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米津玄師と高村光太郎


歩け、歩け
どんなものが出て來ても乘り越して歩け
この光り輝やく風景の中に踏み込んでゆけ


高村光太郎の「道程」の一節です。
朝日新聞の天声人語に載ってたのですが、既視感。米津さんのbow and arrowの歌詞に思い当たりました。

行け 決して振り向かないで もう届かない場所へ
行け 行け 君はいつだって輝いていた!

雰囲気似てる気がしたんですが、私だけかな?
いろんな作品を本歌取りしている米津さん。
Lemonも高村光太郎の「レモン哀歌」の影響を受けてると思うので、これもそうなのかな?
「道程」はもちろんご存知だと思うので、意図的か潜在意識か。

Lemonについてはこちらの記事に詳しく書かれていました。

米津さん、造詣が深いですよね。
読書の量もすごそうですが、質が高い。
ニーチェとか読み解けるのが尊敬です。
先日もインタビューで語られた本が重版決定してましたね。

「教養主義の没落」
私はすぐに図書館で予約したので、もうすぐ借りられるのですが、今は予約46人待ちとかでした。1冊しか蔵書がないので、1年以上は待ちそうです。影響力が半端ない。

米津さん経由で出会った本もちらほら。
去年、書店で特設コーナーが作られてたみたいだし。米津さんを好きだと世界が広がります。ありがたいですね。

高村光太郎の「道程」
米津さんの「bow and arrow」

通底するメッセージは似てる気がします。

人類の道程は遠い
そして其の大道はない
自然の子供等が全身の力で拓いて行かねばならないのだ
歩け、歩け
どんなものが出て來ても乘り越して歩け
この光り輝やく風景の中に踏み込んでゆけ
僕の前に道はない
僕の後ろに道は出來る
ああ、父よ
僕を一人立ちにさせた父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の氣魄を僕に充たせよ
この遠い道程の爲め

高村光太郎「道程」

そう君の苦悩は君が自分で選んだ痛みだ
そして掴んだあの煌めきも全て君のものだ

僕は弓になって 君の白んだ掌をとって強く引いた
今君は決して風に流れない矢になって

行け 決して振り向かないで もう届かない場所へ
行け 行け 君はいつだって輝いていた!

米津玄師「bow and arrow」

「bow and arrow」はメダリストの主題歌だし、司コーチ目線の歌なんだと思いますが、それだけじゃない深さを感じるのは米津さんの教養からくるのかもしれませんね。

キャッチーでポップでまさに今の歌なのに、時代に消費されない強度がある。高村光太郎みたいに100年先も残っていくんだろうな。読み人知らずにはならなさそうだけど。

タイアップを手がけることで、今の時代の文化や空気感を内包しつつ、後世に残るであろう作品を作る力量にただただ感心します。同じ時代に生きていることに感謝。

これからどんな世界を見せてくれるのか、とても楽しみです。
米津さんには長生きしてほしい。
私も長生きできるよう頑張ろう。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました!






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