市内RPG 64 攻・防
「始め。」
審判のおじさんが戦闘開始を告げた。
その言葉と同時に、ぼくらは飛び下がった。
最初の攻撃は、魔法使いヒラだった。
「メチャアツッ!」
強力な火の魔法が、相手の戦士井上を襲う。
ヒラの手のひらから巨大な火柱が、相手の戦士井上に向かって放たれた。
ところが、シューーン。
火柱は一瞬で熱い水蒸気に変わった。それもすぐにかき消され、井上のスパイクに吸収されてしまった。
「ふふん、、、これは炎のスパイク。火の魔法を吸収する。」
井上が余裕の表情を見せた。そして、僧侶カナに飛びかかってきた。炎のホームランバットがうなる。
戦士ヤスが横からベリービッグコンパスで薙ぎ払った。
「うぐっ。」
わき腹を打たれて、井上の動きが止まった。井上は、痛みをこらえて、飛び下がった。
「ツララン。」
井上が下がったのを見て、相手の魔法使いのルミが氷の呪文を唱えた。
突然、頭上に4本の小さなつららが出現した。そして、一瞬、揺れたかと思ったら、ぼくたち目がけて、落ちてきた。
「メチャアツッ!!」
ヒラが再び火の呪文を唱えた。
ジュワッ。つららは水蒸気になって消えた。
「なかなかやるな。」
相手の勇者馬場がにやりと笑った。
そして、青龍刀で宙を十字に切り裂いた。
水のかたまりが十字の形に現れたかと思うと、水の刃となって襲い掛かってきた。
「あぶない。」
魔法使いヒラが、魔ンホールのふたで受け止めた。水の刃は砕け散った。
「ビリー!」
そのスキをついて、ぼくは雷の魔法を唱えた。
小さな雷が、馬場を直撃した。
「いてててて。」
馬場は、片膝をついた。
「おりゃーーーあ!!」
戦士ヤスが馬場にベリービッグコンパスをたたきつけた。
馬場の向こうで、太っちょメガネの僧侶ライトが、水玉の傘を、ヤスに向けた。
ドンッ、ドンッ。傘の先から、大きな水の玉が飛び出し、ヤスに命中した。
ヤスは、その威力に3mほど吹っ飛ばされた。
「ナムー」
僧侶カナがヤスに回復の魔法をかけた。淡い緑の光がヤスの体を包んだ。
「サンキュー、カナ。」ヤスは痛みをこらえて笑った。
相手の僧侶ライトは、水玉の傘の先をカナに向けた。
ドンッ、ドンッ。また、水の玉が飛び出した。
魔法使いヒラが、その間に入って、魔ンホールのふたで受け止めた。
ヒラに向かって、相手の戦士井上が炎のホームランバットを振りかぶる。
「カタイン」
カナは防御力アップの魔法をヒラにかける。
炎のホームランバットがヒラを激しく打ち付けたが、ヒラは大丈夫そうだった。
「もう一発じゃーーーー」
また、井上は、炎のホームランバットでもう一度ヒラを打ち付けた。
「いてーーーーー」
ヒラは打たれた左腕をおさえながら、悲鳴をあげた。
防御力アップの効果は短いらしい。
一進一退の攻防が続く。
(続く)
前回はこちら。
https://note.com/you_haku/n/nd2fe0c51374b
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