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ポメラ日記 2020年3月23日(月) 怒りを込めて後退れ


友人が訪ねてくる予定があったが、体調不良ということで延期になる。
今日は、新学期に向けてぱんださんが新しい教室に移動する日だ。
朝の用意などもいろいろ変わってくるため、共有しておこうと、ささださんとわたしの二人で保育園まで送りに行った。もちろんよんださんも一緒だ。
おとーさんと、おかーさんと、ぱんちゃんと、よんだちゃんでいくの? どうして? とぱんださんは嬉しそうだった。
こまごまと変わる保育園のあれこれに、なるほど、と言って帰る。


明け方ほぼ寝てないことがささださんにばれ(別に隠していたわけではないが)、寝なさいと言ってくれる。
よんださんを抱っこひもにいれて仕事を始めるささださんを心で拝み、一時間半ほど寝た。寝る前はハイになっていて全然元気だと思っていたのが、少し寝たらめちゃくちゃだるくなった。眠いということをようやく受け入れたといえる。
起きてもう一度ささださんを拝んだ。

よんださんを抱えて散歩に出る。
よんださんは相変わらずいろんな人に愛想が良く、可愛い可愛いと声を掛けられていた。
声を掛けてくれるのはたいていは中高年の女性なのだが、ときどき老齢の男性、ということもある。おっかわいいねぇ! と景気よく声がけをして、にこにことすれ違っていく。中年以下の男性に声を掛けられることはほぼない。多分、老齢になることで、男性が意図せずにまとってしまう対人での威力みたいなものがいい感じに抜ける現象がある。そして声を掛けてくるタイプの人は、それをポジティブに受け入れているのだろう。

街の、どうやって経営が成り立っているのかわからない洋品店の店先の吊しに、「(買ったら)マスク二枚差し上げます」と手書きの札が下がっていた。
そんな商売っ気があったんだ、と、驚く。
安売り子ども用品店に行き、よんださんの乳児用防災頭巾を買った。防災頭巾という文化のない土地から来たので、東京のこの文化がちょっと異様に思える。綿入れ頭巾とか、歴史の授業でやった戦時中の防空頭巾のイメージしかない。やっぱり関東大震災への備えなのだろうか。
ついでに、必要だ必要だと思っていた背の高い踏み台を買った。ぱんださんの台所しごとに、いまの踏み台ではやや低いのだ。火はわたしが扱うとはいえ、鍋の中などに興味があるのに見ることが出来ず、却って危ない。
持って帰るのがとても重かった。


よんださんを抱えてぱんださんを迎えに行く。
朝、ささださんとわたしで送りに行ったものだから、ぱんださんはお迎えもそうだと思っていたらしい。
「おとーさんはこないの? どうして? きてほしかった」
と悲しまれる。
この辺で、オッきょうはちょっと不安定な日かな、とぴんときた。
ところでこのところ、ぱんださんは人と別れるときに、ハグ、ハイタッチ、握手の三種類をするのがブームだ。
園のほかのお友達とも、さんざんその三種類をやってから別れて帰る。
帰り道で、園のS先生が自転車をさっそうと駆って、「ぱんちゃんバイバーイ」と追い越して帰る。
ばいばーい、と嬉しそうに手を振って、ふと、ぱんださんの機嫌が急降下した。
「Sせんせいと、たっちと、あくしゅも、したかった!」
と悲しみ、前に進まなくなる。
そうかー、悲しかったねぇ、おいでよ、と慰めるために手を広げたが、ぶんぶんと頭を横に振って拒否された。
悲しみが高じて怒りに転じたらしい。
こちらを向いたまま、怒った顔で三歩くらい後ずさりする。
おいでよ、と声を掛けるとさらに三歩後退する。
そのまま、おいでよ、と声を掛けるたびに後退し、だんだん何も言わずに後ずさりするようになって、数メートル離れてしまった。
仕方ないなぁと近づくと、さらに後ずさる。
こんな時に考えることでもないのだが、怒って距離をとるなんて成長したな、と寂しくもしみじみしてしまった。今までは、わたしに怒っている時でさえ泣きながらひっつく一択だったのに。
激情のあまりに慰めを受け入れない、なんて、どんなに苦しく、きみは人間なんだろう。

多分、ぱんださんの不機嫌は、教室が変わったり、世の中がちょっと不安定で色んな場所に行けなかったりするストレスの表現だと思われる。
結局、「おうちに白玉粉あるよ、お団子じぶんで作ってみない?」という甘言にのせて、帰宅に成功した。

家でつくった白玉はちょっと水を入れすぎてでろでろしたが、フルーツミックスの缶詰と合わせることで、ぱんださんのご好評をいただいた。
「おとーさんと、おかーさんで、たべてね」
と残した半分の、その半分を追加でぱんださんは自分の分にしていた。

寝かしつけの本は
『小学館の図鑑 NEO 乗りもの』
『そらまめくんの ぼくのいちにち』
でした。

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やきとりい
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