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ポメラ日記 2020年2月23日(日) どうか帰ってきて、とずっと


昨日科学博物館に行ったときにささださんが、明後日が期限のミイラ展のチケットを入手して、
「ご時世的に人混みが怖いから、明日、朝一で空いている時間に行こうか」
と言っていた。
今日、ささださんは十一時に起きてきた。
「朝一で…」
とわたしが冷たい目を向けると、ささださんは
「朝一でミイラ展にいこう!」
と目をそらしながらお出かけの準備を始めた。
ということで二日連続で科学博物館に行く。

ぱんださんたっての希望で、科学博物館まで「ぱんちゃんの自転車」に乗っていく。
ペダルのついていない二輪の乗り物で、サドルにまたがり、両足で地面を蹴って推進力にする、プレ自転車みたいな乗り物だ。
これまで家の周りの道路しか乗ったことはなかったので、初のちょっとした遠出だ。
公道を走らせるのはさすがに緊張し、ぱんださんはわたしとささださんの二人からワーワー注意を受けながらも走りきった。
冒険だな、と密かに興奮した。
挑戦と冒険はきみの人生にいま、あるものなんだな。

ミイラ展はお昼時間、ものすごい人出であった。
こどもに感染性のいろいろをもらうのを危惧したささださんが、足早に人混みを抜けてゆく。わたしもぱんださんを抱っこしつつその後をついていったので、ほとんど展示は黒いたくさんの頭ごしにチラリと見えただけであった。
それでも、かなりぐっときた。
わたしは管見にも、ミイラと言えばエジプトと日本の即身成仏くらいしかしらなかったのだが、意外と世界中にある。そして、権力者や宗教者といった、自分の意志でミイラを目指した結果ばかりではなく、こどものミイラなんかもある。
こんな昔から、こんなに世界中で、こんなにもありふれている「死」をそのままに受け入れることが出来ずに、死後を想像し、帰ってきてほしい、幸福なその後があってほしい、と祈っていたのか、人類は。
現物のミイラとその文化に触れることで、その実感がありありと迫ってくる。
ちなみにぱんださんは早く展示会場から出たがっていた。
理由を聞くと、
「だって、こわいから」
と言っていた。
ミイラ、しわしわだもんね。


科学博物館の屋上でサンドイッチを食べた後、ぱんださんが恐竜を見に行くというので、そちらはささださんに任せてよんださんを授乳する。お腹いっぱいになって寝落ちしたよんださんをベビーカーにいれて、外のベンチにいるというささださんたちと合流すると、ぱんださんも寝落ちしていた。
日の当たるベンチに移動して、風は少し冷たいが日は暑いくらいだ。
ささださんと、どうしようねぇ、といいながらしばしぼーっとする。
生け垣に一輪の薔薇が咲いている。
春のつよい日差しで、薔薇の影が建物にくっきりと落ちている。
直接の太陽が当たらないように、コートを掛けたりして包んだ子どもたちを抱えて、ゆっくりと時間が過ぎていく。
ささださんと、こういうふうに隣に座っているのは、とてもよい感じだな、と思う。
だんだん風が冷えてきたので、よんださんをわたしが抱え、ぱんださんをベビーカーに乗せて動物園まで運ぶことにした。

動物園では、よんださんがとても興奮していてよかった。
ぱんださんにも、ヘビクイワシを指して、「これがおかーさんの好きな鳥だよ」と紹介できて嬉しい。
ヘビクイワシを見たぱんださんは
「しろと、くろがあるねぇ。しろいふわふわもあるねぇ。すきなのはどうして? きれいだから?」
とたくさん興味を示してくれた。


帰りもぱんださんはストライダーを駆って帰り、最後の方は疲れていたががんばった。

夕食時、最近成長のいちじるしいよんださんは、離乳食で親が食べさせるための長いスプーンを奪って口に入れていた。頼もしい。

寝かしつけの本は
『ちょっとだけ』

『かいじゅうたちのいるところ』
でした。

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やきとりい
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