✳︎堕天使 ニース✳︎(18)
✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎
18ページ✳︎
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もう、天界に戻れる事はないのだと…
地上でもなく、天でもなく、二つの声しか聞こえない
宙ぶらりんのこの場所が、今の自分達の居場所を示しているように感じた。
誰からも、何かからも縛られない自由という孤独
だが、不思議と二人は、何故かその不安が和らいだ気がした。
ニースは笑い疲れ咳き込んだ後、鼻をすすりながら「ありがとな!ティモシー。そろそろ病院に戻るよ。今、おいらがしたい事、できる事は、ルイの側にいて、ルイを幸せにすることなんだ。お前も寂しくなったらいつでも来いよ。おいらも、ルイも待ってるからさ!」
そう言い残すと、勢いよくその場を飛び立った。
心なしか、幸せそうに飛ぶニースの後ろ姿を見送りながら、ティモシーは複雑な幸福感を感じていた。
ティモシーは小庭に戻り、一晩中ブランコに揺られながら、自分がどうありたかったのか、どうあれば後悔しなかったのか、ニースの言葉を思い出し、綺麗な星屑が溢れ出ているような夜空を眺めているうちに。
この先の未来に、自分の希望が見出せたような気がしてきた。
ニースは病院に戻ると、ルイを驚かせないようにドアの方から中に入った。
横になったまま窓の外をじっと見ているルイの側にいき、
「ただいま、ルイ!遅くなって悪かったな」と、ルイの顔を覗き込んだ。
「大丈夫だよ。僕は」
そう言って静かに微笑むルイを見て、ニースはルイに少し腹が立った。
「寂しくなかったのか?おいらがいなくても」
不機嫌に言うニースの言葉に、なぜか温もりを感じたルイの目に、涙がモワッと浮かんできた。
「寂しかったさ、ニース。新しい友達が出来て、もうここには来ないんじゃないかって…」
いつも感情を抑えていたルイが、曇った泣声を漏らした。
「一緒に飛び回る事も、ずっと生きていられる事もできないかもしれないけど、ニースには、ずっと友達でいてほしい」
青白い顔をしているルイの中で、うっすらと赤みを帯びた目頭に滲んだ涙の奥の瞳にはしっかりとニースだけが映っていた。
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
Kindleでも出版しているのですが、読者はほぼいません💦
なので誰かに読んで頂きたくてnoteで読みやすいように、
少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。
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✳︎宜しくお願いします(*^^*)
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