Logic Proのコンプレッサーの仕様
Logic Proのコンプレッサーの仕様。それぞれのモデルは異なるアナログ機器をエミュレートしており、それぞれに特徴的な音質や反応がある。
1. Studio FET
モデル: Universal Audio 1176のエミュレート
特徴: 非常に速いアタックとリリースタイムを持ち、アグレッシブでパンチのあるサウンドを作り出す。トランジェントを際立たせるため、ドラムやパーカッシブな素材に適している。
2. Vintage VCA
モデル: dbx 160のエミュレート
特徴: クリアで力強い圧縮を提供し、非常にスムースなサウンドを実現。音のエッジを滑らかに扱いつつ、ダイナミクスをしっかりとコントロールするため、バス処理やマスタリングにも適している。
3. Vintage FET
モデル: Fairchild 670のエミュレート
特徴: 非常に豊かで暖かみのある音質を持ち、ナチュラルなサチュレーションとソフトなクリッピングが特徴。ボーカルやストリングスなど、より繊細な素材に適しており、全体的に「音を包み込む」ような感じの圧縮を行う。
4. Studio VCA
モデル: Focusrite Red 3のエミュレート
特徴: 非常に透明感のある圧縮を実現し、音の本質を変えずにレベルをコントロールする。バスやグループトラックに使うことで、一貫性のあるサウンドを維持しつつ、ピーキングを抑えることができる。
5. Studio Optical
モデル: Teletronix LA-2Aのエミュレート
特徴: 自動的にアタックとリリースを調整する光学式コンプレッサーで、非常にスムーズで音楽的な圧縮が特徴。ボーカルやベースに特に適しており、自然に音量を整えることができる。
OTT(Over The Top)
OTT(Over The Top)は、Xfer Recordsが提供するフリーマルチバンドコンプレッサーで、特にEDMやポップミュージックで広く使用されています。
OTTの主要な特徴
マルチバンドコンプレッション:
OTTは低域、中域、高域の3つのバンドに分けてそれぞれ個別にコンプレッションをかけます。これにより、各周波数帯域が適切に圧縮され、バランスの取れた音になります。
上向きと下向きのコンプレッション:
OTTは上向き(アップワード)と下向き(ダウンワード)の両方のコンプレッションを同時に行います。上向きのコンプレッションは、音量の低い部分を持ち上げ、下向きのコンプレッションは音量の高い部分を抑えます。これにより、ダイナミクスが非常にタイトで明瞭なサウンドになります。
普通のコンプレッサーとの違い
マルチバンド vs シングルバンド:
通常のコンプレッサーはシングルバンドで全体の音を一括で圧縮しますが、OTTは3つのバンドに分けて個別に圧縮します。これにより、特定の帯域に特化した処理が可能です。
上向きのコンプレッション:
多くの通常のコンプレッサーは下向きのコンプレッションのみを行いますが、OTTは上向きのコンプレッションも行います。これにより、静かな部分も強調され、音全体が豊かになります。
使用シナリオ:
OTTは特に複雑で多層的なサウンドを持つトラックに対して効果的です。特にEDMやポップミュージックのようなジャンルでは、その明瞭でパンチのあるサウンドが求められるため、OTTが重宝されます。一方、通常のコンプレッサーはより伝統的なダイナミクスコントロールに使用されます。
OTTと普通のコンプレッサーの使い分け
OTTの使用シナリオ:
複数の周波数帯域を持つ複雑なミックスで、全体の音を明瞭にしたいとき。
音のディテールを強調し、ダイナミクスをタイトにしたいとき。
パンチのある、イン・ユア・フェイスなサウンドが必要なとき。
通常のコンプレッサーの使用シナリオ:
特定の楽器やボーカルのダイナミクスをコントロールしたいとき。
シンプルなミックスで、全体の音を滑らかに整えたいとき。
自然なサウンドを維持しつつ、音量のバランスを取りたいとき。
具体的な例としては、OTTをドラムバスやシンセパッドに使用して音をはっきりさせ、通常のコンプレッサーをボーカルやアコースティック楽器に使用してダイナミクスを整えるといった使い分けが考えられます。