ポメラ日記 2020年3月11日(水) 必要なものを求めて生きる
昨日とはうって変わった晴天で、気温が高く、とても気持ちのよい日だ。
朝からぱんださんは甘えたで、だっこをせがんでべったりしていた。
しかし、昨日おいしいパン屋さんで買った食パンがお気に召したようで、六枚切りを二枚、ジャムをつけて食べ切る。ヨーグルトもしっかり完食だ。
三年後にはよんださんも二枚食べるようになるかもしれない、と思い至って慄然とする。六枚切りは家族四人が1日で食べる量なのか。
久しぶりに暖房をつけずに窓を開けている。
したまでいっしょにー、との要求に応えてぱんださんとささださんを玄関まで送り出し、よんださんを抱えて二階に戻る。
ささださんの漕ぐ子乗せ自転車の前座席に座ったぱんださんが、しゅっぱつ、しんこー!と上げる声が聞こえてきた。
今日はとても良い日だ。
お昼ごはん、よんださんにまたパン粥を出して、いよいよ小麦アレルギーの心配はなさそうだとチェックする。あと、あんなにぱんださんが美味しそうに召し上がっていたパンをよんださんにも上げたいという気持ちだ。
小麦アレルギーを警戒してしばらく中断していた、ささださんのホームベーカリーによる食パン作成を再開してもいいかねぇ、などと話し合う。
あんまり天気がよいので、ぐずぐずせずにさっと散歩に出た。
手芸品店にいって、よんださんのお昼寝シーツの布、計算を間違えて足らなかった尺の分を買う。
よんださんがよく寝ていたので、喫茶店に行って、溜めていた日記を書いた。土日はあまりに一人の時間がなくて日記が書けず、週の前半に取り返すというパターンになっている。短くて良いのだし、あまり溜めずに書くようペースを作りたい。
魔が差してプリン・ア・ラ・モードを頼む。
駅前の昔ながらの喫茶店は、空いていると赤ちゃん連れに、気前よく六人掛けの席へ通してくれるため、赤子を寝かせることが出来るのでとてもありがたいのだが、まあ昔ながらの喫茶店なので食べ物のクオリティも昔ながらだ。
プリン・ア・ラ・モードのプリンはゼラチンぽい舌触りであった。
むしろそこがいい、みたいなところがある。
道を歩いているだけで沈丁花の匂いがする。沈丁花、花のすぐ近くより少し離れたところの方がよく香るのはどうしてだろう。
よんださんに、これが沈丁花、と幾度か教えたことをまた告げる。
よんださんは手をのばして、つやつやとした葉の方を触っていた。
よんださんを抱えてぱんださんを迎えにいく。ぱんださんは今日は、同じクラスのKOくんと仲良くしていたらしい。
お迎えのタイミングも重なり、ぱんださんとKOくんは遊びモードが継続してなかなか離れなかった。
流れで、KOくんのお母様と、こんどお宅におじゃまして遊ぼうという口約束をする。こちらもお誘いする。ぱんださんも熱心に、家においでよと誘っていた。
ぱんださんが、まだ遊び足りない、公園に行こう、と主張するので、気候の良さもあって公園へと行く。
勤務時間が終わったら散歩においでよ、とささださんを誘うメッセージを送り、色よい返事をもらう。
それまでぱんださんに付き合うつもりだが、ぱんださんがかくれんぼをしたがるのでなかなか難しかった。よんださんはベビーカーで熟睡しているので、置いていくわけにも行かない。ぱんださんが鬼の時はベビーカーと一緒に隠れ、ぱんださんが隠れるときはベビーカーを押して探す。
しかも幼児とのかくれんぼは、幼児から目を離すわけにはいかないので、実は戸外でやるのはたいへん難易度が高い。隠れながらも幼児を視界の端にいれ続け、鬼として数を数え見ない振りをしつつも、実は隠れる幼児の場所を把握し続ける、という難しさだ。
はよ、ささださん来て、と願う。
途中で、同じ園の友だちをみつけて、ぱんださんが一緒に遊び始めたので助かった。
一緒に遊ぶとはいっても、友だちが逃げ続け、ぱんださんが「Iちゃんまってー」と言いながら走って追いかけ続けるという構図だ。
Iちゃんのお母さんに、ご迷惑でないですかと訊いてみると、「いや、Iもずっとさっきから、ぱんだちゃんに見つけてほしい感じでチラチラしてたので…今も追いかけられるのがいいみたいで…」とおっしゃった。
確かに、見ていると、ぱんださんが疲れて立ち止まったり、別の遊具に気を取られたりすると、Iちゃんも立ち止まってぱんださんが追いかけを再開するのを待っているらしき挙動をする。
それならそれでいいや、と傍観しつつ、Iちゃんのお母さんと話をしていた。
君ががんばって、がんばって、誰かと遊びたいと必死に汗をかくまで走り続けられるのは、すごいことだと思うよ。
ささださんも仕事を終えて来て、それでもまだ追いかけっこが続いているので、これこれこういう状況です、と共有する。
最後には、とうとうIちゃんとぱんださんが一緒の遊具で遊び、一緒の砂場で遊んだので、よかったねぇ、という気持ちで眺めていた。
こども、すでに親が口を挟むようなものではない関係性の中で生きてる。
親だけとの関係では全然足らないってことを、言葉で知る前に、生きている。
すばらしいことだ。
ぱんださんはごはんとおでんの夕飯後に、パンをもう一枚と半分要求し、ジャムをつけて食べた。そんなに美味しかったのか。まぁ、Iちゃん追っかけてめちゃくちゃ走ってたもんね。おなかすくよね。
それはそれとして、ぱんださんはなんだか不安定な日でもあったようで、わたしがお風呂に入っている間号泣し、髪を乾かす暇もなくそれに応対していたら、現在わたしがちょっと風邪気味である。
よんださんを膝に、ぱんださんを前にして絵本を読み聞かせていると、ぱんださんが、
「よんだちゃんがさむいから、ふゆだから」
とよんださんにタオルケットを巻き付けてくれた。やさしい。
ささださんが寝落ちしてしまったために、悲しげなぱんださんを待たせてよんださんを寝かせ、ぱんださんを寝かしつける。
なかなか眠らないため、最後はわたしは定期的に「ねーなーさーいー」と言うだけのマシーンとなった。
読んだ本は、
『タンタンタンゴはパパふたり』
『星と星座』
『ちょっとだけ』
でした。