ポメラ日記 2020年2月18日 わたしもまたそのように関わるだろう
とても晴れ渡って光がまぶしく、しかし寒い日だ。
ぱんださんは最近、しろくまのくたっとしたぬいぐるみと一緒に朝ご飯を食べる。どうもつけたばかりの暖房に暖まりきらない朝の防寒に使っているらしい。
ジャムがついちゃうから、とジャムトーストを食べるあたりで横にどける。
部屋が暖まってきたのだろう。
保育園から借りた『11ぴきのねことあほうどり』を読んで、ご満悦の様子で保育園に出かけていった。
お昼ごはんをたべたあたりで調子が出てきたので、よんださんを抱えて散歩に出た。晴れて気持ちが良いけれど、寒い。
近くのお寺で枝垂れた紅梅白梅が咲いており、よんださんと一緒に眺める。見上げた青空から紅梅の枝が降りる様子は春の絢爛にみちて、気持ちも華やぐ。
春だよ、とよんださんに教える。
春とは、花で、緑で、光る風のことだよ。
しかしあまりに空気が冷えているのでよんださんが気の毒になり、公園のカフェで暖を取る。テラス席もあるが室内一択だ。
隣の席に座っていた二人連れの女性たちが、よんださんと目が合ってにこにこしてくれる。お二人が会話をしているところに、よんださんがかわいらしい声を上げて参加しようとするので、自然と軽く会話をすることになる。
「何ヶ月ですか?」
「五ヶ月です」
「そうですかー、こんなころもあったなぁ。うちも四歳がいるんですよ」
そんな感じの会話だ。
二人連れがお茶を終えて出て行く。逆隣りのテーブルについた、わたしより年配の女性たちもよんださんに目をとめ、笑いかけてくれる。
「あらまあ何ヶ月?」
「五ヶ月です」
「かわいいわねぇ。大変でしょうけどがんばってね」
ありがとうございます。
先ほど空いた、二人連れが座っていたテーブルにも、年配の女性が一人案内されてくる。
わたしもお茶を飲んでいたが、よんださんが飽きて不満を訴え始めた。待って待ってといいながらお茶を飲み干そうとがんばるが、熱い。
お一人の女性が話しかけてくる。
「元気でいいですねぇ。何ヶ月?」
「五ヶ月です」
「大きいわ。わたしが抱っこしたら泣いちゃうかしら。大丈夫なら、お茶ゆっくりのんでらして」
えっそんな。いいんですか。ありがとうございます。
ありがたくお茶を完飲して、お店を出る。
20分くらいの滞在時間で三回「五ヶ月です」って言った。
思うに、子どもを育てた母親のかなりの割合が、ほぼ自動的に乳児を抱えたもの慣れぬ(ように見える…二人目だけど見えるんだろう…)母親の「先輩」になるのだ。
学校の先輩が多種多様であるように、母親先輩も多種多様で、とても素敵でありがたい存在であることもあれば、ちょっとしんどい関わり方をする先輩もいる。
でもとにかく先達で、先輩で、わたしが乳児を抱えていると、わたしたちは無関係ではない。
子どもたちの写真を母親にLINEしたら、こんな返信がきた。
「すこやかにそだっていますね。毎日たいへんでしょう。でも、ぱんだちゃんとよんだちゃんが、生まれてきてよかったと思えるように、がんばってくださいね」
重い。
頑張るけども、最終的に子が自分の人生を肯定できるかは子にかかっているのではないか…いやがんばるけども…。
しかし母親は、少なくともそういう覚悟でわたしと兄を育てていたのだろうな。
お疲れ様です、無数にいる先輩の一人よ。
尊敬します。
『タンタンタンゴはパパふたり』
と
『はくぶつかんのよる』
と
『あさになったので、まどをあけますよ』
を寝かしつけに読んだ。
途中で、ぱんださんが全人生三年間、「上野動物園」を「上の(上にある)動物園」だと思っていたことが判明した。
夜中に起き出すことが出来て、ヒューマンアカデミーで連載しているコラムを書いた。