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『独りで全部やらないといけない(やりたい)』症候群。

いまでこそ仲間を頼りまくっている自分ですが、以前は『全部自分でやるべき&やった方が良い』という勘違いにとらわれていたことがあります。
周囲に聞くと同じような考えだった人が少なからずいるようです。

周囲の人からヒアリングするに(自分の経験もふまえて)、そういった考えになってしまう主な理由は・・・

①自分が一番理解しているから自分がやった方が早いし良いものができる。
  ⇒逆にいうと自分の知っていることしかできないですね、これでは。
②全行程を自分でやって「やりきった」という充実感&責任感を味わいたい。
  ⇒自分勝手な自己満足ですね(苦笑)。「俺、すごい」的な。
③価値観の違う人と一緒にやるのが苦痛。説明するのも面倒くさい。
  ⇒多様性の拒否ですね。これじゃ自分以上のものは創れません。
④お願いをして断られるとショック(苦笑)。嫌な顔されるのもつらい。
  ⇒公私混同していますね。仕事よりも自分の感情を優先しています。
⑤自分の成長のために全部自分でやりたい&知りたい。
  ⇒若いうちなら良いでしょうけど、いつまでもこれではダメですね。
⑥自分よりもレベルが下の人とやっても良いものができない。
  ⇒目先思考ですね。この考えじゃ業界発展や次の世代に続かないです。
⑦未熟な人と一緒に仕事をしてミスをされるのが怖い。
  ⇒でも自分もそういう時期あったでしょ?っていう。

・・という考えが多そうです。

僕自身も上記のいくつかの考えからいつのまにか『独りで全部やらないといけない(やりたい)』症候群にかかってしまった時期がありました。いま思えばなんて視野の狭い考えだ・・と思います(苦笑)。
趣味で個人的に作品をつくっているアーティストとかならまだしも、クライアントワークを中心としているビジネスマンとしてはこれではNGですね。

『独りで仕事をする』のはある意味ラクです。
他人からの干渉は極力少なくできるし、自分のことなので自分でコントロールしやすい。何か問題があっても自分の気持ちひとつですぐに軌道修正もできます。自分で良くも悪くも責任がとれるので納得感もあります。
※稀に自分で『独りでやる』道を選択して実行しているのに、何か問題があると周囲のせいにする人もいたりしますが・・・。

ただ、これでは自分の能力やキャパ以上のことはできないし、業界発展や後進育成にもつながっていきません。目先の仕事だけを考えるのであれば良いのでしょうが、中長期で考えると自分のためにもクライアントのためにもならないでしょう。


僕個人としては、担当したポジションごとに様々な形で『独りで全部やらないといけない(やりたい)』病が発症して、様々な形で解消していった感じです(笑)。

【現場のプレイヤーだったとき】
『プロデューサー』という職業柄か、外部のパートナーがいればある程度ひとりで完結できてしまう仕事でした。外部のパートナーは自分が信頼おける人たちにお願いしていたので、ある程度は固定化された『チーム』でした。人数が少ないうちはそれでも全然良かったのですが、組織が少しずつ大きくなるにつれて後輩ができます。

後輩とコンビで動くようになり、自分の仕事の一部を教育もかねて任せると(当然ですが)独りでやっていたよりも動きは遅くなります。また、任せていた業務のアウトプットも満足いくものではありません。いま思えば自分の教育や指示がダメだっただけなのですが、スムーズに進まないことに少しずつストレスがたまっていくんですね(苦笑)。自分も若かりし頃だったので、相手の性格を踏まえずに自分の価値観ややり方を相手に押し付けていたことも良くなかったと思います。

何度も『自分でやった方が早い』と思ったことがありましたが、そんな感じで続けていても時間がたつにつれて後輩もちゃんと成長します。やれることが増えて言われなくても動けるようになり、僕にはもっていないスキルを身につけて予想外のアウトプットをするようになりました。一定の領域を任せられるようになり、自分はその間に違う仕事もできるようになりました。

この経験により『相乗効果』とか『分業』のありがたみを理解できるようになりました。それによって全体のアウトプットの質も上がり、負荷分散ができたので対応できるクライアントの数も増えて売上も拡大。
目先の苦労(教育)から逃げるよりも、いま苦労しておけばあとあとラクになるということも学びました。
また、この経験がなかったらおそらくマネージャーになったあとに相当苦労していたと思います。

そしてその後輩が次の後輩を育てたりする姿をみると、こうやって会社ってつながっていくんだなぁと感慨深くなったのを覚えています。
【マネージャーだったとき】
現場で『相乗効果』『分業』のありがたみを理解してマネージャーになりましたが、マネージャーの業務はまた別世界のものでした。マネージャーなんてそもそも経験したこともない(チームリーダーとはまた違う)状況で、同等の存在も部内にいない状況だったので業務分担自体ができる状況ではありませんでした。

マネージャーになりたての頃は現場への未練もあってプレイングマネージャーをやっていましたが、マネージャーとしての仕事をやりきれていないと感じて現場を断つことを決めました。ここから意識が大きく変わりました。

現場業務に関しては完全にメンバーに任せることにしました。これもいわゆる『相乗効果』『分業』ですね。現場のときにこのふたつの良さを理解できていたので『独りで全部やらないといけない(やりたい)』病はあまりでてこなく、一度決めたら躊躇なく実行することができました。

『攻め』の部分をメンバーに任せることができたので、自分は『守り』の組織を創る方を中心に活動しました。そうなると自然に仲間に感謝ができるようになるんです。みんなが『攻め』を頑張ってくれているから自分はここに集中できるんだなぁっていう。

『組織』は自分が全部の役割をやるんじゃなくて、必要な機能をいろんな人で担当して、総合的にすべて満たされていれば良いんだと理解しました。
マネージャーになりたての頃は『マネージャーってすべてにおいて高いレベルで業務をこなせる人』だと思い込んでいましたが、結果として業績も向上したので、そこからは自分にできない領域があったとしても自分を許せるようになりました
【経営者になってから】
規模は当然大きくなりましたが、基本的にマネージャーで学んだことをそのまま使っている感じです。『組織は自分が全部の役割をやるんじゃなくて、必要な機能をいろんな人で担当して、総合的にすべて満たされていれば良い』という考えが大事だとますます感じています。
なので『独りで全部やらないといけない』という気負いはないです。
※もちろん会社の最終責任者なのでそこの想いはありますけど。

ある特定の領域ごとに僕よりも全然優秀な人材がいるし、そういう人たちが集まって『会社』という集合体が創られていて、それを有機的にまとめて動かすのが自分の役割だと思っているので、メンバーへの感謝や尊敬の念は以前よりもはるかに強くもてるようになりました。

業務の領域もどんどん広くなり、個性的な仲間が増えていくことで自身の懐も広くなったのか「あ~またなんか楽しそうなことやっているね~」と、みんなの活動を楽しみながら見ることができています。

・・という感じで、僕のこれまでの経験を記載しましたが、自分以外の人と手を組んで予想以上のアウトプットを創っていくというのはとても素晴らしいことです。最近はそれを『アンコントローラブルな成長』といって楽しんでいます。

もちろんそのためには自身の成長も必要なので、はじめから全部他人任せではダメだと思いますが、ある程度実力がついたら他人と一緒に自分以上のものを創りあげていく醍醐味を感じれるようになれると良いですね。

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