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ポメラ日記 2020年4月4日(土) あの空の青に無音の花びらが舞う


今日もぱんださんをどこにも連れて行けない休日だ。
あんまりテレビ漬けなのもどうかと、朝からまず紙コップでパクパク人形を作り、それから絵の具で遊ぶ。
ぱんださんは、ステンシルでうさぎとかめのシルエットを描いて、創作紙芝居としてももたろうと出会わせていた。
ちなみにストーリーは、桃から産まれたももたろうが、鬼退治にでかけ、うさぎとかめと出会って、終わる。ボーイミーツうさぎとかめだ。

ささださんが起きてきて、お昼を外で食べようということになる。ぱんださんが「ぴくにっくしたい」と言っているためだ。
全員でお昼を買いに出ると、店の中にいる時間が長くなってちょっと感染が怖いので、わたしだけ一旦家を出て、ささっとコンビニで見繕うことにする。
しかしぱんださんの情緒不安定がそこで爆発した。
わたしが行こうとするのを「いかないで」と大泣きし、振り切って行って帰ってくるとまだ泣いていた。おかーさんがいい、おかーさんといっしょにいたかった、とずっと号泣していたとのことだ。
たぶん、保育園や家の大人たちの不安や、ゆっくりと生活が削られていく様子が、じわりと伝わっているのだろう。妹ができて生活が変わったのと、二重にストレスを感じているのだと思われる。
よしよしと撫でて、出かけた。

出かけた先は、墓だ。
広い墓地に桜がいっぱいに咲いていて、人通りは少ない。やはり子どものエネルギーを持て余しているらしい家族連れがちらほらいた。
桜が見え、墓の上ではなく道路で、人が来なくて通行の邪魔にならない場所を探し、レジャーシートを広げる。
道々、たんぽぽや雑草の花が咲いているのを見つけては、ぱんださんが「あっ、みーつけた」と声を弾ませている。
日差しはとてもまぶしくて、暑い。家族四人のほかは誰もいない。墓なので死者はいると言えばいるが、つまり誰もいないと言うことだ。
春のうす水色の空に、高台の桜の木から散った花びらが舞い上がり、水色の布にちらちらと発光するうすべにの模様が一面に広がっているようだ。電車がすぐそばを通り、うるさかったはずなのに、あの空を思い出すと完全な無音で記憶がよみがえる。

途中でささださんが、ジモティで木材をもらう約束をしたから、と、よんださんを連れてピクニックを抜ける。
ぱんださんは、ばいばーい、と明るく見送ったあとに、わたしと二人きりになって「おとーさんがよかった、おとーさんなんでいっちゃったの」といきなり号泣しはじめた。
なんとか宥めて、ふたりで遊ぶことにする。
しかし墓だ。とても見通しが悪いので、ぱんださんの好きなかくれんぼは、できるならしたくない。死角でさらわれでもしたら、戻ってこないだろう。
それで、ぱんださんに「だるまさんがころんだ」を教えて、遊んだ。
とても楽しく遊んでくれ、わたしも安心だ。だが、40段ある階段でわたしが鬼役をしたときは、ぱんださんが「だるまさんがころんだ」一回につき一段しか進んでくれないため、40回「だるまさんがころんだ」を言うことになった。


家に帰り、ささださんも帰ってきて、しばらくガレージで遊ぶ。
なわとびをしたら、体よりも内臓が痛く、痛切に運動不足を感じた。

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やきとりい
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