さユりさんの死は、とても悲しい
歌手のさユりさんが亡くなった。
死因は非公表となっているが、
少し前に病気であることを発表していた。
有名なところだと、flumpoolの山村さんやコブクロの小渕さん、そしてモーニング娘。の小田さくらさんなどがなっている。
そして、僕自身も同じ病気を抱えている。
発症してもう何年も経つが、いまだに完治したとは思えない状態だ。
この病気は、はっきり言って、歌う人にとって「死にたくなるほど、苦しい病気」だ。
この病気には色々な呼び方がある。
機能性発声障害、声帯ジストニア、痙攣性発声障害など。
どんな病気かというと、わかりやすくいうとスポーツでいう「イップス」だ。
声が意図せず震えてしまう、という症状の病気。
この病気の厄介なところは、
肉体的・物理的には何も問題がないところだ。
もし、例えば、転んだ時に喉を痛めた。背中を痛めた。
咳をしすぎで声帯が荒れてる。
など、原因がわかりやすければ、その治療に専念すれば治る気もするが、
明らかな原因がわからない。
僕も、声帯ジストニアになった時にはいくつもの病院を回って、色んな治療をしたが、結局、根本治療となるものには出会えなかった。
なぜなら、原因がよくわからないからだ。
色んなお医者さんやボイストレーナーに会って話を聞いてきたが、
その中でもっともらしかったのは、
「脳の回路が、狂ってしまったのでは」
ということだった。
脳が、歌う時に、体に変な指令を送るようになってしまって、
それが震えとなったり、詰まりとなって出てしまうのではないか、ということだ。
これは、少し心当たりがあり、当時の僕の歌う環境というのは、
・飲み屋で歌う「流し」という仕事で、「騒がしい」「タバコで空気が悪い」「特殊な環境で、気を遣って歌う」
という環境で、それに加えて
・風邪を引いても生活費を稼ぐために休めず、無理して歌い続けてしまった
というものがある。
おそらく、これらの要因がかけ合わさって、脳が僕の喉を守ろうと変な指令を送るようになってしまったのではないかと思っている。
では、これを治すには「死ぬ」しかないのか?比喩的な意味でも、現実的な意味でも「死ぬ」以外ないのだろうか?
やはり、そんなことはないと思う。
僕自身はまだ完治していないが、確実に、かなり良くなってきている。
結局、医者にもボイストレーナーにも頼らなくなり、自己流のトレーニング法にはなるが、確実に良くなった。
重要なのは、
精神的には「治そうと焦らない」「現状を受け入れる」ということ。
練習の心得としては「とにかく力まない。何があっても力まない」「呼吸の量を意識する」
ということだ。
本当に色んな方法を試した。
震えるのならば、物理的に震えをなくしてやろうと、
喉を思いっきり手で押さえつけて、自分自身で首を絞めるような感じで歌ったりもした。
本当に何度も自分を殺したくなった衝動を、そのままぶつけるような感じで。
Bスポット治療という、鼻の奥の粘膜を焼く治療を月に1回やったりなどもした。
それで、完治ではないが、かなり良くなった。
治療法や練習法は、人それぞれかもしれない。
けれど、絶対に良くなる。
少なくとも、死ななくてもいいほどには治る。
だから、この病気で苦しんでいるシンガーさんや、
声を使う仕事をしている人、声を出すのが好きな人。
そういう人たちは、
色んな人に会いに行ったり、叫びをSNSで発信したりして、
諦めないでもらいたいと思う。
僕自身はトレーナーとかは出来ないけれど、
少なくとも、同じ病気を抱えるものとして話を聞くことはできる。
だから、死んでしまいたいと思ったら、
もう少しだけ、諦めずに生きて欲しいなと思う。
さユりさんは、この病気で亡くなったかはわからないけれど、
もしも、この病気で苦しんでいたとしたら、
今回のことはとても悲しい出来事だと思う。
改めて、素晴らしい才能がいなくなってしまったなと残念だ。
読んでみて少しでも「いいな」とか「会ってみたいな」と思ったらぜひ会いに来てください!!