2024年7月の記事一覧
リベンジトリートメント【毎週ショートショートnote】
「それでは、鏡の前に座ってください。復讐したいのは、彼氏でしたね。顔を思い浮かべてください。鏡の向こうにいるとしましょう。」
「にらんで、にらんで。負けないで。涙はこらえて。」
「いい表情です。十分怒りがたまったら、一言言ってやりましょう。」
「しょうまのバカーーーーーー。」
「いいですねー、さらに一言。」
「この浮気性。最低人間。別れてせいせいしたわ。バカーーーー。」
「よい顔つきになりました
海のピ【毎週ショートショートnote】
「もう帰ろうよ。」香織は、恋人の俊哉に何度も言っていた。
「海に行きたいって言ったのは、お前だぜ。」
「そうだけど、、、」
「ほら、海の音、海の風。気持ちいいじゃない。」
「でも、今日は特別な日だから。なんだか海がこわいわ。」
「気にするなよ。あんなの言い伝えさ。」
そう笑っていた俊哉の顔がひきつった。
まわりをたくさんの人たちに囲まれていたのだ。
海のにおいがきつい。この人らのせいか。
葉っぱを食べる【フォトギャラリー短編】
葉っぱを食べる。
葉っぱを食べる。
ただひたすらに、葉っぱを食べる。
葉っぱを食べる。
葉っぱを食べる。
食べたら、少し休む。
休んだ後は、葉っぱを食べる。
無心で食べる。
違うものを食べたくなっても、今は葉っぱを食べる。
がまんして食べている。
いつかは、食べることができなくなるだろう。
だから、今、葉っぱを食べている。
同じものを何度も何度も食べている。
そして、
いつか、
蜜
チベットユキヒョウ【フォトギャラリー短編】
名古屋の博物館に飾られている、チベットユキヒョウ。
チベットで生まれて、
氷の高山ですくすく育ち、
恋をして、
命が尽きた、チベットユキヒョウ。
と、思われているんだろうなあ。
だけど、オレは、本当は、
名古屋の動物園で生まれて、
飼育員さんに可愛がられて、
おいしいものを食べて、
命が尽きちゃったんだなーー。
今は、名古屋の博物館で、みんなの注目を集めている。
一度は、チ
きっと出会える、あと半分【みんなのフォトギャラリー短編】
「どこにいるんだろうな。」
龍は、花束を持って、探している。
探し始めて、7か月が経つが、まだ、見つからない。
「どこにいるのかな。」
探しても、探しても、出会えないということは、寂しいことだ。
龍も、ときどき、そんなことを考えて、くじけそうになるが、なんとかふんばっている。
「早く会いたいな。」
会うことは、決まっている。
あと、5か月後だ。半分は過ぎている。
それまでは、探し続け
発砲通報プロ【毎週ショートショートnote】
この町は、2つのギャングに支配されていた。
パンッ、パンッ。
パンッ、パンッ。
乾いた銃声が響く。
銃声が聞こえたとたん、警察署のアラームが光った。
「G地区で、発砲を確認。緊急出動!」
パトカーがサイレンを鳴らしながら、急行する。
ギャングたちは一網打尽だ。
市民にまぎれた、発砲通報のプロがこの町には潜んでいるのだ。
その活躍もあって、2つのギャングは壊滅し、ボスたちは逮捕された。
パン
一方通行風呂【毎週ショートショートnote】
2030年、お風呂は全自動になった。
高齢化が進み、介護の人出が不足しているため、オートメイション化されたのだ。
服を脱いで、お風呂場に立てば、ブラシが体と頭をこすり、ボディシャンプーとシャンプーをかけて泡だらけにし、適温のお湯でそれらを流す。
風呂場から出て、着替えれば、お風呂上がりの完成である。
2035年、お風呂の全自動化の技術は、大衆浴場や温泉にまで行きわたった。あたらな技術として、ベル
一方通行風呂【毎週ショートショートnote】
「お兄さん、いらっしゃいませ。2分で脱いでくださいね。かごと札の番号を確かめてください。着衣所まで運びますからね。タオルは忘れずに持って行きますよ。さあ、こちらへ。」
「ここで、かけ湯をします。5回流します。湯加減はどうですか。かけますよ、それ。次は、鏡の前に行きましょう。」
「お背中を流します。ゆっくりこすりますね。気持ちいいですか。お兄さん、スポーツか何かをしていたんですか。それでは、流します