天の月、地の愚者。
今年もまた、こうして、未月の日を想う。
あの時あたしもこの命を終わらせようとして、
なのにあたしは無様に生きながらえていて、
だからこそ今アナタを想うコトが出来ている。
アナタを体現する入れ物は存在しないけど、
アナタは確かにあたしの中に存在して、
こうしてね、
何年も何年も生き続けていて、
あたしの命が続く限り、
その存在はきっと消えるコトはないだろう。
あたしが弱く愚かだったばかりに、
アナタの存在が作られ、
そして無惨にも空に還してしまった。
救うコトが叶わなかった。
奴のせいにするのは簡単だけど、
どんな言い訳しても、
最終的に決断したのはあたし自身。
アナタを殺してまで、
無駄に命を繋いでるあたしには、
生きる価値なんかこれっぽっちもないけど、
それでもこうして生きていて、
それにはきっと意味があるんだろう。
今のあたしにいったい何が出来るのだろう。
何年も何年もその答えを探してる。
いつかこの命が終わる時、
きっとあたしは地獄に堕ちるのだろう。
あたしがアナタにしたように、
いつか奈落の底に堕ちてゆくのだろう。
アナタの元にはたぶん行けない。
この命は必ずいつかは終わる。
その時まで、どうか待っててね。
あたしが堕ちてゆくのを見届けてね、未月。そしてきっとね。
奴も忘れずに地獄に堕としてあげるからね。