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Astar Network Governance Whitepaper 概要

今月初めにhoonさんがAstar Forumにガバナンスの草案を提出しました。

そこそこ長いので、章ごとに重要な部分を抜き出して概要を共有します。
興味ある方は是非原文をお読みください。

※あくまでhoonさんからの草案であるため、アイデアが中心でありAstar Foundation公式の物ではない。
※概要にした部分はあくまで"僕が"伝えるのに重要/分かりやすいと思った部分。
※概要と言いつつ半ば翻訳くらいのボリュームがあります。


Abstract

✅複数の独立した企業が共通の事業利益のために連携して運営される、日本の系列システムをヒントにしている。

✅したがってガバナンスは、ネットワークを単一の組織にするのではなく、複数の組織が連携するプラットフォームと考える。

✅ネットワークの"オーナー"は存在しないが、開発を調整できる"リーダー"は存在出来る。リーダーになることを妨げるようなことはしないことが重要。

✅ステークホルダーに対して譲渡不可、かつ使用されない場合にはバーンされるガバナンス専用トークンを発行する。

1.Introduction

Vision

多くのネットワークのガバナンスには達成しようとしている使命/ビジョンがなく、分散化やデジタルアセットの金銭的価値を高めることが動機となっているように思える。

それはAstarにとっても目標ということに完全には同意できない。分散化は副産物であり、ネットワークが設定された目標に向かって進むための機能を維持しながら、ある時点以降に規模を拡大するために必要。そして資産の増加は組織の動機ではない。

Astarのビジョンはあらゆる規模の個人やチームが自由にリードし、星のように輝けるイノベーションプラットフォーム及びインキュベーターとなることを目指している。

分散

そのため、分散/自律/組織化を目指すわけではなく、上記ビジョンを達成するプラットフォームを目指すために、複数の組織やチームで構成されるエコシステムを作成する。複数の組織(DAOを含む)が協力してオーナー不在のネットワークを形成する。

2.Astarガバナンスの構成要素

Core Asset

  1. Technology:
    Astarが提供する機能とインフラストラクチャ。

  2. Treasury:
    パブリックネットワークとして使用(助成金や報奨金など)される公共財(主にASTR)。

  3. Ecosystem:
    相互運用可能な他のブロックチェーンを含む、Astarを直接実行もしくは依存するプロジェクト、チーム、ビジネス、コミュニティ。

ガバナンスの取り組み

Astarガバナンスに参加する動機は、上記3つの1つ以上を活用することにある。例えば、Treasuryを活用するためにEcosystemやTechnologyに対して貢献する、など。いずれかのCore Assetに貢献することなく他のCore Assetの消費に繋がるようなアクションは、プロトコルレベルで無視もしくは罰せられるようにするべきである。

ガバナンス参加者

ビジョンに基づき、利害関係者、戦略、ビジネス上の利益を持つあらゆる形態の組織にガバナンス・プレーヤーを限定しなければならない。そして、プロポーザルの公開、投票、その他Astar Networkが定義するガバナンス活動に参加することが求められる。

  1. Astar Networkをビジネスの一環として使用する企業または組織

  2. Astar Network上に1つ以上のプロダクトを導入している企業または組織

  3. Astar Networkのプロダクトを使用しているユーザー

  4. アイデアや革新性を持ってAstar Networkまたはプロトコルに貢献した人々

  5. 一般に、プロダクト開発を通じてAstar Networkに直接価値を追加する開発者

一方で、以下のような人々は議決権の有無にかかわらず、コミュニティの中心人物になることが期待されない。

  1. ASTRを持つだけのホルダー

  2. 機関投資家とクジラ

  3. Astar上に構築されていないその他のエコシステムプロジェクト

  4. 他のブロックチェーンガバナンスプレイヤー

※これは誰が投票権を持つかという話ではなく、ビジョンを達成するためにAstarガバナンスが力を与えるべきプレイヤーのタイプを示している。

ガバナンスの構成要素

ガバナンスはプラットフォームとエクスプレッションに分類した。

プラットフォームはプレイヤーがガバナンスと対話してコンセンサスを達成し、それに基づいて結果を実行する場であり、以下の3つのレイヤーに分かれる。

  1. コミュニケーションレイヤー:
    ガバナンスプレイヤー同士が対話し、提案について考えを共有したり価値を伝えるための場所。プロトコル自体とは切り離され、Astar ForumやPolkaassembly、コミュニティSNSなどを使用する。

  2. 投票レイヤー:
    特定の提案に対して投票する場所。オフチェーンでの投票、オンチェーンでのスマートコントラクト投票、Substrate Palletを介した投票、二次投票などが含まれる。

  3. 実行レイヤー:
    投票レイヤーで合意した内容を実行するための場所。GithubやSubstrate Runtimeのアップグレード、ハードフォーク、Treasuryからのトークン割り当てなどを行う。一般的に、プロトコルのオンチェーン機能を使用することが望ましい。

エクスプレッションはリソースであり、プラットフォームを通じて使用される。投票権/インセンティブメカニズムがこれに該当する。

  1. インセンティブメカニズム:ネットワークに利益をもたらすプレイヤーに対して、インセンティブを与えてアクションを奨励するためのメカニズム。報奨金やStaking、ハッカソン、ノード運用、アンバサダー等。

  2. 投票権メカニズム:ガバナンス内でプレイヤーの権限や投票権を定量化するためのメカニズム。議会の議席やデリゲート、ガバナンストークンか暗号資産、投票権分配等。

リーダーシップ

AstarガバナンスはAstar Networkを、価値を提供する人、またはネットワークに貢献する人のための、所有者がいないIOGP (Inter-Organizational Governance Protocol)にすることを目的としている。

ただし、分散型であるということはネットワークを管理するリーダーがいないというわけではない。どのような人々のグループでも前進するためにはリーダーが必要であり、分散型のグループにとっても重要である。とはいえ、単一の目的で運営されたり権力が集中したりしないようにするために、単一のリーダーシップで運営されることは望ましくない。

その代わり、Astarガバナンスに基本的なレベルでネットワークに拒否権を発動したり変更したりする権限を持つリーダーがから構成される民主主義サブセクションを設け、リーダー間の投票によってのみ行使できるようにすることを提案する。これは、ネットワークを監視する評議会の議席の形をとることが出来る。

あらゆるランクのプレイヤー間の高い流動性を奨励し、リーダーシップは他のプレイヤーがリーダーシップの一部になることを許可する必要がある。

提案とペナルティ

ガバナンスにアセットのStakingを組み込み、可決されなかった場合にペナルティを課すことを提案する。

例えば、ガバナンスを通じてネットワークから利益を得たい人が提案をする際に、かなりの額のStakingを強制する。提案が許可された場合は返却され、拒否された場合にはTreasuryに送られる。ロック量や期間は、内容に応じて調整できる。

もう一つのアプローチとしてはSocial Stakingの形式の導入である。オンチェーンIDを持つプレイヤーによって実行されるAstar内のガバナンスアクションにより、有権者から信頼ポイントを獲得する。成果を上げられなかった場合には批判的に見られ、実質的に分散型のSocial Stakingが形成される。

3.ガバナンスの問題と課題

リソースと権限の不均衡

ガバナンスシステムを分散型、オープン、アクセス可能、効果的に維持するためには情報の透明性と、プレイヤーのモビリティの維持が重要。

Astar Networkで効果的なガバナンスシステムを構築するにはリーダーシップが不可欠である。しかし、積極的な参加や貢献を通じて意図せずリーダーシップを任命されたプレーヤーが他のプレーヤーより大きな決定を下したり、ネットワークに関する多くの情報を取得する状況は理想的ではない。

例えば、プレイヤーAがマーケティングに重点を置き、多くのプロジェクトがそのサービスを利用するとする。その場合にプレイヤーAが投票結果やネットワークの方向性に影響を与える可能性のある情報を独占的に持っていると、権力の集中につながる可能性がある。

また、プロトコル開発の透明性も重要である。誰かがプロトコルの開発を単独で担当するべきでなく、マイルストーンや内部バックログを一般公開したり、誰でも開発現場に参加したり貢献できるプラットホームを必要とする。

価値のある資産による投票

Astar Networkでは、ガバナンスに参加するプレイヤーの意図(動機)を明確に理解し、ネットワークが正しく機能し、継続的に改善されでコミュニティのビジョンを満たす方向にのみ参加するようにシステムが促すことが重要。

ネットワークのビジョンに基づくと、プレイヤーのビジネス上の利益を最大化し、Astar NetworkのCore Assetを活用することが「正しい動機」と考えられる。

多くのプロジェクトでは、ガバナンスには金銭的価値のあるトークンを使用している。これは良い行動と悪い行動に対するインセンティブメカニズムをプログラムする簡単な方法であり、ガバナンス参加者の動機は保有するデジタルアセットの価値を最大化することとなる。

この場合、資産価値の増加以外の提案についての投票では、別のビジネス上の利益が無ければプレイヤーにとってのインセンティブが不足することを意味する。

価値のある資産による投票がAstarのビジョンに適合しない理由は以下の通り。

  1. 寡頭政治:資産による投票が抱える潜在的な問題の一つは、本質的に資金力がシステム内の権力と同等であると意味することである。アカウントごとに閾値を設定しても、複数アカウントを作成することで対処が可能。投票のためにオンチェーンIDがあれば、システムは評判投票システムに移行する。

  2. 投票費用対効果分析:投票は特定の問題について個人の声と意見を表す必要がある。しかし、投票媒体が資産として評価される場合、投票に対してロックなどの機会費用を通じてコストがかかるということになる。

  3. 優先順位と利益の偏り:すべてのトークンホルダーに投票を許可することは、投票者の最も共通する利益がトークン価値を高めることになる。これは、プロトコルやテクノロジーの革新の中核となる提案が蔑ろになる可能性があり、Astarのビジョンとは真っ向から反することになる。

プラットフォームの断片化

ガバナンスプラットフォームには様々なものが利用可能だが、複数を選択すると断片化が発生する。しかし、1つだけを選択した場合も依存関係が生じる。

現状は複数のプラットフォームを利用しており、さらにプレイヤーの多言語属性と組み合わされて断片化が悪化する。この問題の解決には、コミュニケーションレイヤーがテキスト翻訳をサポートする必要がある。

有権者の無関心

時間の経過と主に、プレイヤーのガバナンス参加が減少する。国や組織において、ガバナンスシステムが有権者の無関心に直面する理由は複数ある。

Astarにおいては、以下の3つの中心的な理由が重要となる。

  1. 無力/無意味感:
    プレイヤーがガバナンスに参加しても結果が何も何も変わらない、もしくは提案があまりにも意味がないものを目にする状況が続く。

  2. 政治的疲労感:
    プレイヤーが同じような問題に何度も投票する、関係ない提案について話す、自分の投票が常に他のプレイヤーによって拒否される、など。

  3. 政治的倦怠感:
    システムはほとんどのプレイヤーが同じ情報を持ち、同じ投票権を持つことを期待する。これはプレイヤーに対して多少の退屈を経験させる可能性がある。

有権者の無関心はAstarガバナンスの方向性に大きな影響を与える可能性がある。DAOは、分散された個々のプレイヤーセットが単一の組織のように連携して行動することが期待されるため、より大きな影響を受けやすい。そのため、ガバナンスへの参加は負担が高くなる。ただし、Astarのガバナンスは個人というより複数の組織の集まりと考えられるため、負担は軽くなるとみられる。

Astar Networkにとって、有権者の無関心を防ぐための最善のアプローチは「明確な価値提案」「小規模な問題には代表者の集合体を活用」「組織向けのガバナンス参加ガイドを確立」だと考えられる。

4.ガバナンスの機能とモデル

組織評議会のステークホルダー

Astar Networkのビジョンを達成するために、システムはすべてのガバナンス相互作用と問題が個々のプレイヤー間ではなく複数の組織間で発生するという前提の下で機能する。

これは、投票権がAstar上で活動する組織に分配されることを意味する。さらに、ネットワーク機能として、より多くのビジネス上の利害関係を持ち、指導的な立場で継続的に貢献する特定の組織も存在することになる。例えば、ネットワーク内に緊急の問題が発生した場合、技術委員会によって迅速な解決を求められる。

評議会の概念と基本的な役割は、主にPolkadotの過去のガバナンスシステムから由来する。このメカニズムのPolkadotとの違いは、個人ではなく組織を1票とすることであり、その地位を維持するためにネットワークへの一定の積極的な貢献を維持することを期待される。

この措置は集中化されているように見えるが、Astar Network上に一定数のアクティブプレイヤーが蓄積され、プロトコル開発が安定するまで必要である。プレイヤーが増えた場合、特定のガバナンスにはデリゲート投票を必要とするため、権限と評議会の役割は変化するもののリーダーが必要なことには変わりはない。

ただし、役割の流動性は重要であり他の有権者が新しい評議会メンバーになることを妨げられないように実装、管理される必要がある。

Build2Vote

AstarにはdApp Stakingと呼ばれる独自の機能がある。ASTRホルダーはネットワークにトークンをStakingし、Astar上のプロジェクトに対してインフレの一部を向かわせることでサポートできる。これにより、ネットワーク内のプロジェクトの貢献を定量化できる。

Astar Networkが達成しようとしているビジョンとプレイヤーの考え方から、dApp Stakingにより報酬を受け取っている組織(プロジェクト)に対して投票権を表す仮想トークンgovASTRを配布することを提案する。これは、dApp Stakingにより貢献が定量化されることで、ネットワーク上で持つ権限の量をエミュレートしていると考えられるからである。

※ASTRをホールドしている個々ユーザーでは提案/投票/権限/責任感に対する「重み」が欠ける可能性があるため、積極的にネットワークに貢献する組織に対して投票権を配り、プレイヤーとしてみなす。

しかし、govASTRが譲渡可能である場合資産的価値を持ってしまう可能性があるため、譲渡不可かつBurn periodを経過することでバーンが行われるようにする。これにより、投票行為は資産価値や機会コストといった外部要因を排除して投票者の純粋な考えを反映できると考える。

各組織が得られるgovASTRは、新しいdApp StakingシステムのTier制によるリワードの量とは異なり、Tierに関係なく配布される。さらに、定期的にバーンされることは特定のプレイヤーが投票権を蓄積することを防ぐ。

また、govASTRはdApp Stakingを通じてプロジェクトをサポートしたプレイヤーやその他ユーザーに委任できる。これは、あらゆるASTRホルダーもまたプレイヤーであると考えられるからである。応用することで、NFTホルダーに対してgovASTRを委任することも可能である。

投票にはPolkadotガバナンスv1のAdaptive Quorum Biasingを使用することを提案する。

匿名投票

分散型公開投票システムの主な課題の1つは、透明性の度合いである。パブリックブロックチェーンは履歴が誰にでも見えるため、ガバナンスも追うことができる。

これによる投票の匿名性の欠如は、投票率に影響を与え、純粋な意見を反映することを妨げる社会的な圧力になる可能性がある。

Astar Networkでは、この問題を防ぐためのZKPを利用した匿名投票メカニズムを導入する。ただし、さらなる研究が必要なため将来的な導入になるものとして予想される。

公共善のアイデアとR&D報奨金

Astar Networkでは、あらゆる個人(投票権を持つプレイヤーに限定されない)がネットワーク改善提案や研究を提出し、報酬を受け取ることが可能なメカニズムを導入する。プレイヤーが投票をプロセスを通じて提案を受け入れた場合、Treasuryから報酬の割り当てを決定する。

提案と実装の分離が可能で、その提案に対して開発チームが必要であれば実装に対する報奨金を設定できる。また、投資的関心を持つプレイヤーが報奨金にASTRを追加して支援することも可能である。

予算主導のTreasury

Treasuryは開発とビジネス活動を促進するAstar Networkの中心であり、中核となる仕組みはPolkadot Treasuryの仕組みに基づく。初期段階ではプレイヤーが直接Treasuryに資金を要求する提案を開くことが期待される。

Astar Networkの規模に関係なく、Treasuryは次の特徴を持つ提案に対して機能し、資金を提供することが可能。

  1. 資金は技術、教育、マーケティング、エコシステム、その他ネットワークの成長につながるものに関するプロジェクトやアイデアに割り当てられるべき。

  2. 全ての提案には明確な計画、KPI、動機、推進者、必要なリソース、および上記に影響を与える可能性のあるリスク要因が含まれている必要がある。

  3. Treasuryは提案/実行者が経済的な心配をせずに自身の仕事に集中できるようにする必要がある。

  4. Treasuryは、すべての参加者がネットワークをサポートする際に潜在的な法的問題に直面しないように、明確な規制ガイドラインやサポートを用意する必要がある。

  5. 評議会や大きな議決権を持つ少数の人々ではなく、資格を持ち、その携わっている人々が資金の評価を担当すべき。

Astar NetworkのTreasuryを拡大し、すべての提案を検討する評議会メンバーの負担を軽減するために、予算ベースのTreasuryモデルを採用することを提案する。Polkadotガバナンスシステムの「Collectives」モジュールを利用する。これは、個人キュレーターと特定のトピックに資金を提供するために設計されたSub Treasuryで構成される。

Sub Treasuryであっても投票による過半数の支持が必要であり、キュレーターはSub Treasuryのガーディアンとしてのみ機能する。本質的には評議会と同じ機能だが、焦点が絞られ小規模となる。

評議会メンバーが承認する限り、Main Treasuryから新しいSub Treasuryへの資金の割り当てや、既存のものへの追加ができる。

Common-Goods Application

ガバナンスの取り組みに書いたように、ガバナンスアクションではネットワーク価値の流入を継続するために別のCore Assetに価値が変換される。Astarのような分散型Networkでは、Treasuryの価値を高める方法として、トークンのインフレや取引手数料の一部を収めるのが一般的であるが不十分な可能性がある。

また、Buid2Voteの仕組み上、より多くの人がNetworkのガバナンスの参加することを妨げる可能性がある。優れたシステムが正しく機能するためには、プレイヤーの礼儀や善意に依存せず、敵対的買収のリスクを軽減しながら、より意欲のあるプレイヤーが直接関与できるシステムを導入する必要がある。

そこでCommon-Goods Application(CGA)システムを提案する。これはスマートコントラクトとしてAstar Network上に展開されるdAppsであり、あるゆるプレイヤーが開発/保守/使用が出来る。

CGAは公共善のアイデアとR&D報奨金の概念同様に資金提供され、関係者がこのプロジェクトを構築または維持する動機は、これを資金源として使用することである。

ガバナンスで許可されると、CGAもdApp Stakingにリスティングされる。但し報酬は直接Treasuryの送られ、govASTRはStakerのアカウントに配布される。

これにより、dApp Stakingにプロジェクトとしてリストされていなくてもガバナンスプレイヤーとして参加できるようになる。

CGAとして有効にみなされるには、以下の基準を満たす必要がある。

  • 透明性とオープン性:
    プロジェクトはオープンであり、Githubのようなプラットフォームでアクセス出来る必要がある。誰でも参加/使用できる。

  • オーナーレス:
    コア/アクティブ開発者がいても、特定の誰かが独占的な所有権は持たない。意欲があれば誰でも参加できる。

  • 非営利:
    特定の誰かや組織にのみ利益をもたらすのではない。

この基準により、UIに依存しないブロックチェーン上にデプロイされるスマートコントラクトとして絞り込まれる。CGA自体は収益化されるべきではないが、CGAを利用して収益化することは問題ない。CGAの維持と安定は、ガバナンス参加者の責任となる。

コミュニケーションレイヤー - ガバナンスプラットフォーム

ガバナンスの構成要素で説明したように、ガバナンスプラットフォームには、コミュニケーションツール、チャネル、機能が含まれる。

コミュニケーションレイヤーでは、プレイヤーが相互に意思の疎通や情報の共有を行う。一般に、このレイヤーには拘束力のないアクションの身が含まれ、情報密度が高くなる。

Astar Networkのガバナンスが情報の透明性を持って機能するには、次のチャネルが必要である。

  • Networkレベルのディスカッションチャネル:
    高レベルの改善提案、技術的な議論、組織間の調整などを行う。主にAstar Forumを使っている。

  • Protocolレベルのディスカッションチャネル:
    技術的な実装に関連するディスカッションを行う。この話題はNetworkレベルのディスカッションチャネルから開始できるが、最終的にはプルリクエストとしてAstar ProtocolのGithubリポジトリなどの適切なチャネルに移動する必要がある。

  • 一般的な高密度なディスカッションチャネル:
    リアルタイムで流れる必要があるトピック用。現時点ではDiscordをメインとして使用している。

コミュニケーションフロー

更に、Networkレベルのチャネルの代替手段としてPolkassemblyがある。これはAstar Protocolに直接統合されている。ただし、プラットフォームの断片化を減らすために、基本的にはAstar Forumを使用する。

PolkassemblyはAstar Forum同様に議論や投票が可能だが、拘束力のある投票が可能であり、これは次に説明する。TownHallプラットフォームをカスタマイズして上記のコミュニケーションプラットフォームを統合し、全てのプレイヤーがアクセスと統一を維持できるようにする。

投票及び実行レイヤー - ガバナンスプラットフォーム

このレイヤーではプロトコルレベルで必要な投票や変更などの拘束力のあるガバナンスアクションをカバーする。

上記したように、プレイヤーが提案に投票する主な方法としてPolkasemmblyとTownHallを使用する。議論はその性質に応じて分けて行われる。

投票にはStakingに応じて配布されるgovASTRが使用され、Staking自体もガバナンスアクションとなる。Build2Vote機能が実装されると、プロジェクトはgovASTRを委任することも出来るようになる。

ソースコードのホストにはGithubを使用する。

プロトコルレベルの制定及び実行レイヤーとしては、Substrateベースのブロックチェーンのガバナンスを機能を処理するモジュール(Pallet)を使用する。具体的には次の通りである。

  • pallet-bounties

  • pallet-collective

  • pallet-conviction-voting

  • pallet-democracy

  • pallet-identity

  • pallet-membership

  • pallet-referenda

  • pallet-scheduler

  • pallet-tips

  • pallet-treasury

  • pallet-society

  • pallet-whitelist

一部の機能は特定の状況でのみ使用されるため、全てが一度にAstar Protocolに追加される必要はない。代わりに、状況に応じて目的をもって機能を追加する必要がある。

最も重要なのは、pallet-daoos-stakingを修正することにある。

5.実装と実行

Astarガバナンスは人間的性質を持っているため、妥協せずに全ての人にとって機能するソリューションは存在しない。完璧なものではなく、状況の変化に応じて常に改善できるシステムが良いシステムである。

フェーズはネットワークのスケーリングに依存するため、設定されたタイムラインはない。ここで説明するフェーズはこのドキュメントで提案した昨日の身に基づき、新しい機能が追加されることもある。また、ここで提案したフェーズを全て通過したとしてもガバナンスが完了したことは意味しない。Astar Networkは、他のプレイヤーに利益をもたらす特別なニーズを持つプレイヤーがいる限り、継続的に改善されるIOGPである。

最終的には、ネットワークに導入する順序と優先順位について合意するのはプレイヤーとリーダーである。

フェーズ1:Genesis

Astarガバナンスの最も重要な部分であり、全てを開始してネットワークプレイヤーにプロトコルに対する権限を与える。

このフェーズの主な目的は、投票メカニズムを開始し、主要なプレイヤーが積極的に参加する文化を確立することである。このフェーズののち、Astar Networkは所有者のいないNetworkになる。ただし、Networkにはリーダーシップをとるプレイヤーがおり、開発の取り組みを調整し、Networkをそのビジョンに近づけるための前向きなネットワーク文化を創り出すことに責任を負う。

少なくとも以下のPalletを追加する必要がある。

  • pallet-collective

  • pallet-conviction-voting

  • pallet-democracy

  • pallet-identity

  • pallet-referenda

  • pallet-treasury

pallet-conviction-votingはgovASTRによる投票をサポートするように構成し、pallet-collectiveは評議会メンバーを定義する。初期評議会メンバーは、多様なビジネス上の利益を持つ少なくとも3つの組織を指名し、技術委員会に投票するかどうかはガバナンス開始者(コア創設者チーム、またはAstar Foundation)の責任となる。

最後に、Astar Protocolはpallet-sudoをを削除する。これは集中管理されたアカウントがNetworkを変更するアクションを実行するために使用されるため、プロトコルを迅速に改善し、維持するのに役立つ機能である。しかし、Astar Networkが上記の機能の導入によりIOGPになるとガバナンス体制を揺るがすことになる。そのため、追加された一連のガバナンス機能から全てのミッションクリティカルなネットワーク保守アクションを実行できることを確認出来たら、この機能を削除する必要がある。

最初のフェーズの目的は、IOGPとして機能するための必要最低限の機能を追加することである。このフェーズで予想されるガバナスアクションは、ネットワークランタイムアップグレード、dApp Stakingの新しいプロジェクトのリスト、プレイヤーイニシアチブへのTreasury資金の割り当てである。

フェーズ2:予算ベースTreasuryと報奨金

このフェーズでは、主にオンチェーンTreasuryを拡張する。Networkが相当数の新規参加者を集め、Treasuryの提案の数が増えて評議会により評価するためのリソースを超えた場合に有効になる。このフェーズの中心となるのは、技術的な実装ではなく文化とワークフローである。

フェーズ3:匿名投票

匿名投票は、状況に関係なく全ての有権者に利益をもたらすものである。ただし、これを実現するためのアプローチは複数存在する。

このフェーズはネットワークにアクティブなプレイヤーが増え、投票に何らかの支障が発生し、プレイヤーの個性に基づいたドラマが発生しやすくなった時点で開始される。この機能を使用した投票は通常の投票に限定され、基金配分や提案の詳細は可能な限り公開され、透明性が保たれる。

フェーズ4:Common Goods Projectへの資金提供

「公共善のアイデアとR&D報奨金」で述べたメカニズムを実装する。既存のプロジェクトをリファレンスとして使用できるため技術的な実装は難しくない。

Astar Networkでは、Protocolネイティブ機能としてではなく、ガバナンスプレイヤーによって制御されるオーナーレスのスマートコントラクトとして実装することを提案する。最終的には、これをNetwork上で動作するCGAに変更する。これは、Networkを拡張して、必要に応じていつでもアップグレードできる柔軟性を備えた複数の高レベルの機能を追加するためである。

このフェーズは、Networkの改善提案の数とCGAプロジェクトへの関心が高まると開始される。

6.結論

第1章ではビジョンと方向性を説明した。
Astar Networkは組織間のガバナンスプラットフォームを目指す。IOGPでは、ビジネス上の関心を持つ複数の組織が1つのNetworkに集まり、ビジネスソリューションを提供し、コラボレーションする。そして核心と変化を生み出すことに最も重点を置く。これを実現するためにAstar Networkの中核となるのは、Networkに上に構築する組織(小規模チーム、DAO、企業)であると定義する。

第2章では構成要素として機能するコンポーネントやCore Assetについて説明した。ガバナンス関係者はTreasury、Technology、Ecosystemを活用することをインセンティブとする。ネットワーク上のガバナンスアクションは、あるAssetからあるAssetへの価値の移転に繋がる必要がある。

第3章ではガバナンスシステム導入の際に予想される課題について説明した。Astar Networkが機能するIOGPになるには、有権者の無関心、プレイヤーの偏った感情、プラットフォームの断片化などの課題を克服する必要がある。

第4章ではガバナンスの機能とコンポーネントについて説明した。投票力を表すために価値のある資産を使用せず、代わりにプロトコルのdApps Stakingモジュールを通じてプロジェクトが受け取るサポートに基づいて投票力を定量化する。

最後に第5章では実装フェーズがどのようになるか説明した。IOGPのガバナンスに関して「最終的」な状態は存在しない。代わりに、システムはプレイヤーのニーズに基づいて改善し続ける必要があり、これが確実に実行されるようにするのがリーダーの仕事である。

このWhitepaperは最終的なものではない。時間がたち、研究が行われるにつれて改善や根本から覆されることを期待する。

したがって、ここWhitepaperは終わりではなく今後の研究と改善の始まりとして提示する。

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