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元気づけてくれる歌を、いつまでも歌っておくれよ

こんにちわ!
流しの四元です。

流しをしていると、
人の優しさに触れる機会がとても多いように思うんです。

昨日も、いつものように新宿名店横丁を流していたら、
時々来てくれる常連さんが珍しく1人で来ていて、カウンターに座っていました。

お客さん「お、今日は何歌ってくれるの?」
四元「もう好きなもの選んじゃってくださいよー」

なんていつもの会話をして、
お客さんがリクエストしてくれたのは、
沢田研二の『時の過ぎゆくままに』でした。

僕は、この曲は玉置浩二がカバーしてるバージョンから知ったのですが、
自分の音域とわりと合うことと、
詞で描かれている景色が想像しやすいところがすごく好きで、
気持ちも入りやすい曲なんです。

それで歌い終わって、
ひと言ふた言話したあと、僕が

「あ、そういえば最近、どうしてこの曲リクエストしたのか聞いているんですけど、もしよかったら教えてくれませんか?」

と聞いたところ、
さっきまで嬉しそうな顔だったお客さんの顔が少し神妙になって、

「サラリーマンはさ、
みんな少なからず理不尽の中で毎日を生きていると思うんだよね。
だけど、そういうのも飲み込んだりして、
また明日もがんばらなきゃって思うんだよ。
それで今日は『時の過ぎゆくままに』を聞いたら、
歌の世界に浸って、よし、明日もがんばろうって思えるんじゃないかと思ってさ、それでこの曲にしたんだよね」

といったことを話してくれました。

この話を聞くまでは、
この曲のことをそんな風に捉えたことがなくて、
シンプルに
「もしも2人が愛せるなら
窓の景色も変わってゆくだろう」
という、"いけない恋をしている男女の悲しい恋の歌"だと思っていたのですが、

お客さんと話して、
「あぁそうか、時の過ぎゆくままに身をまかせるって、恋だけでなく、叶わぬものや思い通りにならない現実に対しても言えるなぁ」
とはじめての解釈が頭をよぎりました。

そしてお客さんは、
「だから、四元さんには聞いた人が元気になるような、
そんな歌をいつまでも歌ってもらいたいな」
と言ってくれました。

これを言われて、なんだかとても嬉しく思うと同時に、頑張らなければ!という責任感みたいのもなんだか感じました。


好きなことを仕事にさせてもらっているんだものね。
聞いた人が元気にならないでどーするの!
悩みは日々増えるばかりだけど(笑)、
だけど、聞いた人が元気になれるように、
いい歌うたうぞー!!

なんて、そんなことを考えた夜でした。

そして、
お客さんとこの話をして、この曲のことをなんだか好きになりました。
この歌をうたう時には、いつもこの人の顔が浮かんじゃうんじゃないかな、っていう特別な曲になった気がします。
最近はじめた「リクエストした理由を聞く」って試みに、まさかこんな良さがあるとは!!

お客さん、また聞きに来てくださいね!

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四元壯(ミュージシャン)
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