鬼滅の刃はなぜここまで流行ったのか?
2020年も今日で終わりですが、今年は鬼滅の刃の年と言っても過言では無いでしょう。私も何回かアニメ版にチャレンジしていましたが中々面白さを理解できずにいましたが、年末の時間を活用して遅ればせながら全巻読みましたので、大ブームの理由について分析してみたいと思います。
空前の大ブーム
映画「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」の興行収入が公開から73日間で324億円を超え、国内で上映した映画の歴代興行収入ランキング1位になった。
公開から73日間の累計観客動員数は2404万9907人、興行収入は324億7889万5850円となり、これまで歴代1位だった「千と千尋の神隠し」(2001年)の316億8000万円を超えた。
鬼滅の刃劇場版が遂に「千と千尋の神隠し」が持つ日本興行記録を抜きました。316億円というアンタッチャブルレコードを、このコロナ禍の中で抜き去ると言うのは凄まじいことです。何がそこまでのブームにさせたのでしょうか。
ここまでの社会現象になるには幾つかの要因があると思います。そこについて考えてみます。
作品としての魅力①時代と舞台
各メディアが同作品をプッシュしているのが人気に拍車をかけているのは間違い無いのでしょうが、どれだけプッシュされても面白くなければ人気は続きません。やはりブームの前提として、作品の魅力を忘れてはいけません。
同作品には、鬼という不老の生物が敵として登場します。主人公は鬼滅隊というチームの隊員として刀を駆使して鬼と戦います。舞台は大正時代の日本ですが、この鬼や刀という日本文化由来の作品であるため、日本人にしたら取っつきやすい作品だったのではないでしょうか。
作品としての魅力②緊迫したストーリー
読むとわかりますが、魅力的なキャラでも結構あっさり死にます。というか死にすぎです。大半の少年漫画は、あまりキャラは死なないのですが、誰が死ぬかわからないストーリーは多くの人をハラハラさせたのではないでしょうか。
映画の実質的な主人公である煉獄さんも例外ではなく、いつ死んでもわからないというのが作品への没頭を生み出しました。
作品としての魅力③アニメのクオリティの高さ
同作のアニメはufotableが担当しています。同社はクオリティの高さで評判がとても高い会社です。以下記事にあるとおり、非常にクオリティの高いアニメになったからこその人気であり、制作会社が別であったらここまでの人気にはなっていなかったかもしれません。
https://manga-ch.com/archives/6797.html
私の記憶では、アニメ化前までは、一部に人気がある程度でここまで国民的な作品ではなかったと記憶しています。
社会的背景①新型コロナウイルス
作品自体の魅力やメディアのゴリ押しなどもありますが、それだけではないでしょう。今年はコロナ禍という前代未聞の状況で、多くの方々が多くの時間を自宅で過ごしています。
そうなると、時間をどうやって潰すかという問題が生じます。要するにこれまでにないくらいの人数が時間を持て余してしまうという大変珍しい事態が生じたのです。
そして多くの人は、自らの可処分時間を後述する動画サービスに投入したのです。
社会的背景②オンデマンド動画サービスの普及
①のような状況で、多くの人は何をしたのでしょう。以下リンクの調査結果を見ると、Netflixやプライムビデオなどの動画サービスを、コロナ禍がきっかけで利用し始めたことがわかります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000041.000013190.html
これによって、リアルタイムで見ていなかった方も鬼滅の刃を視聴することができたと思われます。今回の映画はアニメからの続編という扱いですが、このような作品の場合あらかじめアニメ版を見ていないと話が分かりません。今までは、地上波アニメを追いかけるには放送を逃してしまうとDVDレンタルなどを活用するしかなく、そうなると中々面倒で「じゃあいっか」となりがちです。
しかし、動画サービスを利用して誰もがスマホやテレビで過去作品を視聴可能になったことで、鬼滅の刃のアニメを追うことができ、それが結果として映画の裾野を広げたと考えることができます。
興行収入ランキングを見てもアニメ続編としての映画がランクインしている前例はありませんが、動画サービスの普及がそれを後押ししたのは確かでしょう。
社会的背景③メディアのゴリ押し
これは賛否両論ありますが、メディアでゴリ押ししたことが多くの人の関心を惹きました。原作からのファンにとっては、嫌だと感じる人も多いだろうとは思いますが、これによって無関心だった大半の人の認知を獲得することができました。
現代はネットの普及により、興味や趣味が多様になり、ある特定の作品に多くの人が集まると言う現象は起きにくくなりましたが、かつてないほどのメディアプッシュにより、多くの人が鬼滅の刃に関心を持つようになったと考えます。
まとめ
同作は、原作の魅力とハイクオリティなアニメ化によって人気に火が付き、コロナ禍と動画サービスの普及が掛け合わされ、マスまで作品が到達してスマッシュヒットをしたと認識しています。
もちろん、作品が素晴らしいのは百も承知ですが、様々な要因が重なりこのような希有な事態になりました。原作は23巻で完結していますが、映画はまだ8巻相当で、ストーリー的にはまだ序盤です。いったいどこまでブームが続くのか。見守っていきたいと思います。
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