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感情に流されないための秘訣ーー起こった「事実」にだけ目を向ける

私たちが日々の暮らしを送るなかで、感情は大きなエネルギー源となる一方、判断を誤らせる原因にもなります。「怒りや不安がこみ上げてきて、つい衝動的に言い返してしまった」「後から振り返ると、冷静に対処していればよかったのにと後悔する」——こうした経験がある人は多いのではないでしょうか。

そこで重要なのが、起こった「事実」だけに目を向け、いったん自分の感情を横に置いてみるというシンプルなアプローチです。

今回は、この方法を実践することで得られるメリットや具体的な実践方法について、詳しく見ていきましょう。

「事実」にフォーカスするメリット

冷静な判断ができる

感情が高ぶったときは、私たちはどうしても主観に偏ってしまいがちです。

  • 「あの人は絶対に自分を否定しているに違いない」

  • 「こんな言い方をされたということは、もう修復は不可能だ」

こうした“思い込み”や“憶測”が増えるほど、客観的な視野が狭まってしまいます。しかし、「事実」だけをピックアップすれば、判断の土台を客観的な情報で固めることができます。結果として、的確で公平な判断に繋がりやすくなるのです。

ストレスや不安の軽減

感情的になると、実際に起こったことよりも「最悪のシナリオ」を想像してしまうことがよくあります。

  • 「このままだと人間関係が終わってしまうかも…」

  • 「失敗したらもう取り返しがつかない…」

しかし、実際の「事実」を突き詰めてみると、そこまで深刻ではなかったり、解決策が見えたりするものです。憶測や妄想を削ぎ落とすことで、不要な不安やストレスを軽減しやすくなります。

行動を最適化しやすくなる

事実を正確に把握すれば、次に何をすべきかが明確になります。

  • ビジネスシーンでは、「顧客のクレーム内容」を客観的に分析することで、改善策や謝罪の方法を最適化できるでしょう。

  • 人間関係のトラブルでも、「いつ」「どこで」「どんな言葉」で揉めたのか」という事実を丁寧に洗い出すことで、具体的かつ再現性のある解決策を練りやすくなります。

感情に任せて行動すると、結果的に解決までに遠回りしてしまうことがありますが、事実に基づけば最短距離で問題解決に近づけます。

他人の影響を受けにくくなる

SNSや友人・家族など、私たちは常に周囲から大量の意見や情報を受け取っています。ネガティブなコメントや噂話に振り回され、感情が揺さぶられることもあるでしょう。

しかし、「何が本当に起こったのか」「どの情報が根拠を持っているのか」を見極められると、無責任な批評や曖昧なアドバイスから距離を置けます。自分の価値観を保ちながら行動できるようになる点は、大きなメリットの一つです。

具体的な実践方法

感情と事実を区別して書き出す

いちばん簡単にできる方法は、紙やスマートフォンなどに「事実」と「感情」を分けて書き出すことです。

  • 事実:相手が言った内容、日時、場所、数値データなど、客観的に確認できる情報

  • 感情:自分が感じた怒り、不安、悲しみ、喜びなど

具体的に書き出すと、「自分はこんな風に感じているけれど、実際の出来事はこうだった」と視覚的に整理できます。認知行動療法などでも取り入れられている方法で、冷静さを取り戻すのに有効です。

「本当にそうなのか?」と問いかける

事実にフォーカスしているつもりでも、私たちは無意識に思い込みを事実として扱ってしまうことがあります。そこで役立つのが、「本当にそうなのか?」と自分に問いかける習慣です。

  • 「あの人は自分を避けているように見えるけど、それはただ忙しいだけかもしれない」

  • 「上司が冷たい態度なのは、私に不満があるというより、別の仕事でトラブルが起きているせいかもしれない」

一歩立ち止まり、自分の認識にズレや偏りがないかをチェックするだけでも、事実と解釈の境界がはっきりしてきます。

信頼できる第三者に意見を求める

自分一人で事実を洗い出すのが難しい場合、信頼できる第三者の視点を借りるのも手段の一つです。友人や同僚、メンターなど、状況を冷静に判断してくれる人に「自分がまとめた事実」を見せて、気づいた点を指摘してもらいましょう。自分では見落としていた情報を掘り起こしてもらえることもあります。

過去の似た状況を振り返る

今の感情だけにとらわれず、過去の体験を振り返って比較してみるのも有効です。

  • 「前回は似たような状況でどんな事実があっただろう?」

  • 「そのときはなぜ感情的になってしまったのか?」

過去の事実や体験を踏まえれば、より客観的な視点で今の状況を評価できるようになります。同時に、過去にうまくいかなかったパターンを繰り返さないためのヒントも得られるでしょう。

こんなときは要注意!

「事実」に目を向けるといっても、極端に感情を抑圧しすぎるのは逆効果になる場合があります。感情そのものを否定してしまうと、ストレスが蓄積してしまい、別の形で爆発する可能性もあります。大切なのは「感情をしっかり感じつつ、事実を基盤に行動するバランス」です。たとえば、以下のような心構えを持つと良いでしょう。

  1. 感情を一度受け止める

    • 「いま怒りを感じているんだな」「悲しいと感じるのは自然なことだ」と自覚するだけでも、落ち着きを取り戻しやすくなります。

  2. そのうえで事実を整理する

    • 感情は感じつつ、決断は事実ベースで。

このように、感情は大切に扱いつつも、判断や行動に移るときは客観的な情報を重視するという二段構えが理想的です。

まとめ

感情に流されると、私たちの判断はどうしても偏りがちになり、誤解やトラブルが増える原因にもなり得ます。一方で、「起こった事実」を客観的に整理する習慣を身につけると、以下のようなメリットを得られます。

  • 冷静な判断ができる

  • ストレスや不安を軽減できる

  • 行動を最適化しやすくなる

  • 他人の影響を受けにくくなる

実際のやり方としては、まずは紙やスマホのメモに「事実」「感情」を分けて書き出すなど、小さな一歩から始めてみましょう。少しずつでもこの習慣を続けるうちに、驚くほど思考や行動がクリアになっていくはずです。

感情をエネルギーとして活かしながら、事実をしっかり見つめることで、物事を正しく捉え、よりよい判断と行動を積み重ねていきましょう!

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ヨータロー
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