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ポメラ日記 2020年5月15日(金) 虫ガールとはちがう子/ @ajirobooks さん読書会

朝、よんださんの泣き声に起こされて、よんださんを再度寝かせてから、ゼーバルトの『アウステルリッツ』を最後まで読む。
この時間はよんださんが安定せず、だいたい30分ごとに起こされるので、寝ない方が楽なのだ。
とても久しぶりの、充実した読書体験にため息をついた。
ふと子どもたちをみると、ぱんださんが夢うつつに、よんださんの手を握ってもう一度寝るところだった。


散歩するなら午前中、ということで、よんださんを抱え、ぱんださんを誘って外に出る。
今日はぱんださんは、鉄橋を越えた先や、いつもは降りない小さな草むらに行きたがって、足を踏み入れた。
やはり、毎日同じ場所を散歩するのに飽きてきているのだろう。
行った先の小さな空き地に、ぱんださんの背丈ほどの草に囲まれた日だまりがあった。
『虫ガール』という、いただきものの絵本がある。
虫好きな女の子が、小学校でのからかいに意気消沈して虫好きを諦めかけるけれど、母親のサポートによって、インターネットを通じて世界中の昆虫学者や虫好きに励まされ、自分の好きなことをそのまま好きでいるという、実話の絵本だ。
その最後のページで、主人公が草むらの日だまりにたたずんで蝶を手に止まらせた絵とともに、語る。
『だって、わたしが いちばん しあわせなのは、
ひとりで いて、
みどりの はっぱがあって、
つゆで ぬれていて、
なにか 虫が いてくれるときだから。』
ぱんださんんは、いま自分がいる場所から、そのページを思い出したのだろう。
「ぱんちゃんのしあわせはね、」
と話し始めた。
「おかーさんがいて、いっしょにあそんで、いっしょにいてくれるとき」
ああきみは、あの虫ガールより、まだずっと幼いなぁ。
なんて幼い、もろい幸福なんだろう。
「おかあさんは?」
そう聞かれたので、ぱんちゃんとよんだちゃんが、元気で笑ってくれているときだよ、と答えた。

ささださんが、母の日に近くのフレンチのテイクアウトを買ってきてくれる。嬉しい。
ちょっといいやつだったので、ささださんは家で食べたそうだったが、このところささださんの仕事の都合で日課のピクニックが中断している。明日からは天気が悪そうだ。
折衷案でガレージにピクニックシートを広げて食べた。
その後、ガレージの中でぱんださんはなわとび(跳べない)をしたり、段ボールを円形に並べてアスレチックルートを作って遊んだりした。

汗をたくさんかいたので水分を取らせよう、と部屋に戻って、しばらくして、ぱんださんが鼻血を出す。
とても久しぶりに鼻にティッシュの詰め物を作った。
わたしも子どもの頃は粘膜が弱く(今もそんなに強くない)、よく鼻血を出していた。上を向かせると血が口の中に入って気持ち悪い、むしろやや下向きに、など、実体験の知恵を記憶から引っ張り出す。
暑いからだな、とクーラーを入れた。
夏だな。

夜、ご飯を食べた後、子どもたちをささださんに託し、オンラインでの「本のあるところ ajiro」さんの読書会に参加する。

ゼーバルトはこのために読んでいたのだ。
初参加の読書会なので知らない人ばかりだったが、とても楽しかった。
よく考えると、技術書でもなく、翻訳者や作者が語るを聞くのでもない読書会、ほぼ初めての参加である。
こんな読み方があるんだ、とか、こういうところを読むのか、というのが人様々で興味深い。話しているうちに自分の、作品への茫漠とした印象も徐々に形を持ってきて、ドキドキする。
インターネットで出てくる地名の地図を見ながら読むのは、わたしも時間があったらやりたかったことだった。やはり時間を取ってやろう。
こんな状況だけれど、こんな状況でなければ参加できなかったであろうajiroさんの読書会に参加できたのは嬉しい。

その後、一時間半離れていた子どもたちがべったりとひっついてくるのをなんとか寝かしつけまで持って行ったが、やはり就寝時間はまた後ろにずれ込んでしまった。
立て直していくぞ。

寝かしつけの本は
『タンタンタンゴはパパふたり』
でした。

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やきとりい
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