胃切除後症候群について
胃を失うことで生じるさまざまな症状
胃を切除するということは、胃の機能を失うということでもあります。胃を切除したことによる後遺症を、胃切除後症候群といいます
ダンピング症候群
早期ダンピング症候群と後期ダンピング症候群に分かれます。
早期ダンピング症候群食後5~30分で、冷や汗、動悸、めまい、しびれ、だるさなどの全身症状、腹痛や下痢、吐き気、嘔吐、腹部膨満などの腹部症状が現れる。
後期ダンピング症候群食後2~3時間で、頭痛、倦怠感、発汗、めまい、脈や呼吸が速くなる
食べ物が胃内にためられることなく、そのまま短時間のうちに小腸に流れ込むことで起こります。対処法としては、食事は一度にたくさん食べず噛む回数を多くする、症状が起きそうだと感じたらすぐに飴をなめる、などです。
下痢
食べ物が一度に小腸に流れ込むことなどにより、神経反射が起こったり、腸の蠕動運動が過剰になったりして起こります。栄養分の高い食事を、少しずつ回数を多くして食べるようにしましょう。
貧血
症状は、動悸や息切れ、めまい、疲れやすさなどで、鉄分やビタミンB12の吸収力低下などで起こります。対処法としては、鉄剤やビタミンB12の投与があります。
栄養障害
ダンピング症候群や下痢、タンパク質や脂肪、鉄分やビタミンB12の吸収力低下によって、体力が回復しない、下痢、白っぽい便(脂肪便)が出る、むくみ(低たんぱく)、体重減少などの症状をきたします。栄養補助食品などを上手に取り入れましょう。
逆流性食道炎
症状は、食後の胸やけ、むかつき、みぞおちの痛みなどです。噴門側胃切除で噴門部を失ったことにより、食べ物が逆流しやすくなります。食後はすぐに横にならない、夕食は就寝の約3時間前までにすませる、などを習慣づけましょう
胃切除後胆石
手術で胆嚢の神経が切れてしまうと胆嚢の動きが悪くなり、結石ができやすくなり、腹痛が生じます。治療法は胆嚢の摘出ですが、予防として、胃切除のときにあらかじめ胆嚢をとることもあります。
骨粗しょう症
胃切除により、カルシウムの吸収が悪くなるため、骨密度が低下し、骨がもろくなって骨折しやすくなります。
骨密度測定を定期的に行って、早期発見に努めましょう。治療法としては食事療法、運動療法、薬物治療などがあります。