.644%)は容認しておらず、そうなればまた利上げ(=金融引き締め)の可能性もあるのではないかとと書かれているしね。
利上げされれば株価は下がるし、一部には米国の成長がどこまで青天井なのか投資家たち全体は疑問を抱いている現在でもある。