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Astar Evolution Phase1 まとめ
皆さんお久しぶりです!
ついにAstar EvolutionのPhase1が発表されましたので、それに関する情報をまとめていきたいと思います。
Astar Evolution?
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Phase1について説明する前に、まずはAstar Evolutionについておさらいです。
Astar Evolutionは、Astarを発展させていくために掲げられたストラテジーのことです。2024年6月24日に初めて発表されています。
この度Astar NetworkとStartaleはより大きな変革に向け一体化することを発表いたします。Astar NetworkとStartaleが合わさり、より大きな成長とイノベーションを目指し「Astar Evolution」という2段階に分かれた今後のストラテジーに向けて始動いたしました。
Kickoffとしては、Phase1の発表前にAstarコアチームがStartaleに統合されるアナウンスが行われました。StartaleはAstarのFounderである渡辺創太氏がCEOのブロックチェーン開発スタートアップであり、Astar自体とは直接つながりがあるわけではありませんでした(ただしインフラ開発などは行っていた)。
しかし、AstarコアチームがStartaleに統合されたことによりStartale自体もAstarの開発に参入することとなります。単純にAstarの人的リソースが増えたことを意味します。
また、StartaleはSony CommunicationsやSamsung Next、UOB Venture Managementのようなグローバル企業から支援を受けており、こちらからのエコシステム支援も期待されることとなります。その他StartaleはSony Communicationsと合弁会社を設立してブロックチェーン開発を行うことが発表されており、この点も重要です。
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Astar Evolutionの進行は2段階分けされており、今回第1段階であるPhase1が発表されました。
なお、Phase1に向けてStartaleのリブランディングも行われています。
Same URL, Different Experience!
— Startale Japan (@StartaleJP) July 18, 2024
"Unleashing the Potential of Humanity through the Open Internet."
Startaleのブランドアップデートを発表いたします。このアップデートは先日発表されたAstar Evolution (https://t.co/hOePPctcT3) に向けた準備の最終段階となります。 pic.twitter.com/RV5ufj5Wpn
Phase1
本日ついに発表されたPhase1ですが、4つのエンティティから発表されています。
直後のAMAまとめスレッド
始まりました!
— you425.lens (@you425you) August 23, 2024
Youtube側よりXの方がちょっと配信早いですね。https://t.co/jdsiu1yhly
これからスレッドに投稿していきます。 https://t.co/wo1oWPy08H pic.twitter.com/8Q9jT89LJt
それぞれの立ち位置が異なるため、少し異なった観点からの発表となっています。そのため、このブログではこのそれぞれの発表を総括した内容にしていきます。
1. Astar zkEVMのSoneium L2への統合
今回Sony Block Solution Labs(以下Sony BSL)からSoneium L2が出ることが発表されました。
Sony BSLは、StartaleとSony Group本体が設立した合弁会社です。以前StartaleとSony Group子会社のSony Network Communicationsが合弁会社を出していましたが、Startaleの株式のSonyグループへの移管に伴いランクアップしたと思って良いと思います。
Soneium L2はSony BSLが開発するものですが、メインの開発や運用リソースはStartaleということになります。もちろん、意思決定やアセット使用にSonyの意向も関与します。
これ自体も(織り込み済みとはいえ)インパクトはありますが、さらにインパクトが良くも悪くも大きくなったのはAstar zkEVMのSoneium L2への統合(移行)です。これはAstar zkEVMを閉じてアセットを全てSoneium L2に移動するということになります。
先日、創太氏がX上で「意図的にAstar zkEVMのTVLを上げてない」といった発言をしたのはリソース面での戦略的な意味もあるでしょうが、それ以上にチェーン移行を行うことが要因だったと推測されます。
統合に伴い、以下のような措置が取られることになります。
(ユーザー視点で抜粋)
Soneium L2公開のタイミングでAstar zkEVMへのデポジット停止(引き出しはもちろん可能)
段階的な閉鎖(エクスプローラーは維持)
資産の移行に関しては、プロジェクトによって対応が異なるようです。プロジェクト側からSoneium L2上でエアドロップされるものもあれば、ユーザー自身で移動が必要なものもあるでしょう。各プロジェクトに確認を取りましょう。
ブリッジしてきたトークン:ETHやASTR、USDCなど
→基本的に自分でブリッジする必要があると思ってOKAstar zkEVM上で発行されたトークン:GHTやHAHA、NFTなど
→プロジェクトごとに確認
なお、おそらくAstar zkEVM↔Soneium L2の直通ブリッジはチェーンレベルでは作られない(dAppレベルならありえる)と思うので注意してください。
web2のサーバーベースのサービスとは異なりブロックチェーン上の資産はチェーン運営(今回ならAstar Foundation)に権限が無いので、今回のように移行に伴い閉じることになってもユーザー自身が対処する必要があります。
閉じるまでに時間は確保し、ユーザーが資産を失わないよう事態を進めることを明言しているため、落ち着いて行動しましょう。
2. Soneium L2の解説
Soneium L2はOP Stackを使用したEthereum Layer2です。Astar zkEVMはPoygon CDKを使用して開発されていたのでSoneium L2もPoygon CDKになるかと思いきや、やはりロールバック騒ぎなど技術要件の問題でOP Stackになったのだと思います。Coinbaseのような企業がOP Stackを使用していることなどもリファレンスになっていると思います。
OP Stackを使用したLayer2間の相互運用性のための、Superchainというネットワークにも参加することになると思います。PolygonがAgglayerでやろうとしていたことと似たようなものですね(どこのLayer2 Stackも似たようなことをしている)。
Superchainについて詳しく知りたい方は以下を参考にどうぞ。
また、Astar zkEVMはDAにValidium(DA委員会によるオフチェーン保存)を使用していましたが、Soneium L2はEthereumにDAを置きます。
Soneiumから発表された記事では、ローンチパートナーとして以下のような有名プロジェクト/企業が名を連ねており、かなりの期待感があります。
Alchemy(インフラ)
Chainlink(Oracle)
Circle(USDC)
Optimism(OP Stack、Superchain)
The Graph(インデクサー)
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AstarはSpecial Partnerとして名を連ねています。
また、そのほかにもローンチ予定のプロジェクトがかなりの数いるというような話があります。X上では「Build with S」という投稿が増えています。
"Build with S"...💿 https://t.co/bxTDzPaxLt pic.twitter.com/yhXhUpZLzx
— bao (@bao1993jp) August 21, 2024
Coindesk(グローバル)の記事内でのインタビューでは以下のような内容が書かれていたことも興味深いです。
「そして第2段階として、2年以内にソニー銀行、ソニーミュージック、ソニー・ピクチャーズなど、ソニーの製品に搭載する予定です。Web3とブロックチェーン技術をソニーの製品に統合したいのです。そして3年後には、ソニーだけでなく、すべての企業や一般的なdappsをその上に乗せたいと考えています。」
更に、先日SonyがAmber Japanを買収し、S.BLOXとして運営していくことが分かっています。ConsensysがLinea上でMetamaskを使用した決済を始めようとしているように、SonyもSoneiumで似たような戦略を取ることは十分に考えられると思います。
なお、テストネットは今後数日以内に出るとのことです。
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3. Astarにもたらされる価値は?
Special PartnerにAstar Networkと書いている通り、Soneium自体はAstar Networkとは切り離されたエンティティとなります。ではどのような間柄かと言いますと、例えばPolkadotでのRelaychainとParachainみたいな関係性に近いです(技術的ではなくエコシステム的な観点)。
Astarエコシステム内にSoneiumがいるということで、Astar zkEVMを統合するものの存在としては別の扱いになります。ただし開発/運営主導のリソースがAstarと同じくStartaleであるため、AstarとSoneiumは密接に関わりあって進んでいくということになります。
実際SNS(XやDiscordなど)はAstar Networkとは別となります。
なので僕はSoneiumのEcosystem Agent(アンバサダー)ではありませんが、Astar Ecosystemの情報として継続して情報の発信は行うつもりです。
なお、Soneiumはしばらく情報発信は英語のみになるとのことです。
dApp Stakingに関しては、Soneium L2のプロジェクトに適用するかは今のところ決まっていません。今後フォーラムで議題に挙がってくることになるでしょう。
Soneium L2のガス代はETHですが、シーケンサー手数料の一部でAstarエコシステムへの還元を行ったり、ASTRの価値を高めるための取り組みを行うと表明されています。そのため実際のASTRの存在感としてはAstar zkEVMと近いと考えられます。あとはどれくらいdAppsが立ち上がってどれくらいASTRを利用するかですね。
ただし、今後Soneium L2上での取り組みからASTRホルダーに対してリワードが発生することが示唆されており、そのほかDeFiでの運用などもクローズアップされています。
シーケンサー収益を用いたエコシステムへの還元:
Soneium L2上のオンチェーンアクティビティにより発生したシーケンサー収益の一部をAstarエコシステムの発展のために利用されます。
SuperchainとChainlink CCIPを通じたASTRトークンの認知度とユーティリティの拡大:
Soneium L2はOptimismのSuperchainに対応します。これにより、Soneium L2の主要なエコシステムトークンの一つであるASTRトークンが、Base、Optimism、Mantle、Modeなど、Superchainネットワーク内の他のチェーンと相互運用性を持つことになります。さらに、Chainlink CCIPを通じてAstar Network(L1)からSoneium L2へのASTRトークンのブリッジが実現したことで、Astar Foundationは新たな潜在的ユーザー層へのリーチを拡大し、ASTRトークンの認知度と価値の向上を目指しています。ASTRトークンホルダーにとって、さまざまなプラットフォームやアプリケーションでASTRトークンをシームレスに利用できることは、トークンの価値に大きな可能性をもたらします。現在、Astar FoundationはASTRトークンのさらなる普及に向けたインセンティブプログラムを企画・設計中です。
Astar Foundationの取り組みとASTRトークンユーティリティの拡大:
Astar Foundationは、そのコミュニティと共にAstar Network(L1)の発展とASTRトークンの価値向上に引き続き注力します。また、Soneium L2上のアプリケーションにおいて、ASTRトークンのユーティリティを拡大し、需要創出に向けた取り組みを積極的に進めていきます。
ASTRトークンホルダーへのリワード:
ASTRトークンホルダーが、今後打ち出される様々なSoneium L2上の取り組みからリワードを得ることができるようになります。こちらに関する詳細は、Soneiumエコシステムのさまざまな段階で公開されていきます。
Soneium L2上のASTRトークンでの流動性提供やインセンティブプログラム:
Soneium L2上に展開されるDeFiプラットフォームで、ASTRトークンを活用した流動性プール(例: ASTR-ETH、ASTR-USDC)を作成し、高利回りのファーミングインセンティブを提供することで、ユーザーの参加を促進します。
Soneium L2上でのステーキングプログラム:
複数のリキッドステーキングプロジェクトが、Soneium L2を活用したリキッドステーキングサービスの構築に向けて準備を進めています。DeFiアプリケーションなどが積極的にSoneium L2上のASTRトークンをサービスに組み込むことで、ASTRトークンのユーティリティが拡張します。
マーケティングキャンペーン:
SoneiumとAstarでマーケティングキャンペーンを行い、Soneium L2上でのASTRトークンの利用価値を訴求することで、認知度とユーザーの増加を図ります。
SoneiumはAstar文脈とは別の部分で注目を浴びることは間違いないので、そういった角度からASTRへの流入は一定程度期待できそうです。実際、今回の発表と同時にグローバル主要メディアはほぼ全部で記事が出ており、かなりのインパクトがあることを読み取れます。
また、少なくとも現時点ではSoneium L2(Sony BSL)の独自トークンを発行する予定はないとのことです。もしSonyトークンを騙るものがあれば100%詐欺なので気を付けてください。
4. Astar Network(L1)はどうなる?
Astar Network(L1)の開発について懸念が発生すると思いますが、こちらはこれまで通り継続するため不安になる必要はありません。
オンチェーンガバナンス:
オンチェーンガバナンスを強化し、よりコミュニティドリブンな運営への移行は最優先事項です。テストネットにはすでにガバナンスモデルが適応されており、テストが完了次第、2024年後期に本番環境にもリリースされる予定です。これにより、透明性が確保され、ASTRトークンホルダーがエコシステムやASTRトークンに関する戦略や意思決定に、より積極的に参加できるようになります。
Polkadot-SDKのアップデートと最新機能のテストと統合:
Polkadot-SDKを最新版へアップデートすることで、Async Backingや改善されたコアタイムなどSDKの新機能や改善点をAstar Network(L1)に反映させます。これにより、Astar Network(L1)のパフォーマンスとセキュリティが向上するだけでなく、Polkadotエコシステム全体との互換性も確保され、スムーズなクロスチェーンの相互運用性が実現します。また、Polkadotの最新の技術トレンドを積極的に取り入れるべく、最新のJAMモデルなどの研究についても注力してまいります。
安全性の向上と緊急時対応:
Astar Network(L1)の安全性を確保するため、トランザクション停止(tx-pause)およびセーフモードパレットを導入し、緊急事態に対し迅速に対処できるようにします。これらの機能は、緊急事態が発生した際にトランザクションを停止し、コミュニティを保護するためのセーフモードに切り替えることが可能になります。
Polkadot-SDKについては、最新の研究内容であるJAM(Polakdotでの実装に2~5年を見込まれている)についても書かれており、今後の開発継続性を読み取ることができます。
Phase2(予測)
(あくまで予測なので参考程度の蛇足としてどうぞ。特別な情報は何も知らないのであまり真に受けないでください。)
Phase2に関してはまだほとんど情報がありませんが、いくつか考えられることがあります。
まず、Soneium "L2"という表記です。通常のLayer2であれば、わざわざ”L2”の表記を入れることはしないと思います。ということで、SoneiumはLayer1を出してくると僕は考えています。
特にこれまで「Sonyはパブリックチェーンを作っている」と言われてきています。Soneium L2ではパブリックチェーンというには微妙なので、正しくパブリックチェーンをLayer1で出すのではないでしょうか。
僕の観点では、ブロックチェーンのパブリックレベルには大きく分けて4点の評価基準があります。
1. 利用の公開(誰でもdAppsを触れる)
2. デプロイの公開(誰でもdAppsを作れる)
3. 開発の公開(誰でもチェーン自体の開発に参加できる)
4. 運営の公開(誰でもチェーン自体の運営に参加できる)
この評価で言うと、ほとんどのLayer2は1と2しか満たしていないためパブリックレベルは低いということになります。
おそらくPhase2はこのSoneium L1に関わってくるのではないかというのが僕の予想となります。
ではどのようにして関わってくるか?というと難しいところです。
今回統合されたAstar zkEVMは、僕の観点ではパブリックチェーンとしては十分ではありません(誰でも利用できるだけ)。Astar Foundationにより集中管理されているため、Astar Foundationが移行することを決めればそのように進むこと自体はおかしくありません(もちろんコミュニティの心情とは別の話)。会社の事業を会社の意思決定で畳んだり方針転換したりすることと同じです。
しかしSoneium L1が出たとして、パブリックチェーンであるAstar Network(L1)を統合するというのはかなり違和感(というか無理)があるのでPhase1と同様の進め方にはならないと思います。
個人的に一番ベターな展開としてはこんな感じです。
Soneium L1はPolkadot SDKで作成し、PolkadotのParachainとして参加(Agile Core TimeやElastic Scalingにより参加とスケーリングが容易になる想定)
XCMやCCIPを利用してAstar Network(L1)、Soneium L2と相互運用性確保
これだけだとAstarとしては弱いので、ASTRをネイティブトークンとして利用?(ParachainならL1でもこれが可能)
1点目と2点目だけではちょっと弱いので、3点目までくるとASTRとしてはかなりインパクト大きいのですが…うーん、ちょっと都合良すぎるかな…という感じです。Sonyという大企業がそれを行うのはいろんな面から難しそう。仮にもしそうなるなら、トークンのリブランディングも必要になりそうですね。
(かすりもしなかったら恥ずかしいですねw)
まとめ
なるべく簡潔に済ませるつもりでしたが、思った以上に長くなってしまいました。まぁいつものことですが…。
今回はSoneium L2が発表され、今後はAstar zkEVM上からの資産移動が必要になってきます。実際に移行を始めるのはSoneium L2がローンチされた後で問題ないため焦る必要はありませんが、ひとまずこの点はしっかり押さえておきましょう。
また、公式BlogにはFAQもありますのでそちらをご覧いただくこともお勧めします。
https://astar.network/ja/blog/astar-evolution-1-faq-55
Astar Evolutionは遂にPhase1に進行し、今後は様々な情報が出てくると思います。こういう時は詐欺(Sonyトークンとか)が沸いてきますので、皆さん注意深く行動しましょう!