Astar Evolution Phase1 まとめ
皆さんお久しぶりです!
ついにAstar EvolutionのPhase1が発表されましたので、それに関する情報をまとめていきたいと思います。
Astar Evolution?
Phase1について説明する前に、まずはAstar Evolutionについておさらいです。
Astar Evolutionは、Astarを発展させていくために掲げられたストラテジーのことです。2024年6月24日に初めて発表されています。
Kickoffとしては、Phase1の発表前にAstarコアチームがStartaleに統合されるアナウンスが行われました。StartaleはAstarのFounderである渡辺創太氏がCEOのブロックチェーン開発スタートアップであり、Astar自体とは直接つながりがあるわけではありませんでした(ただしインフラ開発などは行っていた)。
しかし、AstarコアチームがStartaleに統合されたことによりStartale自体もAstarの開発に参入することとなります。単純にAstarの人的リソースが増えたことを意味します。
また、StartaleはSony CommunicationsやSamsung Next、UOB Venture Managementのようなグローバル企業から支援を受けており、こちらからのエコシステム支援も期待されることとなります。その他StartaleはSony Communicationsと合弁会社を設立してブロックチェーン開発を行うことが発表されており、この点も重要です。
Astar Evolutionの進行は2段階分けされており、今回第1段階であるPhase1が発表されました。
なお、Phase1に向けてStartaleのリブランディングも行われています。
Phase1
本日ついに発表されたPhase1ですが、4つのエンティティから発表されています。
直後のAMAまとめスレッド
それぞれの立ち位置が異なるため、少し異なった観点からの発表となっています。そのため、このブログではこのそれぞれの発表を総括した内容にしていきます。
1. Astar zkEVMのSoneium L2への統合
今回Sony Block Solution Labs(以下Sony BSL)からSoneium L2が出ることが発表されました。
これ自体も(織り込み済みとはいえ)インパクトはありますが、さらにインパクトが良くも悪くも大きくなったのはAstar zkEVMのSoneium L2への統合(移行)です。これはAstar zkEVMを閉じてアセットを全てSoneium L2に移動するということになります。
先日、創太氏がX上で「意図的にAstar zkEVMのTVLを上げてない」といった発言をしたのはリソース面での戦略的な意味もあるでしょうが、それ以上にチェーン移行を行うことが要因だったと推測されます。
統合に伴い、以下のような措置が取られることになります。
(ユーザー視点で抜粋)
Soneium L2公開のタイミングでAstar zkEVMへのデポジット停止(引き出しはもちろん可能)
段階的な閉鎖(エクスプローラーは維持)
資産の移行に関しては、プロジェクトによって対応が異なるようです。プロジェクト側からSoneium L2上でエアドロップされるものもあれば、ユーザー自身で移動が必要なものもあるでしょう。各プロジェクトに確認を取りましょう。
ブリッジしてきたトークン:ETHやASTR、USDCなど
→基本的に自分でブリッジする必要があると思ってOKAstar zkEVM上で発行されたトークン:GHTやHAHA、NFTなど
→プロジェクトごとに確認
なお、おそらくAstar zkEVM↔Soneium L2の直通ブリッジはチェーンレベルでは作られない(dAppレベルならありえる)と思うので注意してください。
web2のサーバーベースのサービスとは異なりブロックチェーン上の資産はチェーン運営(今回ならAstar Foundation)に権限が無いので、今回のように移行に伴い閉じることになってもユーザー自身が対処する必要があります。
閉じるまでに時間は確保し、ユーザーが資産を失わないよう事態を進めることを明言しているため、落ち着いて行動しましょう。
2. Soneium L2の解説
Soneium L2はOP Stackを使用したEthereum Layer2です。Astar zkEVMはPoygon CDKを使用して開発されていたのでSoneium L2もPoygon CDKになるかと思いきや、やはりロールバック騒ぎなど技術要件の問題でOP Stackになったのだと思います。Coinbaseのような企業がOP Stackを使用していることなどもリファレンスになっていると思います。
OP Stackを使用したLayer2間の相互運用性のための、Superchainというネットワークにも参加することになると思います。PolygonがAgglayerでやろうとしていたことと似たようなものですね(どこのLayer2 Stackも似たようなことをしている)。
Superchainについて詳しく知りたい方は以下を参考にどうぞ。
また、Astar zkEVMはDAにValidium(DA委員会によるオフチェーン保存)を使用していましたが、Soneium L2はEthereumにDAを置きます。
Soneiumから発表された記事では、ローンチパートナーとして以下のような有名プロジェクト/企業が名を連ねており、かなりの期待感があります。
Alchemy(インフラ)
Chainlink(Oracle)
Circle(USDC)
Optimism(OP Stack、Superchain)
The Graph(インデクサー)
AstarはSpecial Partnerとして名を連ねています。
また、そのほかにもローンチ予定のプロジェクトがかなりの数いるというような話があります。X上では「Build with S」という投稿が増えています。
Coindesk(グローバル)の記事内でのインタビューでは以下のような内容が書かれていたことも興味深いです。
更に、先日SonyがAmber Japanを買収し、S.BLOXとして運営していくことが分かっています。ConsensysがLinea上でMetamaskを使用した決済を始めようとしているように、SonyもSoneiumで似たような戦略を取ることは十分に考えられると思います。
なお、テストネットは今後数日以内に出るとのことです。
3. Astarにもたらされる価値は?
Special PartnerにAstar Networkと書いている通り、Soneium自体はAstar Networkとは切り離されたエンティティとなります。ではどのような間柄かと言いますと、例えばPolkadotでのRelaychainとParachainみたいな関係性に近いです(技術的ではなくエコシステム的な観点)。
Astarエコシステム内にSoneiumがいるということで、Astar zkEVMを統合するものの存在としては別の扱いになります。ただし開発/運営主導のリソースがAstarと同じくStartaleであるため、AstarとSoneiumは密接に関わりあって進んでいくということになります。
dApp Stakingに関しては、Soneium L2のプロジェクトに適用するかは今のところ決まっていません。今後フォーラムで議題に挙がってくることになるでしょう。
Soneium L2のガス代はETHですが、シーケンサー手数料の一部でAstarエコシステムへの還元を行ったり、ASTRの価値を高めるための取り組みを行うと表明されています。そのため実際のASTRの存在感としてはAstar zkEVMと近いと考えられます。あとはどれくらいdAppsが立ち上がってどれくらいASTRを利用するかですね。
ただし、今後Soneium L2上での取り組みからASTRホルダーに対してリワードが発生することが示唆されており、そのほかDeFiでの運用などもクローズアップされています。
SoneiumはAstar文脈とは別の部分で注目を浴びることは間違いないので、そういった角度からASTRへの流入は一定程度期待できそうです。実際、今回の発表と同時にグローバル主要メディアはほぼ全部で記事が出ており、かなりのインパクトがあることを読み取れます。
また、少なくとも現時点ではSoneium L2(Sony BSL)の独自トークンを発行する予定はないとのことです。もしSonyトークンを騙るものがあれば100%詐欺なので気を付けてください。
4. Astar Network(L1)はどうなる?
Astar Network(L1)の開発について懸念が発生すると思いますが、こちらはこれまで通り継続するため不安になる必要はありません。
Polkadot-SDKについては、最新の研究内容であるJAM(Polakdotでの実装に2~5年を見込まれている)についても書かれており、今後の開発継続性を読み取ることができます。
Phase2(予測)
(あくまで予測なので参考程度の蛇足としてどうぞ。特別な情報は何も知らないのであまり真に受けないでください。)
Phase2に関してはまだほとんど情報がありませんが、いくつか考えられることがあります。
まず、Soneium "L2"という表記です。通常のLayer2であれば、わざわざ”L2”の表記を入れることはしないと思います。ということで、SoneiumはLayer1を出してくると僕は考えています。
特にこれまで「Sonyはパブリックチェーンを作っている」と言われてきています。Soneium L2ではパブリックチェーンというには微妙なので、正しくパブリックチェーンをLayer1で出すのではないでしょうか。
おそらくPhase2はこのSoneium L1に関わってくるのではないかというのが僕の予想となります。
ではどのようにして関わってくるか?というと難しいところです。
今回統合されたAstar zkEVMは、僕の観点ではパブリックチェーンとしては十分ではありません(誰でも利用できるだけ)。Astar Foundationにより集中管理されているため、Astar Foundationが移行することを決めればそのように進むこと自体はおかしくありません(もちろんコミュニティの心情とは別の話)。会社の事業を会社の意思決定で畳んだり方針転換したりすることと同じです。
しかしSoneium L1が出たとして、パブリックチェーンであるAstar Network(L1)を統合するというのはかなり違和感(というか無理)があるのでPhase1と同様の進め方にはならないと思います。
個人的に一番ベターな展開としてはこんな感じです。
Soneium L1はPolkadot SDKで作成し、PolkadotのParachainとして参加(Agile Core TimeやElastic Scalingにより参加とスケーリングが容易になる想定)
XCMやCCIPを利用してAstar Network(L1)、Soneium L2と相互運用性確保
これだけだとAstarとしては弱いので、ASTRをネイティブトークンとして利用?(ParachainならL1でもこれが可能)
1点目と2点目だけではちょっと弱いので、3点目までくるとASTRとしてはかなりインパクト大きいのですが…うーん、ちょっと都合良すぎるかな…という感じです。Sonyという大企業がそれを行うのはいろんな面から難しそう。仮にもしそうなるなら、トークンのリブランディングも必要になりそうですね。
(かすりもしなかったら恥ずかしいですねw)
まとめ
なるべく簡潔に済ませるつもりでしたが、思った以上に長くなってしまいました。まぁいつものことですが…。
今回はSoneium L2が発表され、今後はAstar zkEVM上からの資産移動が必要になってきます。実際に移行を始めるのはSoneium L2がローンチされた後で問題ないため焦る必要はありませんが、ひとまずこの点はしっかり押さえておきましょう。
また、公式BlogにはFAQもありますのでそちらをご覧いただくこともお勧めします。
https://astar.network/ja/blog/astar-evolution-1-faq-55
Astar Evolutionは遂にPhase1に進行し、今後は様々な情報が出てくると思います。こういう時は詐欺(Sonyトークンとか)が沸いてきますので、皆さん注意深く行動しましょう!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?