秋の嵐が始まる前の静けさか〜産経賞オールカマー回顧〜

雨に泣いたシャフリヤール

今週は秋のG1レース前最後の土日。東西でG1ホースがそれぞれ出走。
普通ならばクラシック最終関門のトライアル、神戸新聞杯を回顧すべきなんでしょう。久しぶりに「中京競馬場にダービーホース登場」で大盛り上がりでしたし。
結果をサラッと書くと、ダービーホースのシャフリヤールよりも道悪がうまかったステラヴェローチェが終始シャフリヤールをマークして完勝。ただ、このレース、恐らく本番、菊花賞の参考にはならなそう。なにより、レースが馬場悪すぎて特殊すぎる。ペースも位置取りも不良馬場を意識したレースぶりで間違いなく本番は異なる展開になるでしょう。
それよりも、このレースに出走した馬たちの消耗度が心配です。普通にこの馬場は体力をかなり使ったと思われます。菊花賞へ向けて、体力の回復が鍵になりそうです

本題〜産経賞オールカマー〜

もうひとつの重賞は伝統の一戦、産経賞オールカマー。
いまでもよく映像が流れる「ツインターボ」が逃げ切ったのは1993年のこのレース。時のG1ホース、ライスシャワー、シスタートウショウやアイドル的人気馬ホワイトストーン、南関東競馬の傑作ハシルショウグンを向こうに回して、小柄な身体で「堂々の逃げ切り成った」(ラジオたんぱ白川次郎アナ、当時)レースは圧巻。

中山2,200mはスタート直後に急な登り坂があるため、どうしても先行するには足が必要になります。よって、2コーナーくらいまでは中段でレースを運び、向こう正面から少しずつ進出してゴール前粘り込むのがよくあるパターンです。
それがあっという間に先頭に立ち、そのまま引き離して逃げ切るというのはセオリー無視なレース。レース映像に『大脱走マーチ The Great Escape March』を被せても様になるその姿の輝きは一瞬でしたが、間違いなくG1ホース級の輝きでした。

閑話休題

今年はメンバーも揃って16頭でしたが、有力馬は馬体重の増減が激しく、正に「秋初戦の力試し」の様相、前半1,000mが60.7秒のスローペース、3コーナー過ぎに一気にペースが上がる展開で先行馬有利な流れでした。

レースはこちら。
https://youtu.be/bKLTaikXaLg


ウインマリリン

中山競馬場が本当に得意ですね。
ロザムールが逃げるのは想定内で、それほどペースも上がらないとみて道中2番手で見る形。ほぼ同位置にいたレイパパレと後方から押し上げたグローリーヴェイズが先頭に立ってペースが一気に上がっても慌てず騒がず。
直線一瞬、行き場がなくなったところを強引にこじ開けて、直線の坂を一気に駆け上がり先頭へ立つとそのまま突き放してゴール。レース展開が嵌りましたね。
次走が天皇賞(秋)だともっとペースが流れるので今日と同じようにはいきませんが、広い東京コースに変わるので、今日みたいに「行き場がない」という展開にはならなそう。コース替わりでマイナスもレース展開が紛れないため一瞬の脚が活かせるかが鍵ですね。

グローリーヴェイズ

道中後方から3コーナーで一気に押し上げて先頭集団に取り付き、最後はウインマリリンの決め手に屈し、ゴール前の競り合いでウインキートスにも交わされ3着。
後方にいれば、所謂「ヨーイドン」の競馬は苦しいですが、間違いなくレースを自分で作りにいったところは評価すべきでしょう。3コーナーで押し上げにいった分、最後が甘くなりましたが、よくがんばったと思います。次走は天皇賞でしょうが、レースが流れることを考えるともう少し中段での競馬になるかもしれません。この馬にとってはいい方向に向くと思います。

レイパパレ

競馬の格言で「連勝中の馬は買い続けろ」というものがあります。所謂、「勢いには逆らうな」というやつです。
そういう意味では、前走の宝塚記念(G1) で連勝ストップなのでこのレースが試金石になるわけですが結果は4着。がっかりされた方も多いかと思いますが、レース内容はかなり良かったと思います。終始2番手集団でいきたがり、道中、川田将雅騎手が宥めながら追走。3コーナー手前で折り合いがつきましたが、ここからレースが一気に動き、グローリーヴェイズと鼻面を合わせて直線へ、坂下で先頭に立つとそのままグローリーヴェイズとの叩き合いへ。最後は決め手勝負で一瞬の脚を使われたウインマリリンに差され、目標とされたことで力尽き4着。
グローリーヴェイズもそうですがG1馬で目標とされたこと、加えてグローリーヴェイズと違ってレースでの折り合いにかけたことが3着と4着の差なのでしょう。グローリーヴェイズと同じく、天皇賞ではレースペースは早くなるでしょうから、本番も間違いなく上位争いできると思われます。

パリは燃えているか

さて、来週は日本でスプリンターズステークス(Grade 1)、フランスのパリロンシャンで凱旋門賞(Group 1) のウィーク。ちなみに、日米は「Grade」でヨーロッパは「Group」という違いがあったりします。意味合いは一緒ですけど、ちょっとした豆知識です。
スプリンターズステークスも楽しみですが、やはり凱旋門賞が気になります。
空前の豪華メンバーに日本馬がどう挑むのか。ディープボンドは前走を完勝し馬場適性のあるところを見せられたので、親父の置き土産を取れるのかどうか。クロノジェネシスは牝馬の5歳の連対例が少ないことと直行が気になりますが、日本調教馬で最も強い一頭なのは疑いようないところ、どこまで太刀打ちできるか。
そして、武豊騎手の挑戦、今年はブルームということになりました。本当は日本調教馬で挑戦してもらいたいですが、中々お手馬が遠征しない中、松島オーナーとクールモアスタッドのサポートに感謝です。チャンスは多くないかもしれませんが、日本調教馬と一緒に応援したいですね。

それではまた。

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