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✳︎堕天使 ニース✳︎(10)

✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎

10ページ✳︎

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「手柄って、何をするんだ?」

ニースが訊ねると、小悪魔はルイを指差して、
「そこに寝ている子はもうすぐ手術をする。その手術が成功するかしないかは、俺には分からない。だけど、邪魔をして手術を失敗させれば、俺の手柄になる。お前も俺と一緒に手柄を立てて悪魔族の仲間になるといい」

さも、良い案を出した様に悪びれもなくニースを誘った小悪魔に、ニースが顔色を変えて殴りかかった。

「おい、何だよっ!!」
堕天使の事を思って言ったのに、いきなり殴り掛かられた小悪魔は、面食らったまま必死に抵抗をした。

「おい、やめろよ!お前は地上での堕天使の寂しさがわかっていないんだ!」

悲鳴をあげるように叫んだ小悪魔の金切り声で、ニースは殴りかかる手を止めて小悪魔に言った。

「ルイには、おいらが見えるんだ。俺達、友達なんだ」
小悪魔は目線をルイに向け、
「この子、お前が見えるのか? じゃあ、手術は失敗するんじゃないか!でも…、この子…、天使になる子なんだな。清くて優しい心を持っているんだろうな

小悪魔は、天界に上がるであろう。純真なルイの顔を羨まし気で、また愛しそうに覗き込んだ。

「ああ、ルイは最高さ。おいらの事をいい天使だって言ってくれた。おいらを信じてくれて、気持ちもわかってくれたんだ」

そう言うとルイの側に戻り、大きく羽を広げた。

「ルイはおいらが守る!手術の邪魔なんてさせないからな」

まだ悪に染まりきっていない小悪魔は、ニースの気持ちもわかった。

「わかったよ。俺はこの子の手術の邪魔をしない、たった今そう決めた。でもな、この子が目を覚ました時、もしまだお前の事が見えていたら、俺の邪魔は関係なく、天使になる定めだったって事だ。その意味わかるよな」

小悪魔はニースに言い残して、そのまま窓から出て行った。

めいっぱい羽を広げて、ルイを守ろうとしたニースの体は、小悪魔の影が遠退いた後、一気に力が抜けパタンと羽を落とした。

その風は、ルイの細く弱々しい黄金色の髪を揺らし、
ニースから更に力を抜いていった。


(10ページ)
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
noteで読みやすいように、少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。

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✳︎宜しくお願いします(*^^*)
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