市内RPG 12強くなるパーティー
ぼくら勇者、戦士、魔法使い、僧侶のパーティーは、子郡駅から電車に乗って、1つ北の小保駅で降りて、アスファルトの道を歩いている。
「ちょっと遠くない?だから、明日にしようと言ったのに」
さっきパーティーに加わった僧侶のカナは、文句をたらたら言いっぱなしだ。
「明日、自転車でって言ったのに」
戦士ヤス、魔法使いヒラ、勇者のぼくはそれを聞き流しながら歩いた。
広い県道が真っ直ぐ伸びている。片側は住宅地、もう片側は田んぼが広がっている。風はあるのだけど、日差しが強い。目的地は運動公園。
カナの登録のために行った市役所で、環境推進課の尾林さんからある情報をもらったのだ。
「運動公園で走っているランナーが怪しいということです。行きますか」
「行きます」ぼくらはそろって答えた。
カナのぼやきは続いている。
「そう言えば、カナ、装備、まだしてないよね」
カナのぼやきが止まった。
「防具や武器を登録しないと」
カナの装備をケータイで登録する。
花の飾り帽子、少林寺拳法道着、スニーカー。
「あ、これも」
カナは、木魚のばちをリュックから取り出した。
「これ、神様のバチが当たるんじゃないの、ばちだけに」ヒラが小さい声で言った。
「何言ってんの。魔王を倒すためだから、逆に喜んでくれるわよ」
カナが言うと説得力がある。
「武器は木魚ばち。登録終了」ケータイで登録することで、攻撃力が上がるのだ。
と、田んぼの溝にジャンボタニシ発見。
赤いプチプチのタマゴから生まれるやつだ。稲を食い荒らす外来種だ。
「レベル上げに丁度いいぞ」ヤスが言った。
「アツッ、アツッ、アツッ」
魔法使いのヒラが火の呪文アツッを3連発して、勝利した。
カナも木魚ばちでぶん殴っていた。
8匹のジャンボタニシを倒した。僧侶のカナが仲間になったことで、戦闘はすごく楽になった。
ヒラがアツッの呪文で火の攻撃。
ぼくがヒノキボーを振り回す。
カナが木魚ばちを打ちつける。
ヤスがバトルステッキでぶっ叩く。
傷ついたり疲れ果てたりすれば、僧侶のカナが回復呪文ナムーを唱える。
ぼくとカナはレベル5。ヤスとヒラはレベル6。
勇者のぼくは、火の呪文アツッを覚えたようだ。
魔法使いのヒラは、火の強化呪文メチャアツッを覚えたようだ。
僧侶のカナは回復系全体呪文ナムミナーを覚えた。
戦士ヤスは呪文は覚えられない。
(続く)