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10年ぶりの母弁当は私との合作。




実家の母が、私の暮らす東京に遊びに来た。

スープが冷めきらない距離がちょうどいい、なんてよく言ったものだけど、実家は新幹線で片道4時間。スープ冷え冷え。
気軽なキョリではないけど、今回はちょっとこちらで用事があり来てくれた。

用事を済ませた後は、ひたすら家で一緒にドラマをみたり、私が通っている足ツボマッサージに一緒に行ったり。
(私がネトフリ大好きなのと健康オタクの節があるのは、母の血を濃ーく受け継いでいる)



実家に比べたら何分の一のちんまりした賃貸アパートで、母と2人だらだら過ごす。
夫との2人暮らしももちろん楽しくてリラックスはできるけど、実家の家族というのはやっぱり羽の伸び具合が違うんだよなぁ。



母は2泊して帰っていった。



帰る日、私は仕事。仕事の日は弁当派なので、いつもと同じように準備していると、母が「詰めとこうか」。
朝の準備の時間が浮くので幸いと、コレとコレ適当に詰めて、と頼んでまかせた。


さて昼休憩、弁当箱を開ける。
入っているものは自分が作ったおかずの残り物なのだけど。

詰め方が、あまりにも母。



カップを使わずにおかず同士をぴしっと寄せあわせてギュウギュウに詰めるところも、
ご飯が斜めに盛られていて何となく見栄えが良いところも、
あまりにも母の弁当。

毎日作ってもらっていた約10年前、高校生の頃に戻ったような感覚になる。


ちなみに自分で詰めるときは、スピード重視。
所要5分。虚無。単純作業。

ずぼずぼ詰めるものだから、いつも開けたときにはおかず同士のテリトリー侵犯がすごいことになっている。まあ、食べるの自分だしそれでいいんだよ。

誰かのために詰めるってだけで、こんなにも違うものか。



そして一個、覚えのないおかずが入っていて。
厚焼き卵。


そういえば、お弁当に使えそうなのちゃちゃっと作っとく、とか言ってキッチンに立っていた時間があった。これ作ってたのか。




これまた高校生の頃に食べていた味のまま。
ちょっと涙ぐむ…というよりは、いやぁ母だな〜、と。

あの頃と同じだけど、違う。私と母の合作弁当。懐かしいような可笑しいような。
緩んだ頬を引きしめようとして変に力が入り、デスクで不敵に笑ってしまった。


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