✳︎堕天使 ニース✳︎(19)
✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎
19ページ✳︎
「寂しかったよ…、ニース。新しい友達ができて、もうここに来ないんじゃないかって…」
いつも感情を抑えていたルイが、初めて泣きながら訴えていた。
「僕は一緒に遊び回ることも出来ないし、いつまで生きていられるかもわからない… だけど、ニースにはずっと友達でいてほしい」
青白いルイの顔だったが、薄っすらと赤みを帯びた目頭浮かんだ涙の奥の瞳の中にはニースがしっかりと映っていた。
ニースはその素直な瞳の奥を垣間見れたのが嬉しかった。
「当たり前だろ!ずっと友達でいるからここにいるんだ」
そう言って横になっているルイの横に座り、ティモシーと行ってきた古い美術館の事を話した。
ニースがティモシーの事を面白おかしく、また、神秘的な絵画の事を事細かに話していると、ルイは笑顔を取り戻し興味深々で聞きいっていた。
ニースはそれが嬉しくなり、身振り手振りで話していると、消灯の時間になり、部屋に入ってきた看護師がルイに布団を掛け直し電気が消された。
「今度連れて行ってやるよ!おやすみ、ルイ」
ニースはルイに無理がかからないよう、そこで話をやめてルイの足元に座り目をつむった。
少しして、ルイの静かな寝息が聞こえてくると、ニースはゆっくりと目を開け宙に浮かんだ。
腕を組み、じっと月明かりに浮かぶルイの寝顔を見ながら、助けたい!自分にできる限りの事をしなければ、そう思うと同時に外に飛び出していた。
悪魔図書館、頼れそうな情報がありそうなのは、そこしかなかった。
探さなければ…、一刻も早く
だけど、ティモシーに頼るわけにはいかなかった。
良い奴らではないが、ティモシーの孤独を救った仲間達。それを裏切らせ、ティモシーのやっと見つけた居場所を奪う権利等ない。
ましてや、ティモシーに危険が及ぶ様な事を…
あてもなくニースは高く高く飛んだ。
そして悪の気を感じて、悪魔図書館を探そうと地上を見回した。
小さな悪の気、大きな悪の気…。
集中すると、止めどない悪の気が感じられ、何度も何度もその気のする所に降りて行ったが、結局は人間が発している邪気ばかりで、朝の日が昇る頃には集中力にも限界がきていた。
地上の事も、悪魔世界の事も無知な自分に悪魔図書館を探す事なんてやはり無理なのか。
いや…、まだ探しはじめたばかり、諦めたりするもんか!
そう自分を奮い立たせて、ルイが心配しないように起きる前に一旦病院へ戻ろうと、クタクタになった羽を広げルイのもとへ向かった。
(19ページ)
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
Kindleでも出版しているのですが、読者はほぼいません💦
なので誰かに読んで頂きたくてnoteで読みやすいように、
少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。
。。。。。。。。。。。
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✳︎宜しくお願いします(*^^*)
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