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【小説】月光の約束 第七話〜再会〜

前回のお話(第六話)

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第七話 再会


満月の夜、遥は月明かりの下でルナハウスへと足を踏み入れた。

前回訪れた時と変わらず、静寂に包まれた館。

玄関の扉にそっと手をかけると、軋む音を立ててゆっくりと開いた。薄暗い廊下を進むと、まるで彼女を待っていたかのように、奥の部屋の扉が少し開いていた。

遥は引き寄せられるように、部屋の中へと足を進める。

部屋に入ると、光の中に影が揺らめいていた。

影はゆらゆらと揺らめきながら、遥に近づいてくる。その動きに合わせて、光も遥を包み込むように近づいてくる。

遥は息を呑んだ。

影が、光が、目の前まで迫ったその時、ふいに影が形を変えた。

それは、ひとりの青年の姿だった。

青い髪、夜空のような瞳。
夢で会った彼だった。

青年は、柔らかな光を纏い、まるで月光から生まれたかのように、そこに立っていた。

「……ソラ、と呼んでください」

青年の声は、遥の心を優しく包み込むようだった。

ソラ、と名乗った青年は、遥に微笑みかけた。その笑顔は、どこか懐かしいような、それでいて、遥の心を深く揺さぶるものだった。

「遥さん、ようやく会えましたね」

ソラの言葉に、遥は驚きを隠せない。

「私のことを……知ってるの?」

「ええ、ずっと、あなたを探していました」

ソラは、遥を見つめるその瞳に、深い愛情を滲ませた。

「遥さんは、月の力を受け継ぐ者。私と同じ、月の民の末裔です」

月の民、という言葉に、遥は戸惑いを隠せない。

「月の民……? それって、一体……?」

「それは、これから少しずつ、思い出していくでしょう。あなたは、月の力を使い、人々を導く使命を背負っています」

ソラの言葉に、遥は困惑した。自分に、そんな力があるのだろうか。

「私に、そんなことができるのでしょうか……」

不安を露わにする遥に、ソラは優しく語りかけた。

「大丈夫です。私と、そして、このルナハウスが、あなたの力となるでしょう」

ソラは、遥の手を取った。その手は、ひんやりと冷たかったが、どこか温かさも感じさせた。

「さあ、遥さん。あなたの使命を果たす時が来ました」

ソラに導かれるままに、遥はルナハウスの奥へと進んでいく。

その先には、一体何が待ち受けているのだろうか。

遥の心は、期待と不安で入り混じっていた。




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テル@星詠み
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