ポメラ日記 2020年3月15日(日) 白い日の次の日
ぱんださんが、この間好きだろうと買い足しておいたものの、いまいち喜んでくれなかった食パンにジャムをつけて一枚食べ、さらに半枚、食べる。あと半枚分はわたしの分として死守した。
ほらーやっぱり好きなんじゃないか。
昨日明け方まで仕事をしていたささださんは起きてこない(休日定期)。
ぱんださんが、パンを食べながら唐突に、アマプラでみている「ウィッシュンフープ」という番組の話をする。魔法を使える女の子ビアンカの話で、母親も魔法使い、祖母に至っては妖精っぽい何かだ。「こちらの世界」では一般的な女の子の姿をしているが、魔法の世界では妖精らしい透明で虫・蝶系の羽が生えている。
ちなみにぱんださんは「ウィッシュンフープ」のことを「ちちんぷい」と呼んでおり、たしかにウィッシュンフープも魔法の呪文なので、みごとな翻訳であると感心している。
「びあんかは、おかあさんも、はねがついているんだって。てをつないで、ぱたぱたも、できるんだって」
そうか。つまりそれは、きみの胸にあるあこがれなのだな。
ぱんださんは朝から凧づくりに意欲を燃やしている。とはいえ、素人に本格的な凧づくりはむずかしいので(ぱんださんが作りたいのはそちらだと分かっていたが)、ビニール袋に飾り付けをして紐を結わえた簡易版を作った。
昼食後、テレビをみたがるぱんださんを説得して、凧で遊びに公園に行く。
風は冷たいが天気が良い。
ベビーカーによんださんを入れたわたしと、子乗せ自転車のささださん・ぱんださんだ。
公園では、よんださんがごきげんに笑っていてうれしい。
ぱんださんは作った凧を引っ張って走り回り、ささださんに追っかけさせる遊びをしている。途中で、体力の切れたささださんと交代して、わたしが追っかけ役になった。
同じ保育園の子とそのお母さんと遭遇し、相変わらず気づかないわたしは向こうから声を掛けてもらう。
園の子は、ぱんださんと出会って、表情の抜け落ちた顔をしてじっと座っていた。お母さんが、
「外でお友達に会うと固まっちゃうんですよー」
と笑っていた。
園児、人生経験が足りなすぎて一人ずつおもしろい。
公園の帰りにスーパーに寄り、そこでぱんださんが眠気のあまりに泣きそうになった。
ベビーカーにぱんださんを入れ、追い出されたよんださんを抱っこひもにしまう。
片手で熟睡したぱんださん入りベビーカーを押し、片手で熟睡よんださんを抱え、ささださんに混んだレジでの会計を任せて先に帰る。ささださんは、大量の買い出しの荷物を先に自転車で運ぶ係だ。
日が暮れた道を歩いていると、白と赤を取り混ぜた梅の花が咲いていた。
停められた古い自転車に、古びた犬のぬいぐるみが乗せられていた。
少しのさみしさが優しいような手触りの、いい帰り道だ。
ささださんの自転車が追いついて、小さな白いブーケをくれた。
「ホワイトデー、これだけです」
だから昨日買い物に出かけたかったんだよなー、とぶつぶつ言っていた。