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市内RPG ②仲間

二師鉄電車と二師鉄バスに乗って、明仙高校へ行く。夏休みなのに、補習があるなんて。進学校だからしかたないが、つまらない。

大穂駅からヤスが乗ってきた。
「おはよう」
「おぃーす」
ヤスのテンションは朝はこのくらい。いつものことだ。本人曰く、低血圧らしい。ひくいテンションのヤスとはなかなか盛り上がれない。無言で、電車に揺られている。ぼくらは電車の一番前に乗る。混まないし、乗客の先頭にいるということは何かうれしい。

次の足坂駅からはヒラが乗ってくる。いきなりヒラが尋ねてきた。
「おはよう。ねーねー、魔王のこと、知ってる?」
ヒラとはなかなかウマが合う。以心伝心ってことが時々ある。
「うちに回覧板が届いててね。魔王を倒したら、懸賞金だってよ」とヒラ。
「それ、見た。でも、誰か倒すでしょ」とぼく。
「いやいや、それを言ったら終わりでしょ。誰かじゃなくて、ぼくら。」
「ぼくら?それに、オレも入ってる?」ヤスが尋ねた。
「もちろん、この3人さ」ヒラは嬉しそうに言った。

「説明会があるらしいから、明日行ってみようぜ」
あれ、バイト探さないといけないけど。ヒラの強引さにぼくもヤスも逃げられなくなった。

明仙高校は、古い学校だ。ぼくらが住む子郡市の隣、来目市にある。来目市はなかなか都会だ。来目駅は子郡駅には止まらない特急電車が止まる。ぼくらは、来目市の友達からは少しバカにされる。まあ、よくある故郷自慢。どっちが都会か取り留めもないのだが。
「あら、今日もギリギリだったわね。子郡は遠いから、大変ねー」
同級生のカナだ。来目市在住。
「カナは来目の端っこだろ。そこは来目じゃないらしいぞ。」
「そんなことないもん。子郡よりは都会だから」
「それはどーだか。そんな田舎には行ったことないから、わからんわ」

カナとしようもない会話をしてたら、高山田先生が来て、数学の補習が始まった。

「あーあ、やっと補習が終わった。帰ろうぜ」ヤスが言った。
「補習は今日までだし。丁度よかったね。明日、9時30分に市役所だから。」ヒラは忘れてなかった。
「じゃ9時に子郡駅前集合で」

まあ、説明会くらいなら、話のネタになるかな。



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