生まれて初めて感電した話
い〜つの〜こと〜だか〜
おもいだしてご〜らん〜
3月の話である。
読者の皆さんは伝説の集団 “いっちょうs” を覚えているだろうか?
そう、群馬で最もダサい名前の友人グループである。
片思いや両思い、交際や破局を経てもなお平気な顔で集まる狂気的なメンタルを持ち合わせている4人組だ。
僕が高校時代から続いている唯一のつながりと言っても良いかもしれない。
普通に僕の友達である。
(友達の集団にローカル居酒屋の店名を借りるなんて正気の沙汰じゃない)
久しぶりにいっちょうsで遊んだ時の話だ。
一年毎に集まり、皆近況を報告し合うなんとも楽しい時間だ。
その日はみんなで僕の家に集まり、久しぶりにご飯を食べた。
高校時代、幾度となく僕の実家に集まっては鍋や手巻きパーティーをしていた僕らは「懐かしいね」「そうだね」と言い合った。
思ったことをそのまま口に出せるのがこんなにも安心であり、この人たちは互いを受け入れあう最高の仲だと感じた。
お腹もいっぱいになってきたとろで、そろそろ何かして遊ぶかという空気になった。
当時僕は映画「君の膵臓を食べたい」を見たばかりだったので「真実と挑戦」ゲームをやろうと提案した。
①トランプを引いて強い方が勝ち
②勝った方は負けた方に「真実か挑戦か」と聞く
③負けた方は真実、挑戦どちらかを選ぶ
④真実と答えたら勝った方は負けた方に質問をする。回答側は必ず真実を答えなければならない。
④挑戦と答えたら勝った方は負けた方に挑戦を言い渡す。挑戦者はそれを実行しなければならない。
そういうゲームである。
意地の悪い友人とやると、かなりデスゲーム化する。
意地の悪い僕らは意気揚々とこのゲームを始めた。
最初は軽い質問から、しかしだんだんとディープな質問になってくる。
「言いたくね〜〜〜!!!」
と思うことにも真実で回答する。
そこはシンジツマンシップに乗ってるのだ。
終盤、質問も尽きてきてそろそろ挑戦いきますかという流れになってきた。
友人の一人、Kが僕にこういう。
K「真実か挑戦か?」
僕「・・・・・挑戦」
K「前転」
僕「!?」
マジか!僕は弱いトランプを引いてしまったばっかりに自宅で前転しなくてはならなくなったのだ。
屈辱だ。前転だ。
なんで家で前転するところを友人に見られなくてはならないのか。
なんで僕の友人は僕が一番恥ずかしいとするところを突いてくるのだろうか。
僕は大声で泣きながら前転した。
前転なんて小学生ぶりだ。
ぶっちゃけ小学生の頃もまともにやってこなかった。
マットの授業大嫌いだ。
ぐりんと前転したその時!!!
グバチィィィ!!!
という音ともに足に激痛が走った。
なんだ!?!?!?!
と思ってみると僕の前転によって暖房器具のコンセントが大破していた!
オーマイ!!!!マイコンセントwasブローケン!!!!!
ヘイメーン!!!
ワオサプライジング!ドーシテクレンダ!!
とんでもないゲームである!!
まさかトランプが弱いばっかりに、前転でコンセントを壊し残りの冬を凍えながら過ごさなければならなくなるなんて!!!
ここまで予期していたのか貴様!!!!(偶然であり、当然である。)
僕はトランンプが弱い自分を、小学生時代正しいフォームで前転をしてこなかった自分を恨んだ。
しかし話はここで終わらない。
僕はそのコンセントを抜こうと手を伸ばした。
コードが剥き出しになった残酷な姿を憐みながら手を触れると
グルルルルルルルバチェア!!!!!
ウギャアアアオ!!!!!!!
感電した。
生まれて初めて、感電した。
生まれて初めての感電が自分が前転をして壊したコンセントだなんて思いたくなかった。
電気は僕の手の周りをぐるぐる回るように伝わった。
トムとジェリーの感電の表現は非常に正しく、制作チームも真実と挑戦ゲームをしたのだろうかと思いを馳せた。
呆気にとられた僕は少し無言になったあと、友人達にこう告げた。
「俺いま、感電した。」
まぎれもない、真実である。
友人達は声を上げて笑い、僕も笑った。
まだまだ寒さの残る、3月の話だ。