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ポメラ日記 2020年3月18日(水) 落とし物は捜すとみつかる


メリーの下でつり下がるおもちゃと遊んでいるよんださん…のとなりに、ぱんださんが身を割り込ませて一緒に並んで、よんださんをぎゅーっとする。
ぱんださんによる、よんださんのかわいがりは今日も通常運転だ。

今日は暑いくらいの陽気だ。
よんださんを抱えて散歩に出て、コーディガンを羽織ってきたことを後悔する。
コーディガンを脱いで、ショルダーバッグに引っかけて歩く。
途中でコーディガンを落として、すれ違いざまの男性に声を掛けてもらって危うく拾った。
一時期、疫病からの不安で人通りが少なくなっていた街だが、陽気が良くなるにつれ歩く人が増えてきている。人気のかき氷屋さんにはずらっと行列が出来ていた。
知らない珈琲屋さんが出来ていたので、持ち帰りでデカフェのコーヒーを頼んでみる。
よんださんは、コーヒーが淹れられる様子をじっと興味深げに見ていた。
その間に、お客さんと店長さんらしき人の会話が耳に入ってくる。
新しい手ぬぐいを間においてのやりとりだ。開店記念でお客さんがもらっているのかと思えば、お客さんが店長さんに渡しているらしい。トイレの入り口に、のれんのように掛けてある手ぬぐいの柄が派手すぎる、トイレは目を引かせてはいけないのだ、この手ぬぐいなら柄が地味だからちょうど良い、三枚くらい持って行きなさい、という話題だった。
あれこれやりとりしている間に、店長さんはその(もとの柄物の)手ぬぐいを掛けていた突っ張り棒を落としてしまっていた。
デカフェのコーヒーは美味しかった。

さらに歩いて、見事な枝振りの、古木の枝垂れ桜に行き当たる。満開だ。
お寺の中だったので、ふらふらと吸い寄せられるように門をくぐった。
枝垂れた桜が咲いている枝の下だけ、別の世界のようだ。
よんださんが、声を上げて笑いながら桜を見ている。
お寺の僧侶さんがお仕事中だったので、拝見しています、とだけ声を掛けて頭を下げておく。はいどうぞ、と物慣れた様子で頷かれた。
しばらく空を見上げ、いやぁきれいだったねぇ、とよんださんに声を掛けながら桜に背を向けて、気づく。
あれ、コーディガンをまたどこかに落としている。

先ほどの珈琲屋さんまで戻ったが、そこには落としていないという。
さらに道をもどる。
諦めることも考えたが、気に入っているものなのだ。とにかく期待はせずに、来た道を戻ろう。少なくとも、先ほど落として声を掛けてもらったときよりは先の道で落としたはずだ。
道二つ分は成果なく戻り、角を曲がったら、美容室の店先の大きな鉢植えに、コーディガンが置いてあった。
きちんと畳まれている。誰か、拾ってくれたひとが、畳んでから踏まれぬ場所に置いてくれたのだろう。
ありがたや……と、顔も分からぬ恩人に胸の中で合掌して、もう落とさないように、よんださんと体の間に挟み込んだ。

ぱんださんをお迎えに行き、今日は寄り道せずにまっすぐ帰る。
相変わらず空き地と路上に、エネルギーを持て余した子どもたちがあふれて遊んでいる。
キックボードの少女がわたしたちを追い越して行った。薄紫のダウンコートをまとい、背すじをまっすぐに伸ばし、優雅な仕草でアスファルトを蹴ってすいっ、すいーっ、と進む。貴婦人のようだった。
ぱんださんとふたりでしばらく見惚れ、ぱんださんが「ぱんちゃんも、あの、けるやつ、ほしいなぁ」と言った。


今日の寝かしつけの本は
『まよなかのくつやさん』
『たいこ』
『あかい かさ』
でした。
あと保育園から
『おばけのてんぷら』
『ちいさいおうち』
を借りてきて読みました。

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やきとりい
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