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クリエイティブ系(BtoB)の企業が悩んでいること。

まず初めに、僕はすべての経営者を尊敬しています。
自分もやってみてわかったのですが、経営ってなかなかしんどいわけです(笑)。・・なので、同じ想いをして多くの雇用責任を背負って日々頑張っている経営者の方々は本当にすごいなと思います。
さらに自分でリスクを負って会社を立ち上げた方なんて言ったらそれはもうなんと言葉にしていいのやら。やっぱり創業オーナーとサラリーマン社長では持っている覚悟に大きな隔たりがあると思うんです。

稀にそういった方からも相談を受けることもあるのですが、自分なんかが答えられるようなものがあるのかな?と思いつつも、質問されたことには真摯に応えたいと思って自分なりの経験をお伝えするようにしています。

・・・ということで、今回は経営者やマネージャーの方々から悩みや課題を相談されたことについて書こうと思います。
※今回はちょっと長いのでお時間のあるときに読んでいただければと。


僕が関わる企業がそっち方面の方たちが多いということでタイトルでは(この表現が正しいのかわからないですが・・)『クリエイティブ系のBtoB企業』としているものの、実際は業種はあまり関係ないのかもしれません。
そして経営者やマネージャーの方々にお話を聞いてみると、どの会社も悩んでいることや課題は意外と似通っているなと感じます。
※今回は僕らが活動を行っているWEB業界の話に限定したいと思います。

この業界の企業は、もともと広告代理店や制作会社で働いていた優秀な方が独立して会社を立上げ、比較的小規模(~30名程度)で活動しているような会社が多いという印象です。BtoBなので自社でユーザーを相手に直接サービスを行うというのではなく、クライアントの課題を解決するためのアウトプットを行うことで主に収益を得ているということになります。
※BtoC事業も同時に行っている企業もいますね。

独立する理由は「いまよりも給料を増やしたい」「好きな仕事だけやりたい」「仕事のコントロールは自分でやりたい」「組織での活動が苦手」等々いろいろあるのでしょうが、立上げは自分のみもしくは数名の仲間とスタートする場合が多いと思います。

最初はサラリーマン時代よりも手取りが増えれば(生活費+α程度)良いと思っているものの、仕事が増えるに連れて仲間を増やす必要に迫られて中途採用を行い、社員数が増えることで雇用責任が生まれ、自分だけのことを考えれば良い状況ではなくなってからいままでになかった『悩み』や『課題』が生まれることが多いようです。

いろいろな方から話を聞くと主に以下のようなことで悩んだり、課題を抱えていることが多いようです。

■経営者がいない:
優秀なプレイヤーの方が会社を立ち上げる場合が多いため経営の経験がない方が多いです。その場合、実態として社長=経営者、ではないのですよね。
このため、自身の活動で稼げている範疇で経営できる企業規模であれば問題ないのでしょうが、社員数(販管費)がその稼ぎを超えるようになってくると(固定費が上がって)途端に経営が傾くということがあります。
経営者とプレイヤーは当然ですが全く別のものなので、自身が経営に向いていないと思う方は経営経験者を(非常勤役員でも良いので)迎えた方が良いでしょう。
■キャッシュ(現金)が少ない:
これは企業としてはもっとも悩ましいことだと思います・・。
先の『経営』に関連しますが『キャッシュフロー』について深く考えられていない場合に大きくのしかかる課題です。思考がP/Lで止まっており、目先の売上にしか頭がいかずに現預金の出入り(取引先の支払サイト等)を気にしながら経営を行っていないと俗にいう『黒字倒産』になります。
また、昨今のような不測の事態にキャッシュがないとあっという間に倒産の危機になるので、たとえ儲かったとしてもパ~っと使ってしまうのではなく、一定のキャッシュは常に確保しておきたいところです。
■採用がうまくいかない:
会社の実績が豊富だったり、特徴や知名度がないとこのご時世、中途採用はなかなかうまくいかないものですよね。D2Cdotも以前はエージェントに頼りっきりだった時期がありましたがまったくうまくいきませんでした。
採用は企業側の本気度と人事&広報の連携が必須だと思います。自社の社員全員総がかりくらいの気持ちで積極的かつ自主的に取り組まないと良い人は採れない(自社を選んでもらえない)でしょう。

最近の転職者は会社の企業文化や社長の考え方などを参考にして応募してくる方が多いと感じます。また、その企業のビジョンや社会貢献活動などに共感できるかどうかでどの会社を選ぶかを判断している方もいるので、(入社後のミスマッチを生まないためにも)経営者やマネージャーはSNSやnoteで自分の考え等を書くことをおススメします。
■販路が広がらない(特定の企業への依存度が高い):
小規模な会社は営業活動ができる人員数が限られているため、クライアントの数も自然と少なくなります。このためエース級の社員の活動は選択集中の方針がとられて特定のクライアントへの依存度が高くなる傾向にあります。
※「エース級の社員=社長」ということが多そうですが。
これ自体は悪くはないのですが、依存度の高いクライアントの方針転換や予算縮小などが起きた場合に連動して自社の経営が一気に傾きます。
このリスクを防ぐにはクライアントの社数を増やす必要があるのですが、そんなに簡単に広がるものでもないというのが難しいところです。

広げ方としては自社独自の活動以外では、営業力があって複数のクライアントの窓口になっている代理店とのお付き合いを増やしたり資本を入れてもらうなどが挙げられます。
■安定した仕事がない(将来が不安):
自社のポートフォリオがスポットの案件ばかりになると、経営は安定しません。案件を獲りに行く⇒開発する⇒納品⇒またゼロから獲りに行く・・という繰り返しは自転車操業モデルを生み、いつまでたっても心休まることはありません。また、いまの案件が来年もくる確率は必ずしも高くはないため、先行投資的に採用をすることもためらってしまうでしょう。
ここを改善するには毎月収入があるような固定運用案件を獲りに行くことが必要になりますが意外とこれが難しいのです。運用案件に対応するにはそれなりの人員の稼働を固定で確保しなければいけないので、会社の規模を大きくする方向に舵を切る必要がでてきます。鶏卵の問題になりやすいのですが、こちらの方向に進むのであればある程度の覚悟は必要そうです。
■なかなか人が育たない:
人の成長には時間がかかります。即戦力の人材が採用できないのであれば、そこは数年がかかりで人を育てていく覚悟が必要です。教育には座学と実学の両方で育成していく必要があります。座学はいろいろなセミナーやサービスもあるので代用できるでしょうが、実学は実際にやらないと身につかないので、マンツーマン体制で着実に教育していくことが必要でしょう。
教育して成長してきたら突然退職してしまった、なんてことがないように、きちんと社員と向き合うことも忘れないようにしたいものです。
■特定の人への依存体質から抜けられない:
■労働集約型の仕事の仕方から抜けられない:

このふたつもよく悩みとしてききます。
でもそれって本当に悪いこと(悩み/課題)ですかね?って思います。
依存できる(優秀な)人がいること自体は良いことですよね。
そこは誇っていいと思いますので、ネガティブに考えずにむしろ採用や教育を行って依存できる人員をもっと増やしていこうという考えになってもらえればと思います(笑)。
そして僕個人としては『労働集約型』の仕事も必ずしも悪いとは思いません。会社をスケールするためにはもちろん手離れが良い仕事をしていく方が良いのでしょうが、そもそもクリエイターってそういうことを望んでいますかね?クリエイターって自身が考え抜いて生み出したアウトプットでクライアントを成功に導くことに生きがいを感じている人が多いと思うんです。
※そこを理解していないのであればそもそもこの事業を継続すること自体を考え直した方が良いんじゃないかな?と思います。
もしも手離れが良い仕事を望むのであれば、そこは別で新規事業を考えた方が良いでしょうし、それこそ経営者の仕事なんじゃないか?って思います。

他にも書ききれないくらいありますが、上記の課題や悩みの解決方法は各社の状況に応じて変わってくるのかなと思います。


僕はこの業界が好きなのですが、クリエイターが安心して長く働き続けていける業界になるにはもうちょっと規模の大きい(100~200名程度の)会社がもっと増えていかないといけないんじゃないかっていう課題感をずっともっています。

もちろん少数精鋭で尖ったアウトプットを出し続ける企業も素晴らしいのですが、誰もがそのレベルまで突き抜けたいと思っているわけではない(実際にできるわけでもない)ですし、そういった人たちしか生き残れない業界だと裾野が広がらなくて次に繋がらず、どんどん先細りしていくんじゃないかと思います。また、その尖ったクリエイターが現役を引退したら終了ってなっちゃうと会社としても継続性がないですよね・・。
※そこで働く社員はそれ以降も働き続けなければいけないですし。

WEB業界はまだ歴史が浅いし若い人たちも多いので、まだまだ先のことを考えられていない人も多いでしょうが、家庭をもったり体力的に厳しくなったりしたときに、現状では柔軟に安心して働き続けられる環境が少ないんじゃないかという危機感がずっとあります。そして、そういった環境がない業界は成熟しているとは言い難いのではないかなと。

そこを変えるためにはやはりある程度の会社の規模が必要だし、働く人にとっても選択肢をもっと増やしていく必要があると思っています。そのためには(自分も偉そうに言える立場じゃないですが)ある程度年齢や経験を重ねている経営者たちの成長や意識改革が必須だと思っていて、もっと会社の規模を大きくする志向をもった経営者が増えてほしいと願っています。

それは自分たちだけのためではなく、業界や次の世代のクリエイターたちの今後のためにも。

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