✳︎堕天使 ニース✳︎(11)
✳︎心が温かくなる堕天使と少年の物語です✳︎
11ページ✳︎
。。。。。。。。。
小悪魔の言った言葉の意味。
ルイの手術の成功の先には、幸せな未来とたくさんの友達が待っている。
小悪魔の邪魔が解けた事で、手術の成功という運命が開たのなら、仲良くなれたばかりのルイだが、もう自分の事が見えなくなってしまう…
その寂しさは計り知れなかったが、ルイを助けたいその気持ちの方が強かった。
ルイが助かるのなら、おいらの事なんてもう見えない方がいいんだ。
今までのルイの寂しさと孤独を、ニースはなんとなく分かった。
この世にいなくなる自分に友達がいたなら、
悲しむ者が増えるだけ、
大切な人を残し旅立たなければいけないのなら、
悲しむ者を増やしたくない。
ルイはそう思い、
誰にも心を開けずに、友達を作る事も出来ずにいたのだろう。
出会ったばかりで、こんなにもルイを大切に思うニースの心は混乱し、
ルイの目覚めと共にルイの運命を知る恐怖に脅かされ、
堪えようと我慢すればする程、泣しゃっくりは大きくなり、
ついには嗚咽が漏れてしまった。
「ニース、どうしたの?」
ルイがニースの泣き声に気が付き目を覚ました。
「おいらが…、見えるのか?」
ルイはルームメイトが起きないように、小声でニースに言った。
「何を言ってるんだい?君の事、昨日から見えているじゃないか」
笑顔混じりの細めた目で見つめるルイに
「違うんだ!もう、見えちゃいけないんだ!」
ニースは泣く事が堪えきれなくなり、わんわんと大きな声で泣き出した。
ルイは、ニースの背中の羽をさする様に撫でながら
「どうして、見えちゃいけないの?せっかく、友達になれたのに」
「それは…」
ニースは、我に返り言葉が詰まって焦った。
慌て、困っているニースの顔を覗き込んだルイは、囁くように
「言わなくてもいいよ。無理に言う事なんてないんだ。全てを知らなくても僕達は友達なんだから、ねっ、もう、泣かないで」
心配そうな瞳で、ニースを慰めるルイの目を見ながら、
ニースは心の中で誓った。
(手術は成功させる。おいらがルイの幸せを見届ける)
そう、胸の奥でつぶやき、ルイに言った。
「なんでもないよ!悪い夢を見た。起こして悪かったな」
そう言うと、ルイは自分の着ている毛布を半分ニースにも掛けた。
「じゃ、一緒に寝よう。そうしたら、もう怖い夢なんて見ないさ」
そう言って、また眠りについたルイをニースは一晩中見守った。
(11ページ)
。。。。。。。。。。。。。。
✳︎ここまでお読み頂きありがとうございます✳︎
堕天使ニースは、2014年頃に執筆をしたものです^^。
noteで読みやすいように、少しづつ校正を加えながら、
アップしていこうと思っています。
。。。。。。。。。。。
✳︎もし、読んで頂けているのなら、
スキ頂けると続きのアップに向けて励みになります^^✳︎
✳︎宜しくお願いします(*^^*)
。。。。。。。。。。。