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ポメラ日記 2020年5月17日(日) 無数の花の

びっくりするほど子どもが起きない。
ささださんは午前六時くらいに寝ていたので戦力外だ。
九時半をすぎて、ようやく危機感を持ってなんとかぱんださんをリビングに降ろした。
zoomのダンス教室が10:45からなのだ。前日、おっくうさをこらえて予定を入れていてよかった。

朝ご飯を食べ、なんとか床からおもちゃを取り除いて動くスペースを作る。
ダンス教室は、ぱんださんは初め、そのちょっと前に作り始めたブロック建築を作り終わるまで参加しなかったり、パプリカはちょっと踊ったり、いろいろであった。
これまでダンスというものを(幼児番組でさえ)見せてこなかった、親の怠慢を感じる。
いっしょに踊ろう、これからでも。

お昼になってささださんが起きた。
わたしは近くの友人がやっているお店が今日はテイクアウト弁当を出すというので、買ってくる気に満ちあふれていたのだが、ぱんださんがお弁当を作りたいという。
そういうなら仕方ない。
ぱんださんが、「自分で出来た」という達成感によるストレス解消を得る機会を逃してはならないのだ。
鶏チャーシューと新タマネギのおにぎらずとシューマイ、ミニトマト、ゆで卵などを作る。ぱんださんの希望により、みなでガレージでレジャーシートを広げて食べる。
天気が良くて、汗ばむほどの陽気だ。
「ぱんちゃんのつくったおにぎり、おいしい?」
とぱんださんが聞いている。

食べ終わってそのまま、ガレージでぱんださんがしゃぼん玉を始めた。
よんださんがしゃぼん玉を不思議そうにながめて、時折り手をのばしてそちらへハイハイしに行く。
「なないろにひかってた?」
うん、虹の色だった。

ささださんが、子どもたちを自転車に乗せて、スカイツリーの麓まで行ってみるという。
わたしは寝るかどうか迷ったが、一人の時間に気分転換がしたくて散歩することにする。
道行く人は、わたしのように陽気に誘われたのか、結構多かった。みなマスクをしている、ということが、わざわざ言及するまでもないくらいの日常の光景になってきた。
先日、ハナノナ、というアプリをiPhoneに入れた。
アプリを起動して、咲いている草花にiPhoneのカメラをかざすと、その名前を教えてくれる。
これまで、写真を撮っては家に帰って図鑑を調べ、少しずつ花の名前を覚えてきた。
そうやって名前を覚えた花は、くさはらに出たときに、「それだ」と浮き上がるように見えて、その名前が聞こえてくる。
けれど、ハナノナアプリをかざすと、すべての花の名前が分かる。
すべての草花が名前を持ち、意味を持ち、こちらへとその名前をしゃべりかける。ヒメツルソバ、トキワツユクサ、アリッサム、チャパラル・セージ、メキシコマンネングサ。
そうやって名前を持った草花たちは、知らなかったときよりずっとはっきりした輪郭を持ってこちらへ迫る。この花弁、この額、この葉の形。そしてその上にたかる、透き通るアブラムシ、青く光る翅を激しく開閉する蝶。
くらくらする。

そうやって気分転換になったんだかなんだか分からない散歩を終えて帰ってくると、おなじく帰ってきたぱんださんが号泣していた。
スカイツリーに行く途中、自転車の座席で寝てしまい、目を覚ましたらすでにささださんは帰路の途中で、スカイツリーを見ることが出来なかったのだという。
もう一度スカイツリーにいこう、見たかった、と泣いていて、どうすることもできないがその無念さは分かるので胸を痛める。
はやくきみ、大きくなって、自分の行きたいところに行きたいようになるといいのに。
子ども時代ってなんて長いんだろう。

夕飯を美味しい中華屋さんのテイクアウトで買ってきてくれたささださんが、なんと美味しいお菓子屋さんのシュークリームも買ってきてくれていた。
テンションが上がって、コーヒーとともにいただく。
三つ箱に入ったシュークリームが、クリームのところでくっついて三ツ矢サイダーマークになっているのが可愛らしかった。

ねかしつけの本は
『せがのびる』
『まるのおおさま』
『はくぶつかんのよる』
でした。
『まるのおおさま』、わりとシュールな内容なのだが、ぱんださんは本棚から「まるのおおさまがよみたいの」と名指しで探し、読み終わった後も「まるのおおさま、いっぱいよみたかったんだー」と満足そうにしていた。
何がそんなにその心を惹きつけるのか。

よんださんが寝るときに大泣きしてちょっと大変でした。


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やきとりい
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