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✳︎堕天使 ニース✳︎(12)

✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎

12ページ✳︎

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翌朝、大きなベルの音で子供達が目を覚ました。

ルイはルームメイトに気がつかれないようにニースを見て、
声は出さずに「おはよう」とニッコリと笑いかけ、服を着替えて大部屋へ行き朝食をとった。

朝食が終わると、他のみんなは学校へ向かったが、ルイは先生の車に乗り病院へ向かった。

ニースも車に乗り込み、ルイの座る後ろの席に座った。
少し車を走らせると、先生の方からぎこちない声でルイに話しかけてきた。

「ルイ…、昨日はよく眠れたかしら…?朝食はちゃんと食べれた?」
「はい、先生…」
「そう…。今日は診察が長くなるかもしれないから、気分が悪くなったら直ぐに言うのよ」
「わかりました」
ルイの淡々とした返事は、何か話さなければと気を遣っている様子の先生との言葉を遮り会話が続かない。

チラチラとミラーに映るルイを心配そうに見ている先生が不憫に思えて、ニースはルイに言った。

「お前…、可愛くないな。その先生お前の事気にかけて話しかけているんだぞ、もう少し、真面目な返事しろよ」

ニースの言いたい事は、ルイにもわかっている。
先生が心配してくれている事。
重病である事を知らないと思っている自分に、いつ打ち明けようかと心を痛めている事も…

ルイは下を向いたまま、ニースの言葉を静かに聞いた。

病院の待合室でも変わらず下を向いたままのルイ
その表情には緊張の色が増した様に見えた。

しばらく経ってルイが呼ばれ、診察室のイスに座ると、
担当医がルイの肩にポンと手を置き、
うつむき加減のルイの目を見ながら、
「今日から入院して治療をする事になるけど、頑張れるよね。ルイ」

フレンドリーな笑顔でにルイに言うと、
ルイがコクンと頷き、それを見た担当医は看護師にルイを病室に案内する様に指示をして、付き添いの先生は入院の準備の話があるからとその場に残した。

ニースは担当医の話が気になり、そのまま診察室に残って話を聞く事にした。
ルイが診察室を出ると、さっきまで優しい顔でルイに話しかけていた担当医は、少し眉間にシワを寄せた真剣な表情で、立っていた付き添いの先生をルイが座っていた椅子に座るようにと手を添えてそこに座ってもらった。

そして、ルイの検査の結果が思いのほか悪く、危険を伴う手術だが早めに行った方がいいだろうと付き添いの先生に伝えた。

その事を聞いた先生は、がっくりときた様子で手を顔に当て言葉をなくしている。

深夜に目を覚ましたルイの目に自分の姿が見えた時、
天使となる定めが決まっていると知ってしまったニース…
その涙は枯れ果てたのか、この二人の会話に驚きをほとんど感じなかった。

それよりも、ルイの運命を変える方法。
助ける方法はないのかと、頭の中でその事を考え巡らせていた。

二人の会話はまだ続いていたが、
ニースは診察室から出て、ルイを探し辺りを見回すと、長い廊下の先に看護師と歩いている、ルイの後ろ姿を見つけた。

「ルイ!」
ずっとうしろからのニースの声に気がついたルイは、ニースが追いついて来られるように少しゆっくりと歩き出したのでニースはすぐに追いついた。

プカプカと宙を泳ぐように自分の横にピッタリと付いてくるニースを、
チラチラと見ながら、ルイは穏やかに嬉しそうな表情を浮かべていた。

(12ページ)
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✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
noteで読みやすいように、少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。

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✳︎宜しくお願いします(*^^*)
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