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天鳳位がにじさんじ麻雀杯を見て感動した話

 おはようございます、ヨーテルです。

 1月9日、10日の2日間にかけてにじさんじ麻雀杯が開催されました。

『にじさんじ』という大規模Vtuberグループが行った麻雀大会で、今回で2回目の開催。


 前回の大会についても2つ記事を書いておりますので、よろしければそちらも併せてご覧ください。有料部分もありますが、大会のことについては無料で読めます。

 【麻雀】雀魂屈指のお祭り企画。取れ高バッチリのあの試合を振り返る【にじさんじ最強雀士決定戦 観戦記編】

 麻雀界から見たにじさんじ最強雀士決定戦


 本記事では、10年間麻雀界を見続けてきた天鳳位である私ヨーテルが、本大会の感想、総評を述べさせていただきたいと思います。


全てにおいてレベルアップした

 にじさんじの麻雀大会は今回で2回目。しかし、今回は前回とは比べ物にならないほど進化した大会になったのではと思います。

 まず単純に麻雀のレベルですね。にじさんじ、ひいてはVtuber界隈では前回大会をきっかけに麻雀に熱中する人が増え、その結果麻雀の内容も飛躍的に向上しました。

 特に決勝卓は、天鳳位の僕から見てもきちんと麻雀の面白いところが詰まっており、技術的な意味でも面白い対局が繰り広げられていました。いやほんと、アマチュア大会なら普通に上位名乗れるレベル。


 次に実況、解説について。

 麻雀の実況というのは4人の手と捨て牌を見なければいけません。手牌進行だったり、聴牌時の待ちが何枚残っているかだったりを、正確に視聴者に伝える役割があります。

 ただこれ、めちゃくちゃ難しいんですよね。だって普段麻雀打ってて、4人の手牌を見る事ってないじゃないですか。だからどうしても盤面把握は遅くなります。

 でも今回の解説は、普通に麻雀番組として成り立つレベルまで上達しており、視聴者目線から見てもわかりやすかったです。

 僕は麻雀配信を過去1000以上は見てきてますが、他に引けを取らないレベルまで上げてきたなというのが伝わってきました。


 特にルイス・キャミーさん。本配信の締めでも触れられていましたが、ルイスさんは本大会のMVPと言っていいほどの解説力を見せてくれました。

 盤面把握の早さを鍛える方法は大きく2つあります。1つは麻雀番組を多く見る事、そして2つ目は牌譜検討をする事。多分、ルイスさんはどちらもものすごい量をやってます。

 ルイスさんは、天鳳位の斎藤豪プロを師匠にしてからめちゃくちゃ麻雀練習されてましたね。今回の解説はそれが完璧に活かされた素晴らしい解説でした。


麻雀配信の盛り上げ方

 麻雀配信において新たな発見をした場面があるので、いくつか麻雀の内容をピックアップさせてください。

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 この場面、オーラスで手前の方は1位までの点差が21200点。対面から出た2mをロンアガりします。

 ですがこの手、対面からロンと言ってしまった時点で絶対に逆転できないんですよね。現状リーチ・一発・タンヤオ・イーペーコー・赤で5役。たとえ裏3で倍満(16000点)になっても届きません。

 まあ初心者も多い大会なので、こういうアガりは普通にあるんですよ。だからアガり自体は全然問題ないのですが。素晴らしかったのはこの場面に対する解説です。

 これ裏ドラ5mで3枚乗ったのですが、その時の解説が「うおおお!裏3!どうだ!届くか!?」みたいな解説をしてたんですね。

 僕はもう麻雀長いんで、裏3だろうがなんだろうが届かないの分かるんですよ。だから結構冷めた感じで見てたんですね。解説もわかってねーなみたいな感じで。

 でもそれは、とても浅い考えでした。


 というのも、これを受けた視聴者の反応の大半が「きたあああ!」「どうだ!」「届かんかー!」「惜しいいいい!」と言ったものだったんですね。つまり、視聴者の大半もわかってないのです。

 でもそれって当然です。なぜならお祭り大会だから。点数計算が出来る視聴者が全体の何割いるか。

 ちなみに、多くの人が麻雀に興味を持ってくれているこういう状態は、非常に良い状態です。ガチ勢ばっかだと間違いなく廃れるからね。


 そして、こういう場においては、解説も視聴者にレベルを合わせる事が大切だとわかりました。

 逆転できないのなんて、解説は多分気付いてたと思います。それでも配信を盛り上げるためにあえてそこに触れなかったのでしょう。

 こういうのは流石に配信のプロですね。おみそれしました。


名人様撲滅運動

 麻雀配信にありがちな問題として、指示厨が湧きやすいというのがあります。麻雀は最も指示厨が湧くゲームと言っても過言ではありません。

 しかし、コメントかそんな指示厨たちで埋め尽くされてしまうと配信の空気は悪くなってしまいますし、初心者を遠ざける原因にもなりかねません。

 とくにこれはお祭り大会なので、麻雀初めて数日という方も参加されます。

 そんな方たちを指示厨コメントから守る素晴らしい仕組みが、この大会には散りばめられていましたので、それを今回ご紹介します。


・放銃の正当化

 本大会主催の舞元さんが、しきりに言っていた言葉があります。「とにかく今回はみんな攻めまくってください!」

 本大会は30000点持ちのトップだけが勝ちあがりというルール。なので、トビの心配は少ないし、放銃を恐れずトップを目指しましょう。というものです。


 これは本当に素晴らしい案内ですね。このルールによって放銃が仕方のないものに変わりますし、視聴者の認識も放銃=悪という認識から遠ざけることが出来ます。

 そもそも、攻める守る以前の話として、今回の参加者の中には降りという概念すらわからない方もいたのではないかと思います。そういった人たちも、安心して打てる環境を用意してくれた舞元さんは本当にGJでした。


・にじさんじの麻雀

「にじさんじの麻雀」というワードもよく使われていました。にじさんじの麻雀って言うのは、こういうやつです。

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 こういうのやるともう麻雀にならないじゃないか!というのが普通の考えで、結構叩かれたりもします。

 普通の麻雀対局だと「まぁ初心者だから仕方ない。温かく見守ってください」みたいなフォローが入るのが一般的です。

 しかし、にじさんじは違いました。このプレイを「にじさんじの麻雀」と言い、逆に放送を盛り上げる要素にしてしまっているのです。

 視聴者も「きたあああ!」「いいぞー!もっとやれ!」と大興奮。珍プレーで放送がここまで盛り上がるのは、過去の麻雀配信でもめったに見ない光景でした。


 初心者がどんなプレイをしても放送が盛り上がる。こうなったらもう無敵です。麻雀配信は叩かれやすいという常識を完全に覆してしまいました。

 これには名人様も素直に放送を楽しむか、立ち去るかしかありません。


決勝卓の皆様に

 せっかくなので、大会を盛り上げてくれた決勝卓の皆様を1人ずつ取り上げたいと思います。


決勝4位 甲斐田晴さん

 今回の初心者枠。ビギナーズラックを武器に勝ち上がってきましたが、決勝では厳しい戦いを強いられてしまいました。

 とはいえ、周りが皆経験者かつ先輩の中、しっかりとリーチをかけてアガり、点数的にも大きく離されないよう食らいついていく姿勢はお見事でした。

 甲斐田さんはまだ麻雀を初めて間もないそうです。そんな中、10万人近い人の前でトークをしながら麻雀を打つというのは相当なプレッシャーだったでしょう。

 にもかかわらず、楽しい会話で配信を盛り上げてくれたのは、やっぱり一流の配信者なんだなと感じました。気になる方は、決勝卓の各参加者の視点を見てみてください。


 そういえば、甲斐田さんはGetting Over Itという壺おじマゾ耐久ゲーを50周したそうですね。そういうひとは麻雀向いてます。

 お疲れさまでした。これを機に、たまに麻雀配信なんかしてくれたらうれしいです。


決勝3位 郡道美玲さん

 これは今だから言えるのですが、正直郡道さんは麻雀に向いてるタイプじゃないなと思っていました。

 僕も今までたくさんの麻雀打ちを見てきました。麻雀にも向き不向きがあって、人を見ればどちらなのか大体わかります。

 麻雀は結局理のゲームです。感情的な人は勝てません。郡道さんのキャラクターを見てると、どうにも上手くならなそうだな……とは感じていました。

 だからぶっちゃけ、郡道さんの麻雀熱はすぐに冷めると思っていました。でも、そうではありませんでしたね。


 向いてない人が強くなるにはどうしたらいいのかって、これはもう他人より練習するしかないんですよ。スポーツと一緒です。

 郡道さんはそれをやった。数多の有名プレイヤーに教えを請い、雀傑になるために数十時間の配信を取りました。

 成長は遅くとも、確実に強くなってます。それは、郡道さんが本当に麻雀を好きでいてくれたからに違いありません。

 麻雀は、才能のある人より好きでいる人の方がずっと上です。結局最後に勝つのは、麻雀というゲームを好きでいた人だと、僕は思っています。

 麻雀を好きでいてくれて、ありがとうございます。いつか大会で、郡道さんが優勝する日を待ってます。


準優勝 社築さん

 社さんを一言で表すなら【天才】です。


 社さんのすごいところは、どんなゲームでもうまいところなんですよね。

 僕は去年の麻雀杯以降、にじさんじのゲーム大会を時々チェックしていたのですが、社さんは多くの大会で上位に食い込んでいます。

 ただ、そういうなんでもタイプでも麻雀だけは……って人は多いです。やはり麻雀は難しいですからね。

 ですが、社さんの麻雀は非常に堅実で理にかなった打ち方をしていました。ガチで雀魂をやれば雀豪くらいには余裕で到達するんじゃないかというくらい上手かったです。

 麻雀は時間をかけないと強くなれないゲームです。

 社さんは他にも精通しているゲームや知識が沢山あります。特に音ゲーは全国ランクに入るほどの腕前らしいです。果たして社さんの人生で、どれほど麻雀に時間をかける余裕があったのでしょうか。


 オタク君キャラでいじられがちな社さんですが、ゲーマーとしても配信者としても、間違いなく超一流の方だと思います。レバガチャ台パン大好きです。

 今後も多方面での活躍を、応援しております。


優勝 渋谷ハジメさん

 麻雀系Vtuberとして大人気な千羽黒乃さんの弟子です。

 去年の大会以降、雀魂公式の舞台にはあまり現れていませんでしたが、頻繁に麻雀配信をされていたことを僕は知っています。

 天鳳位の斎藤豪プロや、Mリーガー朝倉選手の兄で、天鳳十段のゆうせーさんともコラボされていましたね。強者と卓を囲もうとする姿勢は素晴らしいです。


 麻雀は、初心者と中級者を分かつ壁みたいのがあって、そのうちの一つが相手の鳴きを警戒できるか、という所にあると思っています。

 よくいますよね。リーチにはきちんと降りられるのに、鳴きには無警戒で放銃してしまう人。それでは永遠に放銃率は下がりません。

 鳴きへの対応能力は、大きく差が出る部分なのです。

 今大会、最も鳴きに対応していたのがハジメさんだったと見てて思いました。一見安そうに見える2副露に対しても、自分の手がだめそうならキチンと対応して現物を切っていましたね。


 ハジメさんは、もう立派な麻雀強者です。この優勝をきっかけに、活躍の場が広がることを期待しております。

 優勝おめでとう!!!


多井隆晴

 この大会を陰で見守り続け、時に参加者の皆様を支援し続けた人物がいました。Mリーガー、多井隆晴プロです。

 僕は、前回の大会の記事で麻雀プロに対して少々苦言を呈しました。

 前回は6万人もの視聴者を集める大人気麻雀大会だったにもかかわらず、麻雀プロとして大会に関する発言をしたのが、木原浩一プロただ1人だったんですよね。

 麻雀の普及を目指して活動しているプロの皆様方が、こんな大規模大会に一切関心を持たないって、それはどうなのよ?と言った内容です。


 実はこの記事、確かに麻雀プロ全体を指してはいるのですが、多井プロが動かなかったことが意外すぎたから書いたみたいなところがありました。

 多井プロは、時間とお金を惜しまずに行動する方です。アイドルに麻雀を教えたり、競輪、競艇、ポーカー等、麻雀とは関係ない分野の仕事もされています。

 そんな多井プロが、こんな大規模大会が開かれているにもかかわらず、Vtuberという業界に目を付けないわけがないと思っていました。


……予想は的中でしたね。多井プロは現在、麻雀好きのライバーさんと積極的にコラボを企画し、Vtuber業界でも有名な麻雀プロになりました。

 少し時期がズレただけで、多井プロは元々Vtuber業界に興味があったのだと思います。


 多井プロは配信者としても活躍しており、立ち上げたチャンネルの登録者数は現在7.6万人。正直、この数字は驚異的です。麻雀というのは伸ばすのが難しいジャンルですから。

 そんな中、今まで活躍していた人たちををあっという間に抜き去り、現在最も注目されている麻雀系YouTuberになったのではないでしょうか。


 多井プロが凄いのは、やりたいことに対して時間とお金と情熱をつぎ込めるところです。

 長時間の配信には体力を使いますし、スタッフや機材を確保するのにはお金がかかります。普通の人はなかなかできない……というより、しようとしないというのが正しいですね。

 

 ぶっちゃけ、麻雀界では多井プロのことを嫌いな人もいます。たまに炎上したりもします。

 でも僕は、結果を出した人を素直に尊敬します。

 麻雀で名を上げたい人は多井隆晴を見ておくと、いいのではでしょうか。


Vtuberの一大麻雀ブーム

 現在、麻雀業界はライト層を増やすことが課題となっています。

 プロ麻雀リーグのMリーグは、映像の分かりやすさを工夫し、言葉遣いをなるべくわかりやすくすることで、ファン層の増加に勤めています。

 しかし、そもそもプロの麻雀というのは麻雀を知っている人しか見ないものです。ファンレベル10の人をレベル20にするのがMリーグだと思います。

 だからこそ、新規開拓の場が必要です。レベル0の人に麻雀を知ってもらうには……?

 その切り込み口として、配信者が麻雀をやるというのはとても強い効果を発揮するものでした。

 

 前回大会が開催されたのが去年の4月。

 そこから9ヶ月が経ち、本大会が開催されるに至りました。第2回が開催されたというのは、麻雀が大流行していることの何よりの証拠です。

 もともと、麻雀はとても面白いゲームです。大流行する要素は確かにあった。

 ですが、心無いコメントなどによって配信者が嫌な思いをしてしまう可能性も高いゲームが麻雀です。

「麻雀配信やってみたいけど、初心者だし大丈夫かな……?」そんな思いを抱えていた配信者さんもいるでしょう。


 多井プロは言っていました。「有名配信者にとって麻雀をやることはリスクでしかない。それなのに、麻雀をやってくれて本当にありがとう」と。

 僕の見解は少し違います。時代は既に、麻雀配信をやって打牌を叩かれるような時代ではないと思っています。

 もちろん今でもそういう視聴者はいます。しかし、数年前に比べれば批判コメントは格段に減りました。

 麻雀配信は、ただゲーム実況をするのと何ら変わりないレベルまで治安が良くなったのです。

 そういう環境を作り出したのは、紛れもなく前回のにじさんじ杯です。

 ここで多くの初心者が麻雀配信をする事によって、初心者リスナーも増え、腕の立つ視聴者も初心者に合わせた目線で純粋に配信を楽しめる方が増えたのではないでしょうか。


 僕は前回の麻雀大会までにじさんじはあまり知らなかったのですが、ここまでの流れを見て、にじさんじはやはり配信のプロ集団だなというのがわかりました。

 麻雀の配信者は、にじさんじの配信から学ぶことが沢山あると思います。

 僕も近いうちに動画配信をしようと思っているので、最近は多くの配信技術を吸収しようとYouTubeをつけっぱなしにする日々を過ごしてます。


 この分を見ると、今後も麻雀ブームは続いて行きそうな気がします。素晴らしい環境を作ってくれたにじさんじの皆様、協賛の雀魂を、これからも応援していきたいと思います。

 お付き合いいただき、ありがとうございました。


 

 

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