ドライブスルーで怒る人【フォトギャラリー短編】

昼は、ハンバーガーにしようかな。
あつあつのポテトは、この寒い時期は最高だからなあ。

車を左折させて、ドライブスルーに入っていく。

丁度、お昼１２：００。なかなか混んでいる。

と、思ったら、お昼だから、混んでいるというわけではなさそうだ。
５台並んでいるのだが、注文する機械の前で、６０歳くらいの男性が怒っているのだ。
車は別のところに駐車しているようなので、ドライブスルーの列は、その男性に気をつかいながら、ゆっくりと進んでいる。

「チキンなんだよ、入っていたのは」
男性は、若い店員に向かって怒っていた。
「ポテトじゃなくて、チキンが入っていたんだよ。チキンが。」
どうやら、ポテトを注文したのに、チキンが入っていたらしい。忙しいんだから、そういうこともあるでしょうに。
「家族のためにわざわざ来たんだよ。伝票にもポテトと書いてあるだろ。どうしてチキンなんだよ」
男性はレシートを袋の中から取り出して言った。どうしてと言われても答えようがないじゃないか。
「この前もこうだったんだから」
店員は平謝りしている。
「すみません、お客様すぐにお持ちします」
「往復の時間もかかっているんだよ。次の予定もあるのに、・・・」
なかなか商品を渡すだけではな、男性の怒りは収まらないように見える。

怒っている男性を見ながら、ゆっくりと車を進めた。そばを通り過ぎる。
「ドンマイ。そんなこともあるさ。がんばれ、店員さん」
心の中で、店員さんを応援した。

注文を済ませ、商品を受け取り、ハンバーガーショップを出たが、まだ男性は話しているようだった。
よほど怒りが収まらないのだろう。

しばらく車を走らせて、袋を開ける。

「・・・・・ポテトがない。チキンだ」

（お礼）tonarinomayuさん、素敵な写真をありがとうございました。実話を交えた短編を書くことができました。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。スキやコメントをいただけると、ポテトのことを忘れることができるかもしれません。いや、お昼に食べようかな。