【年齢のうた】四星球●31歳の初期衝動!「バースデイソング」
アニメの『ラーメン赤猫』を観ています。
ポイントは猫毛か。
今のところ、クリシュナ(虎)がいい感じ~。
主題歌も、ふたつともいいですね。
さて、昨日は巨人vs阪神を東京ドームに観に行きまして。タイガースは辛勝したわけですけど。
これに続いて、巨人×阪神の、今度はOB戦が開催。
能登半島地震被害のチャリティーが目的の催しで、僕も募金に協力しました。
両チームに在籍した元選手たちが集結。その顔触れは、たとえば僕が子供の頃に活躍していた方、あるいはそれ以前の伝説の方、そしてそれ以降の時代のおなじみさんなど……そうしたプレイヤーたちが5イニング制の試合を行ったんですね。
試合前、スタジアムMCが「懐かしいな~とか、あの伝説の選手かとか思ったりして、楽しんでください」みたいなことを言っていて(意訳)、懐かしいという表現が先に来るところが、まずは大人向けのイベントだなと感じた次第。もちろん子供たちもいましたけど。割合はそう多くなかった。
中でも江夏豊、クロマティの両氏は車椅子で駆け付けていたのが心に残りました。ふたりは試合に出たわけではないですが(そうしたプレイヤーも何人か)、それでも阪神の先発は江夏!とアナウンスされていたのが胸アツ。
僕は過去、プロ野球の元選手による試合イベントは2度ほど観たことがあって、こういうのはユルい雰囲気の中でのゲームになることを知っています。ただ、そんな形でも、生で観たことない人たちがプレイしている姿を目にすることができるのはいいなと思いました。
終了後はハイタッチ会に参加。僕の並んだレーンは、原辰徳(グータッチ)、角 盈男、江本孟紀、桧山進次郎、柴田講平のみなさんとでした。
桧山さんとは、実は一度だけお会いしています。BUCK-TICKのユータさんの本で対談の司会をしまして。取材後にうちの家族宛にサインをもらったほどです。あの時はユータさん、金光さんも、ありがとうございました。
で、仕事柄、こういう引退選手の試合を、バンドの再結成とか、あるいはベテランアーティストの現在とかと重ね合わせて考えるよう試みましたが……アスリートに比べ、ミュージシャンは現役を引退する年齢がかなり高いので、落としどころが難しいなという結論に達しました。もうちょっと考えてみます。
今回は四星球について書きます。
四星球、読みは「すーしんちゅー」
四国で結成されたバンド、四星球。
僕は長らく「すーいんちゅー」かと思ってた時期があった。正しい読みは「すーしんちゅー」である。
僕は彼らのことを、チャットモンチーとの関係性から知った。四星球のヴォーカルの北島康雄は、チャットのベーシストの福岡晃子と同じ大学の出身なのである。
四星球はコミックバンドとして知られている。
それが支持されていて、各地のフェスやイベントの出演時にはつねに人気を博している。実際、僕は彼らのワンマンに行ったことはないものの、そうしたいろんなバンドが出る場で観たことがある。
コミックバンドと言えば、僕なんかが思い出すのはビジーフォーである。世代ってやつだ
四星球は、ステージではつねにブリーフ姿。あるいはふんどし的なもの?を着用している。そして上には法被。めでたそうである。
近年の四星球で最も笑ったのは、フォーリミこと04 Limited Sazabysが事前にフロントアクトを発表しないツアーをやった際のこと。ステージの幕の向こうに3人のバンドマンのシルエットを映し出し、10-FEETの開演SEを鳴らして、オーディエンスの期待をめちゃめちゃ煽りながら、実際に出てきたのは四星球だった、というオチをやったのである。興味ある方は検索を。
この、たった20数秒のユーモアをぶつけるために、10-FEETの3人をかたどった段ボールを作って持ち込むようなバンド。コミックバンドの鏡である。
ちなみにテンフィとはこんなユーモアでもつながっているようだ。
こちらはオリジナルの「RIVER」。10-FEET、初期の代表曲。
四星球と交流があるバンドのジャンルは広めだと思われるが、そこで一連のパンク・バンドの界隈と近いのも特徴のひとつと言えるだろうか。
そして彼らは、とにかく笑いを届けることに全精力を傾けている。
自称「日本一泣けるコミックバンド」とうたっている。自分たちでそう言い切っているところが、かわいい。
上で話に出した段ボールだが、彼らのライヴの場ではこの工作?による演出がとんでもないレベルになっており、重要な要素になっている。毎回作るのが大変だろうなと思うが、これがおなじみなのである。
「バースデイソング」に託された年齢への思い
そんな四星球にも年齢ソングがあった。
2014年のアルバム『もはやCDではない』に収録された「バースデイソング」という曲である。
この歌は、年齢なんて関係ないと装いながら、実はとても年齢を気にしている思いを唄っている。
そうしてみると、この曲を当【年齢のうた】で取り上げるのには、やや申し訳ない気もする。しかし、なにとぞご理解いただきたい。
そもそもこのバンドは、ちょっと年齢を気にしてきた節がある。「バースデイソング」以降にも、こんな歌があった。
件の「バースデイソング」に出てくる年齢は31歳だ。
まさにこの歌がリリースされた2014年に、北島康雄はこの歳になっている。
そこにペーソスというか、苦みのある悲しさを唄い込んでいるのがこのバンドらしい。
そして曲のクライマックスに叫ばれる31歳初期衝動、という言葉。
実際には、31歳で初期衝動というのは、なかなか難しいのではないかと思う。
何事も最初は初めてだし、難しいし、それゆえの面白み、楽しさがある。それゆえに野心に火を点けられたり、情熱を注いでいこうと決心したりする。しかし2回目、3回目……10回目、20回目、100回目、何100回目となってくると、「初期」からどんどん遠のいていく。そうなれば、衝動の質が変わっていくのは当然だし、避けられないことのはずだ。
「バースデイソング」には、そんな倦怠やお約束などクソくらえ!と言わんばかりの気持ちが込められているように感じるのだ。
「バースデイソング」からさらに10年経っている今では、四星球がその初期衝動というものを燃やすのは、いっそう難しくなっているんじゃないかと思う。
何しろこの間に彼らは結成20周年を迎えているほどなのだ。
それでも四星球はあちこちのライヴハウスを廻り、フェスやイベントのステージに立ち、笑いと興奮を届け続ける。僕はこのバンドの名前を各地の出演バンドのリストを見ながら、しょっちゅう「あ、ここにも出てる」なんて思いながら意識している。
それも大変なことに違いない。四国から、全国各地まで。
見上げた根性だと思う。
四星球にはこれからもいろいろな場所で、いろいろな人たちを、自分たち流のロックで笑わせ続けてほしい。
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