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シリウスは光り輝く
「あ、来た来た」
金糸の長い髪の少女は、その人を待っていた。
彼女達は場所を少し変えて、背の高いフェンスの網に指を引っ掛け、軽くもたれかかる。
「此処から見える景色が好きというか、落ち着くんだ」
そのフェンス越しの景色を一望する。
学校の本館に体育館、校外にはいつも通っている通学路の枝から伸びる様に建ち並ぶ家々。
合間に凸凹を作る様にアパートやマンション、大きな建物の下に当たり前の様にあるコンビニ、お洒落な喫茶店に美容室。
どれも見慣れた筈の建物なのに、この位置から観るのは新鮮だと、相手は感じた様だ。
「……落ち着くという事は、好きなんだよね?」
「まあ、そうだね。どちらかと言えば好きかな」
そう云いながら金糸の彼女は笑った。
「この為に、此処に呼んだの?」
「うん、それだけだよ」
「そうなんだ」
恐らく。金糸の彼女は屋上からの景色は好きではあるけど、誰かに見せたかった事、一緒に眺めるのが好きなんだと相手は感じていた。だって──
「……嫌だった?」
「ううん、そんな事ない」
──彼女の瞳は今、混じり気なく輝いているから。
「私も。この景色が好き……こんな風に見えるんだね」
そこに風が吹くと、彼女の金糸の長い髪が風に揺れる。そんな彼女を見た相手は、何かとても綺麗だと感じていた。
「ね、あっち側からも見ない?」
誘う彼女の指差す方へ、相手も同じ様に笑って、最後まで付き合ってあげた。