米国株式市場 基礎
2023/9/16 6:02(JST)に公開された以下の記事の解説(自分の勉強)を行う。
米国株式相場を表す三大指数
まずこの記事は米国株式相場の評価をしているので、そもそもそれらの指数が何なのか、これを機に1つずつ解説する。
アメリカの株式相場の状況を表すためには、主に3つの指標が用いられる。
S&P500種指数
NYダウ工業株30種平均
ナスダック総合指数
まずは以下にそれぞれの概要を説明して、最後に3つまとめてチャート(2014-2023)を表示する。
S&P500種指数
一般にS&P500などと呼ばれる。
米国企業を幅広く代表する約500の企業が採用されている株価指数である。
S&P500は米国株式市場全体に対し約80%の時価総額比率を占めており、米国市場全体の動きを概ね反映していると言える。
算出元は「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC」という金融会社で、様々なインデックス(株価指数)を算出、公表してるアメリカの会社である。
算出方法は、時価総額加重平均法をとっており、時価総額が大きい大型株の影響を受けやすい指標となっている。
※反対に、株価平均型だと株価の高い株の影響を受けやすくなる。株価が高ければ時価総額も高くなるので算出方法の違いはそこまで重視されないが、値動きの仕方には差がある。
上位10位株は以下のようになっている。有名株が並ぶ。
(参照:https://www.jtg-sec.co.jp/bond/index.htm )
アップル
マイクロソフト
アマゾン・ドット・コム
エヌビディア
半導体関連企業。AI関連で大きな伸び。テスラ
メタ・プラットフォームズ
Facebook、Instagramを運営。アルファベットA
Googleを運営。アルファベットC
同じGoogleの株だが議決権無し。バークシャー・ハサウェイ
著名投資家ウォーレン・バフェットの投資運用会社ユナイテッドヘルス・グループ
米国最大の医療保険会社
参考記事
https://info.monex.co.jp/fund/guide/sp500-beginner.html
ダウ工業株30種平均
一般にNYダウ(ニューヨーク・ダウ)などと呼ばれる。
S&P500の中から米国を代表する30社を採用していて、「非常に良い評判があり、安定的な成長があり、多くの投資家が興味を持っている」という点に重きを置いている。
米国株式市場全体に対し約22%の時価総額比率を占めており、たった30銘柄でこれだけの比率を占めている。
算出元はS&P500と同じ「S&Pダウ・ジョーンズ・インデックスLLC」である。
算出方法は株価平均型で、各銘柄の株価変動に左右されやすい。
採用30銘柄は以下のリンクを参照。
https://itf.minkabu.jp/fund/03311138/detailed_info
参考記事:
https://info.monex.co.jp/fund/guide/nydow.html
ナスダック総合指数
一般にNASDAQなどと呼ばれる。
NASDAQ市場に上場している全ての銘柄約3000を対象として、時価総額加重平均法で算出されている。
米国株式市場全体に対して約50%の時価総額比率を占めている。
上位10位株は以下のようになっている。こちらも有名株が並ぶ。
(参照:https://www.jtg-sec.co.jp/bond/index.htm )
アップル
マイクロソフト
アマゾン・ドット・コム
エヌビディア
メタ・プラットフォームズ
テスラ
ブロードコム
半導体関連企業。アルファベットA
アルファベットC
ペプシコ
ペプシの会社。
参考記事:
https://info.monex.co.jp/fund/guide/nasdaq100.html
各指数のチャート
SBI証券で表示される3つの指数チャート。
2014年〜2023年9月現在までのチャートで、1本のローソク足は1ヶ月の値動きを表している。
以上の説明から推測できるように、3つの指数は大体同じような動きをしていることがわかる。
値動き率は以下のようになっている。
(2014年1月初値と2023年9月15日の終値との比較)
S&P500 : 241.1%
NYダウ : 208.9%
NASDAQ総合 : 329.5%
この差は、S&P500やNYダウは米国の株式全体から採用されるので、米国の株式市場であるニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック市場(NASDAQ)の両方から銘柄を選ぶ。
それに対してNASDAQはもちろんNASDAQ市場からのみ採用を行う。
そして、NASDAQ市場に上場する企業はハイテク関連やインターネット関連の新興企業が多く、それらの伸びが大きかった近年(2014年来)を比較すると、上記のような差が出ると説明できる。
参考記事:
https://www.oanda.jp/lab-education/dictionary/nasdaq/
米国株式相場解説
以上を踏まえて9/15の米国株式相場について。
15日(金)の株式相場は反落した。
下は例としてS&P500のチャートを示す。
8月初頭から見ても、少し大きな下落が見られた。
他の指数は以下のようになっている。
これに関してははいくつか考えられる理由がある。
チャート的に波動の一部だと考えることもできるが、ここでは記事に沿ってファンダメンタルからの分析を行う(=値動きの理由を経済ニュースから分析する)。
下落理由① FOMC会合
FOMC会合が来週9/19(火), 20(水) に開かれることを踏まえて、市場の様子を見るために買い控えが起こり、加えて一度利確をする動きも含めて、下落したと考えられる。
こうした動きが見られるFOMC会合とは何だろうか?
FOMC会合とは、「Federal Open Market Committee」(連邦公開市場委員会)の略で、米国の金融政策を決定する会合のこと。
これは年に8回開催され、現在の景況判断や政策金利の方針が発表される。
開催者は、FRB(The Federal Reserve Board:連邦準備制度理事会)を構成する7名の理事と、地区ごとの連邦準備銀行総裁5名で構成される。
ちなみに、現在のFRBの議長(トップ)はジェローム・パウエル氏(70歳)である。
FRB議長はニュースによく出てくるので覚えていて損はない。
FOMC会合の影響を見るために、前回のFOMC会合を振り返ってみよう。
前回のFOMC会合(7/25,26)では、主要政策金利を0.25pt引き上げることを決定し、それにより、上昇基調だった米国株式は一転反落した。
詳しく述べれば、FRBは米国で進行し続けるインフレを抑制するため、本会合で政策金利の上昇を決定した。
政策金利は下で補足として説明したい。簡単に言えば、市場の金利の動きは政策金利と同じようになる。
つまり、利上げにより個人や法人はお金を借りる際の利子が高くなるため、消費・設備投資の控えが起こることになる。
これにより経済活動は縮小し、インフレが抑制されることを目的としている。
こうした動きにより株価はどうなるのか?
一般に企業は銀行からの借入金も運転資金として利用しているため、利子が上がればその分借入する金額も減らすこととなり、結果として運転資金の減少を招く。
設備投資(運転資金)が減り、経済活動が縮小されれば、企業の売上高や営業利益は低くなり、株価はそれを見込んで下落に転じる。
このように、FRBによる金融政策の決定は株価に大きく影響を与えるものである。
前回のFOMC会合では以下のような発言が見られた。
上記の発言と、結果として0.25ptの利上げが行われたことを踏まえて、株式市場は経済の縮小を見込み、米国株式は全体的に大幅な下落という結果になった。
さて、今回のFOMC会合はどのような予想が立てられているのだろうか?
まず、先日(9/13(水))に発表された米CPI(消費者物価指数)の結果によれば、市場予想よりもインフレは進んでおり、米金融当局による利上げに余地を残す結果とされている。
CPIとはつまり消費者向けの物価の増減を表すもので、前月比(0.6%上昇)がここ1年余りで最大であり、また、前年同月比の伸び(3.7%上昇)が市場予想値を上回ったのである。
インフレは進行途中にあり、利上げによる金融引き締めを行う可能性があるとみられている。
ただし、注意すべきは今回のFOMCで利上げを行うのか、11月のFOMCで利上げを行うのかは定かではない。
また、9/14(木)に発表された米PPI(生産者物価指数)の結果も、1年ぶりの大幅な伸びを記録し、こちらもインフレを示唆している。
ガソリン価格の高騰が主に影響して、前月比0.7%増、前年同月比1.6%増となた。
直近で以上のような経済指標の発表があったことで、継続するインフレに対して米金融当局がどのような対策を出してくるのか、株式市場は様子見をしているために、一時下落目線のチャートとなった。
下落理由② 半導体関連株の下げ
半導体の受託生産大手、台湾積体電路製造(TSMC)が、9/15(金)に主要サプライヤーに対して、半導体製造装置の納入を遅らせるように求めた。
これにより半導体関連株は3%ほど下落し、これが全体の米株式相場にも反映されてしまった。
半導体の生産大手企業が半導体製造装置の納入を遅らせるということは、半導体の生産量が落ちていると推測され、半導体市場の縮小を見込んで下落に転じたと考えられる。