0311






わたしはずっと怒ってる。
あの日からずっと
畏怖の念を抱きながらも
どうにもならない怒りを抱えている。
あの日々を返してよ。って


あの日、本当は行く予定だった知り合いの葬儀に
仕事の都合がつかないでお花だけを送った。
翌日、受信した配達完了のメールに
現実世界との乖離を感じた。

配達した人は無事だったのだろうか?

参列した人は車で乗り合ってなんとかなったらしいと聞いた。ただそれ以外は全て持っていかれたって、わたしの送った花も、その花を手向けた人も。



関東だってなかなかのもんだった

すぐ隣の幹線道路を大型車両が通るだけで建物全体が揺れる、仮設の3階建ての事務所で働いていた、
ガチャガチャとすごい音を立てる鉄のポールの音
間仕切りが倒れる三階の部屋の中で

あ、ダメだ    と思った。潰れると
正直覚悟した。

とりあえず永遠に続くような長い時間だったけど
ひとまず持ち堪えた。

帰宅することすら困難な状況だった。
真っ暗になった海沿いの土地で
緩んだ地盤から噴き出す水のせいでぬかるんだ道路でわたしの靴はドロドロになりながら

帰宅しようとするタクシーを片っ端から捕まえて
行き先を確認して。
同じ方面だから!乗せて!
タダで帰るより賃走で帰ろうよ!

とアピールしてやっと乗せてもらって
帰宅する目処がたった。

運転手さんの今日の苦労を聞きながら。
職場の人に持たされた、食料の入ったビニル袋のおにぎりを渡して2人で食べながら…

明日からどうなるんだろうと途方に暮れて
見知らぬ運転手のおじさんと励ましあった。
正規の料金で乗せてもらったのは本当によかった。人が嫌いにならないで済んだ。



その日以降。電話を待つ日々だった。
お嫁に行った友達。

鳴らしても出ない電話、かかってこない電話。
本名も住所も知らない
そんな繋がりだと言われてしまえは返す言葉はないけれど。

でも一緒に、新木場のライブの後泣いて、いつか時が来たらまた一緒にライブに来ようって交わした
約束は大切なものだ


なんだか、ずっと申し訳なくて
申し訳なく思うことが罪なような気がして
胸を掻きむしりたいような心持ちでずっと
何も考えられずにいたけど。

時間薬とは言いたくはない、でも
自分の中の慟哭に向き合ってみようと思って
この1年間を過ごしてきた。
答えなんか出ないけど。


本音を言うなら
実は嫌われてて、あれを機に連絡先を消したのかも、それならいいや。

実はライブにも当選してもうすぐだーってワクワクしてたりしたらいいな。

そうであってほしい。
そんな夢をまだ見ていたい。

どうにもならない現実にずっと怒りながら
やっぱり携帯番号は変えられずにいる。

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