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WoW人物紹介 "Kael'thas Sunstrider" (ケルサス・サンストライダー)

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WoW最新拡張「Shadowlands」にて、私のお気に入りキャラクターで、一部界隈ではカエル王子の愛称で親しまれている、Kael'thas Sunstrider(ケルサス・サンストライダー)が、最初のRaidであるCastle Nathria(ナスリア城)で再登場する。

解放初日となる本日(2020年12月9日)、彼についての解説を簡単にしていこうと思う。彼が何者なのかを知ることで、少しでもRaidが楽しめれば幸いだ。

1. 悲劇の王子

ハイエルフの国家であるQuel'Thalas(ケルサラス)。ケルサスはそこでAnasterian Sunstrider(アナステリアン・サンストライダー)王の一人息子として誕生する。
若い頃から魔力に長け、Kirin Tor(キリン・トア、ジェイナも所属していたDalaranの魔術師集団)にて、Council of Six(6人評議会、キリン・トアの最高機関)のメンバーを務めるほどの実力があった。

地位も実力も兼ね備えた彼の人生を狂わせたのは、奇しくもかつての恋敵である、Arthas Menethil(アーサス・メネシル)であった。

Lich Kingの手先、Death Knightとなってしまったアーサス率いるScourge(スコージ)軍団がケルサラスを襲撃、王であるアナステリアンも戦死する。
シルヴァナスがバンシー化した、あの戦い。

祖国が危機に瀕した際に不在だったことを責められ、その責任を感じた彼は、王家に代々引き継がれ、先の戦いで砕け散った魔法剣"Felo'melorn"(フェロメロン)を手に言う。

「ケルサラスは先代で滅びた。王はもう存在しない。」

自らをSin'Dorei(シンドライ) - Blood Elf(ブラッドエルフ、拡張「The Burning Crusade」で追加された種族)と称し、スコージへの復讐を決意した彼は、執政官であったLor'themar Theron(ローゼマー・セロン、現在のBlood Elfの主導者)に民を任せ、少数の民を率いてアライアンス・レジスタンス(ローデロン奪還を目指すアライアンスの残党)に参加する。

ちなみに、フェロメロンは拡張「Legion」にて、Fire Mageのレジェンダリー武器として登場する。
https://wow.gamepedia.com/Felo%27melorn

2. アウトランドへ

当時のアライアンス・レジスタンスの主導者であったGarithos(ガリトス)は彼らBlood Elfのことを信用しておらず、ケルサスに対して難題を押し付ける。

祖国の復興、愛する民を守るため、彼は真面目に任務を全うしようとするが、その際に湖からの侵入を計画し、ナーガたちの手を借りる。

任務は成功するが、ガリトスはこれを聞きつけ、モンスターであるナーガと手を組むなど、裏切り行為だとして彼を捕らえ、処刑しようとする。

間一髪のところでLady Vashj(レディ・ヴァッシュ)率いるナーガ軍に救われた彼は、生き残るためレジスタンスを脱退し、ナーガ達と共にOutland(アウトランド、アゼロスと対をなす世界。OrcやDraenaiといった種族の故郷)へと逃げ延びる。

そこで彼はIllidan Stormrage(イリダン・ストームレイジ、ナイトエルフのボス、Malfurionの双子の弟)に出会う。魔力の欠乏から民を救うため、ケルサスはイリダンと手を組む。

イリダンはBurning Legion(バーニングリージョン、アゼロスを度々危機に陥れる悪魔集団)に所属していたが、謀反を決行。企ては一部成功するが、 Kil'jaeden(キルジェイデン、バーニングリージョンの幹部)より制圧され、その反省としてアーサス率いるスコージを討てと命じられる。

スコージに恨みのあるケルサスはもちろんこの戦いに参加。あと一手のところまでアーサスを追い詰めるが、イリダンは致命傷を負い、ケルサスとレディ・ヴァッシュは瀕死のイリダンを抱えて敗走する。
※この戦いでアーサスも深手を負い、シルヴァナスが自我を取り戻す。

イリダンはバーニングリージョンに対してまだ反抗する姿勢を崩さなかったが、民を第一に優先したケルサスはイリダンとの同盟を破棄、バーニングリージョンと同盟を結ぶ。

キルジェイデンからTempest Keep(テンペストキープ)という拠点を与えられた彼は、そこでアウトランドから魔力を集め、アゼロスにいる民に送る計画を始める。

しかし、バーニングリージョンに対抗する連合軍はアウトランドへ侵攻。
彼のテンペストキープも彼らによって陥落してしまうのだった。

この戦いは、Tempest Keepとして25人Raidとして今でもプレイすることができる。当時のRaid難易度はかなり鬼畜で、リアルタイムで彼を倒したプレイヤーは多くなかったが、彼のドロップするフェニックスマウントは今でもWoW中で1, 2を争う人気を誇るため、ソロで簡単にクリアできる今となっても彼は倒され続けている。
ちなみに、彼を助けたナーガであるレディ・ヴァッシュも、テンペストキープの一つ前のRaidで最終ボスとして登場している。彼女との戦いも鬼畜なもので、"バケツリレー"と称されたギミックは当時のプレイヤーを苦しめた。

3. 堕落、そして死

テンペストキープでの敗北。彼の姿はすっかり変貌しそれまでの姿は見る影もなくなってしまった。

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テンペストキープでの敗北。クリスタルが胸に突き刺さる。

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その後の彼の姿。胸のクリスタルは残り、体は青白く痩せこけている。

かろうじて生き延びた彼はSunwell(サンウェル、ケルサラスにある太陽の泉)を使い、主であるキルジェイデンを召喚しようとする。

枯れてしまっていたサンウェルを再活性化させるため、これまで民のために集めていた魔力を泉に集結させる彼。

かつて民を愛し、苦難にも屈しなかった彼の目にもはや輝きはなかった。

彼は冒険者たちによって倒され、とうとう命を落とすことになるが、この戦いはインスタンスダンジョンとして今でもプレイすることができる。

テンペストキープでは25人で挑み、猛者たちを次々と葬り去った彼が、5人用インスタンスダンジョンのボスへと成り下がる。
フェニックス召喚など、レイドで使ってきた攻撃も繰り出してくるがもう彼に力は残されておらず、その弱々しさに胸を痛めた。

結局、キルジェイデンは召喚途中で冒険者たちに食い止められ、アゼロスの危機は去る。

4. 罪の鎖

ケルサスのこの裏切りにより、彼の生前の功績は民から讃えられることもなく、彼の魂はShadowlands(シャドウランズ、今回の拡張「Shadowlands」の舞台)で、生前罪を犯した者たちが送られるRevendreth(レヴェンドレス)という場所に送られる。

ここで罪深き魂たちは自らの行為を悔い改め、贖罪することができた魂は地獄の最果てである"Maw"に堕ちることなく償還される。

しかし彼の魂はレヴェンドレスのSire Denathrius(デナスリウス卿)によってCastle Nathria(ナスリア城、今回のRaidの舞台)に幽閉され、他人の罪すらも負わされ続けている。

自らの贖罪も許されず、身に覚えのない罪まで背負わされている彼の精神は崩壊しつつあるが、その負のパワーは確実に彼の体に力を与え続けている。

ナスリア城では、彼を救うため、彼のHPを完全に回復させる、という戦いが待っている。救われた彼が、今後どうなっていくのか。非常に楽しみだ。

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画像奥で捕まっているのがケルサス。彼を罪の鎖から救え。

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海外のファンアート。by isuさん。めちゃくちゃかっこいい…!

かえるきゃっする

同じく海外のSUOMARさんのファンアート。背負った墓石が重々しい!
それぞれ掲載許可いただきました。ありがとうございます!

5. あとがき

いかがだっただろうか。彼は決してWarcraftの世界において、メインキャラクターではない。
しかし、彼の数奇な運命は彼を非常に魅力的なキャラクターにしており、世界にも彼のファンは多く、私も彼に魅せられた一人である。

これからRaidへ挑むWoWプレイヤーたちはこの記事を読んで感じたことを胸に、彼を罪の鎖から、救ってあげてほしい。

"Selama ashal'anore!"(正義のために!)

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